新しい人材を採用するとき、必ずと言っていいほど行われる面接。初めて面接官になる方にとっては、このような悩みに直面するのではないでしょうか。

・人事については全くの素人だから分からない
・何を基準に採用を決めればよいか悩む
・何を質問すればよいか分からない

 たしかに、いざ面接をする側になると何をすればよいのか悩むかもしれません。しかし、面接官を務めるうえで“あるポイント”を押さえることで、これらの迷いをクリアにすることが出来ます。
 そこで、今回は面接官を務めるための心得についてお伝えさせていただきます。

 

 面接を行う目的

 はじめに、面接を行う目的を把握していきましょう。

目的➀人材の見極め

 面接の一番の目的は、人材を見極めることです。仕事の能力をはじめ、コミュニケーションスキルや仕事に求めていること等、あらゆる面から見定めていかなければなりません。

 特に近年は、定年まで1つの企業に勤務し続ける「終身雇用制」が衰退し、新入社員をイチから教育するという文化が衰勢しつつあります。

 このような背景があることから、即戦力となる社員の採用が求められるようになり、人材の見極めをすることが必要になってきたのです。

目的②ミスマッチの防止

 即戦力となる能力やスキルがあっても、応募者の希望する仕事内容と会社が求める業務の間にギャップが生じる可能性があります。これは、トラブルや早期離職を招く原因になりかねません。
 そうならないために、面接ではミスマッチの防止をする目的があります。

 応募者が職場に求めるものをヒアリングし、こちらも情報提供をすることで両者にギャップがないかどうかの確認作業を行います。

目的③口説き

 文化科学省が行った新卒者の就職率データによると、2017年3月に卒業した新卒者の就職率(4月1日現在)は調査開始以来、最高の97.7%にまで上りました。
 このデータから見えてくるのは、優秀な人材は働きたい企業を選択するという傾向になってきている、ということでしょう。

 そのような売り手市場の時代だからこそ、面接は自社をアピールする場なのです。そして、優秀な人材が自社を選んでくれるよう、口説くことも重要と言えるでしょう。

 

面接官がやるべきこと

 それでは次に、お伝えした面接の目的を達成するための“やるべき3つのポイント”をご紹介します。

やるべきこと➀応募者の情報を引き出す

 応募者が持っているスキル、希望する仕事等、短い面接の場で出来る限りの情報を引き出す必要があります。応募者の本来の姿を引き出すための、話しやすい雰囲気づくりが大切と言えるでしょう。

やるべきこと②自社の情報を提供する

 応募者が知りたいと思っている情報を、的確に伝えることが必要です。企業側も選ばれているという応募者からの視点を忘れてはいけません。応募者が求めている情報を把握し、一人ひとりのニーズに合った情報提供をする必要があります。

 やるべきこと③自社の採用要件に照らし合わせて応募者を評価する

 「この人は自社でどのように活躍するのか」というイメージを持ちながら面接に臨みましょう。
 面接官は、自社の採用要件をよく理解したうえで、応募者を評価することが求められます。これは、採用の「ミスマッチの防止」にもつながります。

 では、次項から“やるべきこと”を実践するうえでの心得を見ていきましょう。

 

面接官の心得

 面接官の心得は、以下の4つのポイントが挙げられます。

心得➀応募者から見られているという意識を持つ

 マイナビ転職が、求職者を対象に行った「転職先を決定するうえでの人事・面接担当者の影響」というアンケートによると、以下のような結果となりました。

「大きく影響した」…31%

「ある程度影響した」…47%

「どちらとも言えない」「ほとんど影響しなかった」「全く影響しなかった」…22%

引用元:https://careerlab.tenshoku.mynavi.jp/knowhow/knowhow-4109/

 このデータから、面接官の印象は企業のイメージの直結する傾向にある、と言えるのではないでしょうか。
 そのため、応募者から見られているという意識を持って面接官を務めましょう。

心得②身だしなみを整える

 見られているということから、面接官も身だしなみを整えておく必要があります。だらしない服装や清潔感のない格好からは、残業が多くて疲れ切っているように見え、「過酷の労働環境」や「ブラックな会社」を連想させる可能性は否定出来ません。
 そのため、以下のように身だしなみを整えましょう。

