行政書士試験に独学で合格できるかどうかを確認してから、試験対策のテキストや問題集を購入しようと考える方は少なくないのではないでしょうか。
本記事では行政書士試験は独学で合格できるかどうかに触れた上で、独学する場合の勉強法について深堀りしていきたいと思います。
独学で合格できる?
行政書士試験に合格した人を見ると、法学部出身や司法試験等の法曹系の資格に挑戦した経験がある等、法律についての学習経験がある方が多いようです。
とはいえ、「独学で合格できる」と謳った参考書も出版されています。ですので、法律について勉強をしたことがない初学者でも行政書士試験の合格ができると考えられます。
「予備校通学」と「通信講座」
ですが、独学で試験対策をしようと考えるのは早計です。
行政書士試験に向けた試験対策には、「独学」「予備校通学」「通信講座」の3通り挙げられます。 予備校通学と通信講座を一度検討してみてはいかがでしょうか。それでも、独学がよいと思った方に限り、独学で合格を目指すのがよいでしょう。
ここでは、予備校通学と通信講座のメリット・デメリットをお伝えします。
予備校通学
予備校は、講義の日程が決まっています。予備校側で勉強プランを決めているので、自身で勉強計画を立てる必要がないのがメリットです。それだけでなく、合格を目指す同志に出会えるため、モチベーションの維持もしやすいです。 しかし、講義の日程が決まっているため、時間の調整が出来ません。仕事や急用等で講義に出席出来ないケースが考えられます。それだけでなく、移動時間もかかることがデメリットに挙げられます。独学や通信講座より費用がかかるのもデメリットです。 時間に融通が利く方に予備校通学がオススメです。
通信講座
通信講座は、自分の生活スタイルに合わせて、時間と場所を問わず利用出来るのがメリットです。また予備校より費用を抑えられます。 その反面、予備校通学のように合格を目指す同志に出会えないため、モチベーションの維持が難しかったり、不明点をすぐに質問出来なかったり等がデメリットです。
仕事の残業や急用等が多く、スケジュールが変則的な方や、費用を抑えたい方、モチベーションの維持に自信のない方等には通信講座はオススメです。
必要な勉強時間
合格までに必要な勉強時間は個人差があります。ここでは、法律初学者に必要な勉強時間について説明していきます。
予備校通学あるいは通信講座受講の場合、行政書士に合格するためには、『600時間』(『https://agaroot.jp/gyosei/column/gyosei_selfstudy/』)かかるといわれています。
独学で合格するためには、『800~900時間』(『https://agaroot.jp/gyosei/column/gyosei_selfstudy/』)必要といわれています。 例えば、1日3時間勉強する社会人がいるとします。その場合、900時間勉強するためには300日かかります。ですので、独学の場合、行政書士試験が実施される日から10ヶ月前には試験勉強を始めた方がよいでしょう。
独学はテキストと問題集を活用しよう
では独学で合格を目指す場合、何を利用して勉強すればよいのでしょうか。
行政書士試験対策に特化したテキストと問題集を利用して勉強することをオススメします。専門書はオススメしません。 確かに行政書士試験には、テキストと問題集では網羅出来ない問題が出題されるケースがあります。そのような問題に対しては、専門書で対策するのは効果的です。しかし、そのような問題は稀です。特に商法はその傾向が強いです。ですので、行政書士試験の合格を目指すのであれば、テキストと問題集で独学を行うのが効果的です。
テキストの選び方
独学の場合、テキスト選びが非常に重要です。
テキストと一口に言っても、基本テキストと要点整理テキストの2種類存在します。例えるなら、基本テキストは学習の要になる教科書、要点整理テキストは、教科書では補え切れない部分を補足する資料集です。
ですので、まずは基本テキストを利用して知識のインプットを行っていきます。
基本テキストは、様々な出版社から出版されています。
基本テキストを選ぶ上で最も大切なことは、初学者でも1から理解出来るように、丁寧な解説がされているかどうかです。 分かりやすく解説されているテキストは、イラストが使われていたり、事例で解説されていたり、判例の争点・判旨等の区別の工夫がされていたりします。 また、判例が重要な憲法では、争点や判旨等が分かりやすく記述されているものがよいでしょう。法の理解が重要な民法や行政法では、法の趣旨や事例等が丁寧に解説されていることがポイントになります。
オススメのテキスト
それでは、独学で行政書士試験に合格するためのオススメのテキストをご紹介します。
【テキスト①】うかる!行政書士(伊藤塾)
