税理士資格を取得するためには、一般的に数年かかる傾向にあります。このことから税理士になることは難易度が高いと言われているのです。
また、税理士資格の合格を目指すにあたっては、スクールに通う等の費用もかかります。
このように、税理士になるためには時間も費用もかかります。そのような経緯を通って就く税理士の年収は、一体どの程度なのでしょうか。
本記事では、税理士の年収事情に迫っていきます。
税理士の仕事
税理士の仕事は税務です。主に「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」が中心です。個人からは、税に関する書類作成や申告の代理業務を行ったり、税金に関する相談を受けたりします。
また、企業からは法人税や所得税等の処理、役員や株主の所得税・相続税の対策の依頼を受けます。
実務経験者の年収
はじめに、税理士試験の合格後に積む2年間の実務経験時の年収について触れていきます。
実務経験では、官公署(各省庁・都道府県庁・市区役所・町村役場・警察署等)や企業等で税務を行います。
実務経験者の年収は、『300万円台』(『https://kaikeiplus.jp/topic/zeirishi/866/』)です。
税理士の平均年収
税理士になると、一般企業に勤めるビジネスマン収入は高い傾向にあります。これは税理士の仕事の性質上、専門性が高いためとされています。
様々な職業の年収を紹介している「平均年収.JP」によると、税理士の平均年収は『1042万円』(『https://heikinnenshu.jp/shi/zeirishi.html』)です。
一方、民間企業の年収を紹介している「給料.com」によれば、大手企業224社の平均年収は『780万円』(『https://kyuuryou.com/w227-2015.html』)というデータを発表しています。
以上のデータからも分かるように、税理士の年収は高い傾向にあると言えるでしょう。
独立開業の税理士の年収
続いて、独立開業した税理士の年収を見ていきましょう。
日本税理士連合会が行った収入に関する調査データのよると、独立開業した税理士の年収の割合は以下のような結果となっています。
300万円未満 | 24.0% |
300万円以上 | 15.2% |
500万円以上 | 13.9% |
700万円以上 | 14.2% |
1,000万円以上 | 12.8% |
1,500万円以上 | 7.0% |
2000万円以上 | 5.1% |
3,000万円以上 | 2.5% |
5,000万円以上 | 0.8% |
1億円以上 | 4.6% |
上記の表を見ると、一番割合が多い年収は「300万円未満」の24.0%です。実に4人に1人の割合に当たります。独立して開業した税理士の平均年収は3,000万円前後と言われているにも関わらず、なぜこのような結果となったのでしょうか。
これは1億円以上の年収の税理士が平均値を引き上げていることが理由に挙げられます。
年収300万円未満の税理士は、顧客の確保の段階で苦労されている方が少なくありません。そして、顧客が出来たとしても単価が低いことから、「忙しいわりに稼げない」ということがあるのです。
独立税理士は、集客や顧客獲得についてしっかりとした努力をしないと、思ったような年収が得られないということが現状にあります。
以上のことから、独立した税理士は収入に格差があることが見て取れるのです。
事務所勤務の税理士の収入
それでは、主な就職先に挙げられる税理士・会計事務所で働く税理士の年収を見ていきましょう。
税理士・会計事務所で勤める勤務税理士に場合は、年収は最低でも400~500万円で安定します。そのため、独立して開業した税理士より安定した収入が得られるとも言えるのです。但し、独立開業の税理士のように1億円以上の年収になる可能性は極めて低いです。
年収の上限は、独立税理士よりは低いものの、安定を選ぶのであれば勤務税理士の方がよいと言えるでしょう。
事務所の規模によって年収が異なる
税理士の平均年収は、勤務する事務所の規模によっても異なります。
従業員100人未満の中規模の税理士・会計事務所で働いているのであれば約600万円です。そして、 100人以上の大規模の事務所となれば約900万円までに上ります。大規模の事務所においては、初年度で年収500万円になることもあるのです。
企業内税理士の年収
近年、企業が経理・財務部門の体制を整備するために税理士を採用するケースが増えています。
そのため、企業で勤務する企業内税理士は増加傾向にあります。
税理士・会計事務所で勤務する税理士と同様、企業内弁護士の年収は最低でも400~500万円で安定します。部長等の管理職であれば600~700万円の届くことも可能ですが、それ以上の年収をあげることは難しいかもしれません。
但し、外資系の企業の場合は、700万円以上の高い年収を期待出来ます。英語が苦手でなければ外資系企業を選択肢に入れてみることをおすすめします。
年齢別年収推移
次は年齢別の平均年収の推移を見ていきます。
税理士は年を重ねるごとに年収が右肩上がりになることが見て取れます。そして、50代でピークをむかえるのです。
つまり、勤続年数によって年収が異なる、ということも言えるでしょう。
男女の平均年収
厚生労働省が行っている賃金構造基本統計調査によると、2015年の税理士の平均年収は、男性が790万円、女性が570万円です。
また30代の税理士に絞って平均年収を見ると、男女ともに約700万円です。一般企業のビジネスマンよりも高い年収が見込めるという結果になっています。
また、独立開業をすることで税理士は、さらに高収入を見込めます。そのため、将来的に税理士として独立を目指す方も少なくありません。
他の士業との年収比較
ここで他の士業と比較してみましょう。平均年収1,042万円の税理士に対し、公認会計士、社会保険労務士、司法書士、行政書士はどの程度の年収なのでしょうか。
公認会計士
公認会計士の代表的な仕事は「監査」です。
日本の数ある会社の中で、上場企業や資本金が5億円以上ある大企業は、法律に沿って経営をしているかどうかのチェックを受けなければなりません。そして、このチェックのことを監査と呼んでいます。
公認会計士の平均年収は『926万円』(『http://heikinnenshu.jp/shi/kaikeishi.html』)です。このデータから分かることは公認会計士より税理士の方が年収は高いということでしょう。
社会保険労務士
社会保険労務士は、企業を構成する経営資源である「人・物・金」のうち「人」に関する部分を担当するスペシャリストを指します。
2016年に厚生労働省が行った賃金構造基本統計調査によると、社会保険労務士の平均年収は『527万円』(『http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html』)というデータが出ています。
このデータを見る限りでは、社労士より税理士の方が年収は高いということです。
司法書士
司法書士の主な仕事は、登記に関わる書類作成をメインの仕事にしています。「平均年収.JP」によると、司法書士の平均年収は『630万円』(『http://heikinnenshu.jp/shi/shihou.html』)です。
このデータから言えることは、司法書士より税理士の方が年収は高いということです。
まとめ
税理士と一口にいっても就職先や勤続年数によって年収に差が生じることが、本記事を通してお分かりいただけたでしょうか。
税理士になるためには、ある程度の時間と費用がかかることから、「年収は高い方がよい」というのが本音かしれません。
しかしそれについては、「安定を選ぶ」のか、もしくは「高い収入を選ぶ」のかによって大きく左右します。どちらを選ぶかは、みなさんが描くライフスタイルに合わせた方を選ぶのがよいと言えるでしょう。税理士への道を検討している方にとって、本記事が参考になっていただけたら幸いです。