就職・転職の際の面接採用は「見た目が9割」と言われています。なぜ面接の合否の大半が見た目で決まるのでしょうか。
本記事では、その理由と好印象になる見た目ついてお伝えいたします。
「面接は見た目で決まる」を証明する”メラビアンの法則”
はじめに、なぜ面接は見た目で決まるのか、について触れていきます。それを証明しているのが”メラビアンの法則”です。
”メラビアンの法則”とは、相手に与える第一印象が「見た目等の視覚情報」が55%、「口調や話す速度等の聴覚情報」が38%、話の内容等の言語情報が7%であることを示している法則のことです。
以前、メラビアンの法則を裏付ける実験がテレビの某人気番組で行われたことがありました。実験内容と結果は以下の通りです。
【実験内容】
◆企業の採用担当者3名に、4人の女性を面接してもらう
◆4人のうち2人は容姿端麗なプロのモデル、別の2人は一般の女子大生
◆モデルの2人には知識や教養がない振る舞いで受け答えをしてもらう
【結果】
◇面接官3名に「2名採用するとしたら誰を選ぶ?」と聞いてみると、全員がモデルの2名を選んだ
この実験結果からも分かるように、最も人の印象を左右しているのはメラビアンの法則の通り、「見た目等の視覚情報」と言えるでしょう。
「佇まい」が大事
ここからは見た目の攻略法を伝授いたします。
面接においての”見た目”には、服装や髪型等の身だしなみだけでなく、話し方・表情・目線の非言語コミュニケーションも含まれます。
つまり、「佇まい」を知ることで面接を攻略することが出来るのです。これを知っているだけで面接の通過率は格段に上がることが期待出来るでしょう。
採用されやすくなる佇まい
採用されやすくなる佇まいを次の5つの要素に分けてご説明させていただきます。
①身だしなみ
②姿勢
③笑顔
④話し方
⑤目線
【佇まい①】身だしなみ
身だしなみを形成するのは「服装」「髪型」「メイク」です。それらを整えることで印象がよくなります。
身だしなみ①服装
服装は見た目に大きく影響します。面接ではスーツと私服のいずれかに分かれるでしょう。それぞれ見ていきます。
スーツの場合
気を付けることは男女で異なります。別々にご説明させていただきます。
男性
♠ジャケット・スラックス
黒やネイビー、ダークグレー等のシックで無地なジャケット・スラックスをチョイスしましょう。決して華美なものは着用しないでください。
転職面接の場合、学生時代に使用したリクルートスーツを着ると若すぎる印象を与える可能性があります。リクルートスーツ以外を持っていない方は、必ず転職活動用にスーツに新調しましょう。
♠ワイシャツ
一般的に、ワイシャツは白が基本です。必ずアイロン掛けされた清潔なワイシャツを着てください。袖や襟部分が黄ばんでいたり、よれていたりするワイシャツの着用は不潔な印象になるため絶対に避けてください。
近年は、カジュアルな服装でもOKな面接が増えていますが、昔ながらの社風を大切にしている企業も存在します。そのような企業では、ボタンに色がついていたり襟が高かったり等、デザイン性に富んだワイシャツはよい印象を持たれないかもしれません。出来る限り、オーソドックスなワイシャツを選ぶようにしましょう。
♠ネクタイ
ネクタイはスーツと同様、華美でない色をチョイスしましょう。柄は無地やシンプルなチェックがベターです。
ピンクや黄色等の派手な色は避けましょう。
また、コーポレートカラーのネクタイをするのも一手です。コーポレートカラーとは、企業のロゴやウェブサイト等で主に使われている色のことを指します。多くの企業では企業の理念やイメージを色で表すために、特定の色をコーポレートカラーに指定しています。
そのコーポレートカラーのネクタイをすると、企業研究が出来ているというアピールに繋がります。
♠ベルト
ベルトはジャケットを着ていれば見えない、と油断していてはなりません。着席時等にベルトは見えるので、スーツに合ったベルトを身につけましょう。革製で黒・茶系のベルトがスーツに合わせやすいです。