・髪型は表情がよく見えるよう、前髪が目にかからない長さに整える
・派手なアクセサリーやメイクは避ける
・香水や汗のにおいに気を遣う
・服装はスーツやオフィスカジュアル等を着る
・ヒゲは剃る

心得③応募者に対し敬意を払う

 面接官とはいえ、上から目線で面接を行うことはNGです。たしかに、「面接官だからキリっとした態度で上から目線でないとダメなのでは?」と思うかもしれません。しかし、面接官が横柄な態度で面接に臨んでしまっては、応募者は委縮して自分を出せずに終わってしまう可能性が考えられます。

 そうならないためにも、必ず相手に敬意を払って接してください。
 例えば、事前にしっかり履歴書の内容を把握して、それに合った質問内容を準備したり、相手が知りたい情報等も的確に伝えたり等、誠実な対応を心がけましょう。

心得④応募者は緊張していることを念頭に置いておく

 面接は、誰もが少なからず緊張してしまうものです。その状態では、普段通りの会話が出来ない応募者もいるかもしれません。
 それを防止するために、冒頭に面接官自身の自己紹介をしたり、雑談を挟むなどの雰囲気づくりをしたりすることが、応募者の本来の姿を引き出すコツなのです。

 

面接の進め方

 

 それでは、以上で説明したことを実践出来るような面接の進め方をご紹介します。

進め方➀応募者の入室・挨拶

 応募者の入室時は、動作や挨拶の仕方等をチェックしながら話しやすい雰囲気づくりを行いましょう。柔らかい笑顔で応募者に挨拶をすることが雰囲気づくりのポイントです。

進め方②冒頭

 いきなり質問から入るよりも場が和むように、まず面接官自身の自己紹介から始めましょう。履歴書をもらった際には、それを見て趣味などの雑談をしましょう。話を膨らませことが難しい場合は、天気や時事ネタでも構いません。

進め方③履歴書に記載されている内容を中心に質問

 柔らかい表情を忘れずに質問を始めていきます。
 はじめは、志望動機や自己アピール等を中心に聞いていきましょう。履歴書に記載されていたとしても、応募者自身の口から話してもらってください。
 また、応募者の話を聞く際は以下のことを心掛けて話しやすい空気をつくりましょう。

・頷きや相槌を打つ→話をしっかり聞いてくれていると感じる
・応募者の話のペースやトーンに合わせて会話をする→応募者が話しやすい空気になる
・話の内容を要約して相手に返す→話を理解してくれているという安心感がある

進め方④企業側の情報提供

 応募者のことを理解してきたところで、次に会社概要や採用職種、仕事内容についての情報を提供していきます。これは自社と応募者の間に認識の相違が生じないためです。

進め方⑤適正チェックを行うための質問

 コミュニケーションスキルや職務適正等をチェック出来る質問をしていきます。
 以下のようなことから確認するとよいでしょう。

確認⑴前職への入社動機

 入社動機は、応募者が考えている「働くことについてのポリシー」の表れとも言えます。働く目的と自社の企業文化にギャップがないかどうかの判断材料になるでしょう。

確認⑵仕事の実績

 以前の仕事の実績を聞くことで、入社後どの程度の貢献が出来るかが判断出来ます。

確認⑶スキル・ノウハウの有無

 持っているスキルやノウハウを確認することも重要です。自社で保有する以上のスキル・ノウハウを持っている応募者は、業務改善や利益拡大等に直結する人材の可能性があります。

 例えば、自社で手掛けている事業を応募者ならどのように仕事をしていくか等の質問をすることで、その人が持つノウハウを聞き出すことが期待出来ます。
 また、スキルを確かめるために、現場責任者や専門職の担当者を面接に同席してもらうのも一手でしょう。

進め方⑥質疑応答

 最後に、応募者からの質問を受け付けます。出来る限り応募者が納得するような答えを提供していきましょう。

進め方⑥合否の連絡

 お互いに聞きたいこと等がなければ、面接を終了します。そして合否の連絡方法と連絡予定期間を伝えます。
 例えば、“合否に関わらずメールで一週間以内にご連絡します”といった具合に伝えましょう。

進め方⑦応募者の退室・見送り

 終了後は、オフィスの入口、またはエレベーターまで見送りをしましょう。この際に雑談をするのがポイントです。面接が終わったということで、応募者はホッと安心しているため、帰り際は本音を聞きやすいのです。