「うかる!行政書士」は、司法試験の合格実績の高さで知られている資格試験指導校の伊藤塾から出版されています。多くの行政書士試験合格者が、オススメのテキストとして伊藤塾のシリーズを挙げています。
「うかる!行政書士」では、別冊で「ハンディ行政書士試験六法が付いています。そのため、別で六法を購入する必要がないのがメリットです。
【テキスト②】みんなが欲しかった!行政書士 合格へのはじめの一歩(TAC)
「みんなが欲しかった!行政書士 合格へのはじめの一歩」は、大手資格予備校のTACから出版されている、行政書士試験対策の定番のテキストです。 初学者にも分かりやすいにイラストが多用されています。
【テキスト③】合格革命(TAC)
「合格革命行政書士」もTACから出版されているテキストです。
独学での行政書士試験合格を実現させるために作られているため、学習者には心強い味方になってくれるでしょう。
【テキスト④】元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術
「元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術」は、実際に法律をつくっていた人が監修をしたテキストです。
「なぜその法律が制定されたのか」等が書かれており、試験対策本としては一線を画しているテキストです。
【テキスト⑤】行政書士 合格のトリセツ(LEC)
「行政書士 合格のトリセツ」は、資格総合スクールのLECから出版されています。
図解やイラスト等を用いて、詳しく説明されているため分かりやすいテキストになっています。
オススメの勉強法
ではどのような勉強法で独学を進めていくのがよいのでしょうか。
行政書士試験は、一般知識から3科目、法律科目から5科目(憲法・基礎邦楽・民法・行政法・商法)の、合計8科目出題されるため、試験範囲が広いです。
全科目を満遍なく勉強すると、広く浅く学ぶことになるので、記憶に定着するのが難しく非効率です。
例年どのような問題が出るのかを把握した上で、頻出度順に勉強するメリハリのある勉強法がオススメです。
そのためには、テキストと問題集に加えて、過去問を活用しましょう。
過去問は、行政書士試験で出題される内容を把握するのに最適なアイテムです。勉強を始めた初期段階から過去問を利用することをオススメします。
過去問を活用すると、頻出度が高い分野や、ひっかけ問題のパターン等の傾向が見えてきます。
また、法令の改正法、一般知識の時事ネタ等の最新情報のチェックも必須です。とりわけ、民法は120年ぶりの大改正があったため、改正箇所が反映されたテキストで勉強する必要があります。一般知識の時事ネタは、普段からニュースをチェックし、不明な用語はネットで検索して調べておきましょう。
さらに、大手資予備校が実施している模擬試験を利用するのも良策です。模擬試験を受けると、行政書士試験を追体験出来る上に、現在の自分の実力を把握出来ます。
テキストでインプットした後は、問題集を使ってアウトプットをしていきます。問題集はテキストと同シリーズのもの使用するのがベターです。
勉強計画の立て方
出題範囲の広い行政書士試験の勉強には計画性が欠かせません。
通信講座を受けていたり、資格学校に通ったりすれば、合格に向けたカリキュラに沿って勉強を進めていくため、自然と勉強計画が立てられます。
しかし、独学の場合、自分で勉強計画を立てなければなりません。 独学者は、どのようにして勉強計画を立てるのがよいのでしょうか。
独学者は、資格予備校のパンフレットにあるカリキュラムを参考に、計画を立てるのがベターです。 例えば、各分野の勉強時間の配分は、カリキュラムにある各科目に割り振られた講義の時間配分を参考にしてみましょう。 独学の場合、計画した時間配分が乱れやすいです。乱れを把握して軌道修正出来るよう、初期段階で年間スケジュール、月初めに月間スケジュール、週初めに週間スケジュール、毎日の勉強始めにその日勉強する内容を決めるのが理想です。そうすることで、その都度、微調整が出来ます。独学にありがちな時間配分の乱れを防止出来ます。
勉強する科目の順番
行政書士試験の科目には、憲法、民法、行政法、商法、基礎法学、一般知識があります。どの科目から勉強をすればよいのでしょうか。 独学の場合、憲法から勉強をスタートすることをオススメします。憲法は、他の科目に比べ出題内容がシンプルで得点に繋がりやすいためです。
また、憲法を最初に勉強しておくと、行政法の学習にスムーズに取り組みやすくなります。 商法は、民法の特別法(適用対象がより特定されている法律)に位置します。そのため、民法を勉強してから、商法の取り組んだ方がベターです。
一般知識は、法律科目と関連性は薄いので、順番は問いません。
以上を考慮すると、下記のいずれかの順番で勉強をするとよいでしょう。 ①憲法→行政法→民法→商法→一般知識 ②一般知識→憲法→行政法→民法→商法