対して、派手なバックル(金具)やカジュアルな装飾が施されているベルトはスーツに合わないので避けてください。
♠靴下
靴下は黒か紺色のものを選びましょう。柄物ではなく無地がベターです。
♠靴
靴は必ずレザーのビジネスシューズにしてください。色は黒か濃茶にしましょう。明るい色や、つま先が尖っている靴はカジュアル過ぎるためNGです。
♠時計
時計はカジュアルなものは避け、ビジネスシーンで使われているようなシルバーで革ベルトのもを身につけましょう。最近では、スマートフォンを時計代わりにして腕時計を身につけない人が増えています。しかし、面接の場においては腕時計を身につけていると、時間管理をしっかりしていそうな応募者、と好感を持たれる可能性があります。
♠カバン
A4サイズの書類が入るビジネス用カバンが面接に適しています。色は黒色やネイビー、ブラウン等がよいでしょう。ナイロン製と革製どちらでも構いません。
女性
♡ジャケット
ジャケットは華美ではない黒やネイビー、グレーがベターです。そしてシンプルなデザインのものがよいでしょう。転職面接の場合、リクルートスーツで使用したジャケットを着ると幼く見える可能性があるため推奨しません。持っているのがリクルートスーツのみという方は、転職用にジャケットを1着購入した方がよいでしょう。
♡ボトムス
ジャケットに合わせるボトムスは、膝丈のタイトスカートかセミタイトのスカートを推奨します。また、スカートではなくジャケットに合わせやすいパンツをチョイスするのも、快活な印象を与えるためオススメです。
ミニスカートやワイドパンツ、スキニーパンツ等はカジュアルな印象が強くTPO(時・場所・場合)をわきまえていない人と捉えられる可能性があるのでNGです。
♡インナー
男性とは異なり、女性のインナーはシャツである必要はありません。ブラウスでもOKです。色も白以外でも問題ありません。但し、派手な色は避けましょう。
また、下着が透けることがないようインナーの下にキャミソールやタンクトップを着用しましょう。
♡ストッキング
ナチュナルなストッキングを選びましょう。装飾入りのストッキングは面接に適さないので避けてください。
♡靴
黒のパンプスがオススメです。スニーカーやピンヒールは言うまでもなくビジネスシーンに不向きなのでNGです。
♡時計
華美ではない時計をチョイスしましょう。
♡カバン
A4の書類を折らずに収納できるサイズのビジネスバッグがよいでしょう。表面に柄が入っていたり、ブランドのロゴが目立ったりするバッグは避けましょう。
♡香水
香水はつけないのが無難です。というのも香水の匂いは好き嫌いが分かれます。もし、香水が苦手な方が面接官だった場合、悪印象になってしまう可能性が考えられます。
私服の場合
男性
面接で私服を着ていく場合、男性はいわゆる「ビジネスカジュアル」が適しています。「ビジネスカジュアル」の基本スタイルは、ジャケットにパンツです。それぞれ見ていきましょう。
♣パンツ
パンツはチノパンが最適です。デニムはカジュアル過ぎるので避けましょう。
♣ジャケット
ジャケットは季節を問わず着用を推奨します。ですが、中にはクールビズ適用の企業もあります。そのような企業の面接を受ける場合はジャケットを着なくても問題ないでしょう。
♣インナー
ジャケットのインターには襟付きのシャツ、あるいはポロシャツを着用しましょう。いずれもビジネスシーンに相応しい無地で落ち着いた色のものを選びましょう。
襟なしのカットソーやTシャツはカジュアル過ぎる印象があるのでオススメしません。
以上の他に、アクセサリーや先の尖った靴、ダメージファッションはNGです。ビジネスシーンに相応しいファッションを心がけましょう。
女性
女性の場合、男性と違いある程度は自由です。
♢トップス
トップスはブラウスかシャツ、カットソーのいずれかを選びましょう。ジャケットは必須ではありません。季節や気温に合わせて必要であれば着用しましょう。