 面接時にあまり話を引き出すことが出来なかった場合に、帰り際に雑談をはさむのは本音を聞ける手段になるでしょう。

 

面接官経験者が語る、よい面接を行うための心構え

 では実際に、面接官を務めている方はどのようなことに心掛けているのでしょうか。面接官経験者の声を聞いてみましょう。

◆30代・メーカー・男性
 すぐ本題にはいきません。「ご出身は▲▲なんですね。私もプライベートで行ったことがあるんですよ。」や「趣味が×××とは、なかなか珍しいですね。」というように、会話しやすい話題から入るようにしています。場が和み応募者の緊張もがほぐれます。

◆30代・人材業界・女性
 私が面接の際に意識していることは人材の見極めだけでは終わらない、ということです。まず、面接の前半に人材の見極めをします。そして、採用したい人材で当社に入社するとどのようなメリットがあるのかをしっかり伝えます。また、応募者が不安に感じていることがあればこの場で解消出来るよう努めますね。

 面接は、会社をアピールする絶好の機会でもあるのです。

◆40代・商社・男性
 うちの会社では求人広告で応募者を集める採用手法をとっています。しかし、求人広告だけでは、お互いに思い違いをしている可能性は否定出来ません。そのため、採用したい人材にはミスマッチを防止をするために仕事内容や待遇条件を詳しく話をします。

 特に給与や勤務条件については、応募者の方から聞きにくいでしょう。もし、希望と違うのであれば入社前にそのことが分かった方が、お互いのためになります。

 

面接官が陥りがちなNG事項

 人材を見極めるとき、面接官が陥りがちなNG事項があります。それは「ハロー効果」と「仲間探し」による合格採用です。

NG➀ハロー効果

 ハロー効果とは、ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の部分の評価が歪められる現象のことを指します。
 面接でよく起こるハロー効果は、元気よく応答する応募者に対して好感を持ち、能力判定の機会を設けず採用してしまうことです

 たしかに、明朗快活な方に好感を持つことはごく自然のことでしょう。しかし、自社のとってのよい人材とは限りません。応募者の能力や仕事に対しての価値観等をしっかり見極めなければ、面接の目的は達成出来ません。

NG②仲間探し

 「仲間探し」とは、能力やスキルを問わず、「一緒に働くにふさわしい好感の持てる人材」であると判断し、採用を決めてしまうことをいいます。

 この場合もスキルや仕事に関するポリシーの判定を怠っていることになります。人物として企業にマッチしているとはいえ、能力面で見れば即戦力として活躍出来る人材か否かの判断がで出来ているとは言えません。

 上記2つに共通していることは、好感を持てるからといって採用してはいけないということです。

 

面接でタブーとされている質問事項

 面接では、次に挙げる質問をすることはタブーとされています。

タブー➀男女の交際・結婚・出産等、生活に関わる質問

 男女の交際や結婚、出産に関する質問はセクハラととられる可能性が考えられます。というのも、これらのことを理由に労働差別を行うと不法とされることがあるためです。

 また、女性に対する結婚、出産に関する質問をする企業は、結婚・出産後に辞めてしまうのではないかという懸念をしているのかもしれません。しかし、これは女性を不当に扱う差別的質問であると捉えられてしまうことが考えられます

 もしくは、「男女の平等が図られていない女性を差別する会社」という印象を応募者に植えつけかねません。
 これらのことから、男女の交際・結婚・出産等、生活に関わる質問はタブーとされています。

タブー②思想や宗教に関する質問

 法律では思想や信教の自由が保障されています。つまり、どのような政治思想を持っていても、どんな宗教を信仰していても自由であることが、国から保障されているのです。

 そのため、思想に関する質問は好ましくありません。また、特定の宗教に加入しているかなどの質問も、避けた方がよいでしょう。

 

まとめ

 面接の心得を誤ると、思わぬミスマッチを招きかかねません。そして、本来の素質を見抜くことが出来ず、有望な人材を不採用という裁定で見逃してしまう可能性も考えられます。

 一方、本記事でお伝えしたような面接の仕方を心得ていれば、自社にマッチした人材の採用も実現可能でしょう。
 面接官慣れしていない方や採用がうまくいかない方は、ぜひ本記事を参考に面接に臨んでみてください。