おすすめは襟付きのジャケットです。襟がついているとフォーマルな印象を与えられるためです。
Tシャツや胸元が広いトップスはカジュアル過ぎる印象があるため避けましょう。
♢ボトムス
スカートの場合、膝丈あるいは膝が見えないくらいの長さがベターです。パンツの場合は、足元が見える程度の7~9分丈がおすすめです。デニム生地やダメージジーンズ、ミニスカート、短パン等、カジュアルなものはNGです。
身だしなみ②髪型
髪型についても男女別にみていきましょう。
男性
清潔感のある髪型が大前提です。
●髪の毛の色
暗めの茶髪は問題ありません。それ以上の明るい髪の色は控えましょう。
また、カラーリングで髪の毛が傷んでいる場合はケアをしましょう。さらに、生え際が毛先の色と異なるプリン状態の場合は身だしなみが整っていない印象があります。必ず染め直しましょう。
●髪型
前髪が目にかかる髪型は暗い印象を抱かれるので避けましょう。もし前髪が長いのであれば、スタリング剤で前髪を分けて表情が見えるような髪型に整えましょう。
女性
○髪の毛の色
男性と同様、濃茶髪は問題ないでしょう。しかし、髪の毛が痛んでいたり、カラーリングしてから時間が経過しプリン状態だったりすると、細かい部分に気が回らない人と捉えられる可能性があります。服装だけでなく、髪の毛も清潔な印象になるように心掛けましょう。
○髪型
髪の毛が肩より下の長さの方は、下ろしたスタイルでも構いませんが、サイドの髪が落ちて表情が暗く見えるケースも考えられます。そのような場合は、ハーフアップや髪を結った方がよいでしょう。
身だしなみ③メイク
面接を受ける際のメイクは、プライベートでするような「盛るためのメイク」ではなく、「明るい表情をつくるためのメイク」にしましょう。
具体的に下記の3点を心がけましょう。
眉毛
眉毛は薄くなっていたり、毛先がボサボサになっていたりしないか等、確認しましょう。眉毛を書く際は角度や太さを調整しましょう。
ファンデーション・ベースメイク
ファンデーションやベースメイクをしないと顔色が悪く見えてしまいます。ですので、普段はしない方でも必ずファンデーションとベースメイクはしましょう。
リップ・マスカラ
表情を明るくするためにリップは必須と言えるでしょう。色味のあるリップを使用して明るさを演出しましょう。
また、目元がくっきり見えるようにするとさらに表情が明るく見えます。マスカラ等で目元がくっきり見えるようにしましょう。但し、大きめのつけまつげを使用する等、派手にはならないようにしましょう。
【佇まい②】姿勢
姿勢も佇まいを形成する大切な要素です。
猫背になっていると自信がない印象を与えてしまい、せっかくよい発言をしていても台無しになる可能性も否定出来ません。ですので、胸を張って背筋を伸ばして自信があるような佇まいを演出しましょう。そうすれば、微妙な発言をしても姿勢がよいので、猫背の人よりは悪い印象にはなりにくくなるでしょう。
【佇まい③】笑顔
顔の表情で最もよい印象を与えるのは笑顔です。面接会場に入る瞬間から笑顔を意識してみてください。
普段あまり笑わない方は、面接で笑おうとすると不自然な笑顔になる可能性があります。そうならないために、普段から表情筋を鍛えておくと、いざとなった時、自然な笑顔になります。表情筋の鍛え方はこちらのサイトで説明されていますので併せてご覧ください。
また、笑顔をつくるには次の4つのコツがあります。
笑顔①目尻にシワをつくる
ニコっとした快活な印象を与える笑顔には目尻にシワが出来ます。対して、目尻にシワが出来ない笑顔は、目が笑っていなく心から笑っていない印象を与えてしまいます。
やはり印象がよいのは、つくり笑顔ではなく目尻にシワが出来るニコっとした笑顔です。面接で笑顔をつくる場合は、目尻にシワをつくることを意識してみてください。
笑顔②面接官を好きになる
人は相手に好意があると自然と笑顔になります。
これを利用して面接官に好意を持つように接してみましょう。すると、つくり笑顔ではない自然な笑顔を演出することが期待出来ます。
笑顔③口角を上げる
自然な笑顔は口角が上がります。口角が下がった笑顔は不自然に見えます。笑みを浮かべる際は、口角を上げることを意識しましょう。
【佇まい④】話し方
話し方も佇まいを形成する重要な要素です。以下に挙げる3つのポイントに留意し、好印象な話し方を身につけましょう。
話し方①声のトーンを上げる
声のトーンは話し方の印象を大きく左右します。トーンが低いと、声がこもって聞こえづらくなったり自信がなさそうに見えたり等、よい印象とは言えません。
好印象になるコツは、普段より高めのトーンで話し、声のボリュームも大きめにすることです。そうすることで、声が通りやすくなり面接官に好印象を与えることが出来ます。
話し方②アンカーポイントを意識する
お芝居の世界では、アンカーポイントを意識して声を出すように指導されるようです。
アンカーポイントとは、空間の頂点のことをいいます。ステージで芝居をする際のアンカーポイントは、会場後方の壁の4隅です。役者が舞台上でお芝居をする際は、そのアンカーポイントを常に意識しています。
なぜ役者はアンカーポイントを意識するのでしょうか。それは、アンカーポイントを意識することで声に伸びが出て、自信がある話し方に聞こえるえるためです。これを面接で応用します。
面接官の後方の壁にある4つのアンカーポイントを意識してみてください。すると、自然と声に伸びが出て自信がある話し方に聞こえることが期待出来ます。
話し方③ゆっくりと話す
ゆっくり話すことも大切です。堂々と自信を持って話している印象を受けるためです。思ったよりゆっくり話すくらいが丁度良いでしょう。
早口で話すと言葉が軽く聞こえて説得力に欠けたり、余裕がないように見えたりします。ですので、早口にならないように気をつけましょう。
【佇まい⑤】目線
目線も大事です。目線は入室する際に重要になります。ドアを開け入室する際、うつむき加減の姿勢で入室する人は少なくありません。
確かに足元に注意しながら入室したい気持ちも分かります。しかし、面接官にはその姿が「自信がない」「元気がない」等と映ります。
ですので、ドアを開けて入室する際は目線を前に向け一度は面接官と目を合わせるようにしましょう。そうすればグッと第一印象はよくなるでしょう。
顔採用の傾向が強い職業
以上の”佇まい”に気をつけたとはいえ、残念ながら顔採用というものも存在します。顔採用とは、応募者の能力や経験は問わず、ビジュアルのみで採用を決めることをいいます。
第三者からすると、顔採用は「公平ではない」と感じるでしょう。しかし、顔採用をしている企業では「容姿も1つの能力」と結論づけています。
なぜ「容姿も1つの能力」と結論づけているのでしょうか。
顔採用をする企業は、容姿のよさが業績に結びつくことを理由に挙げています。特に、人目に触れる機会が多い下記の職業・業界はその傾向が強いです。
・販売
・営業
・マスコミ
・モデル
・アナウンサー
・テレビ業界
・航空業界
・アパレル業界
・宝飾品業界
しかし、容姿に自信がなくても諦めてはいけません。顔採用を導入しているA企業の採用担当者はこのように述べています。
顔採用といっても、”顔の構造”ではなく”顔の印象”を重視しています。冷たい印象やプライドが高そうな人は、たとえ容姿端麗だとしても評価はよくありません。口角が上がった優しい印象の人や、爽やかで清潔感のある人の方が評価は高いです。」
ですので、本記事で紹介した佇まいを身につければ顔採用に屈しない素敵な”顔の印象”の持ち主になれることが出来るのです。
終わりに
本記事で紹介した佇まいを面接の場で出すには、それを日頃から意識するのがコツです。日常的に意識することで、それは自然とあなたの佇まいになります。
ぜひ、好印象の佇まいを身につけて面接に臨んでみてください。きっとよい結果が出るでしょう。