一般的に広報とは、企業や行政、自治体等が行う活動内容や商品等を情報発信する業務を指します。
 本記事では、企業においての広報を学びながら、広報と似て非なるIRや宣伝・販促との違いについても深掘りしていきます。

広報とは何か

 企業においての広報とは、自社の製品やサービス等を消費者に知ってもらえるようにすることをいいます。その役割を担っているのが、広報部もしくは広報担当者です。
 広報はPR(Public Relations:一般の人々との関係性)職と呼ばれることもあります。
 大企業では10名以上が在籍する広報部があります。中小企業では広報部がなく、広報担当者が1人または数人のみ在籍しているケースが多いです。

 広報の仕事は大きく分けて「社外広報」と「社内広報」の2つがあります。

社外広報

 社外広報とは、自社の製品・サービス等を社外に発信する活動を指します。主に、テレビや雑誌、新聞、Webサイト等のメディアに自社の製品・サービス等を紹介してもらうための活動を行います。

 また、自社のホームページやSNS等を利用して情報発信をしたり、“企業の顔”として、メディアのインタビュー等に答えたり等も社外広報に該当します。
 その他、社外広報には以下が挙げられます。

・プレスリリースの作成(マスコミ等に向けた告知文書の作成)
・記者会見の実施
・企業情報伝達のための資料作成
・情報漏えいや事故・クレーム等があった際の対応

社内広報

 社内広報とは、社内の従業員に向けた情報発信をいいます。
 例えば、新人社員のプロフィールを社内報に掲載したり、各部署の面白い取り組みや小ネタ等を社内ブログにアップしたり等が、社内広報に挙げられます。

 社内の出来事を従業員に共有することで、希薄になりがちな部署間のコミュニケーションを活性化させ、企業に一体感を生み出すことが社内広報の目的です。
 その他にも以下が社内広報の業務に挙げられます。

・広報活動のメルマガ配信
・他部署が行う活動の情報収集
・社内イベントの企画・運営
・経営陣との情報共有

 

広報で大変なこと

 このように広報は社外と社内の両者と関わって業務を行っていきます。よって、以下のように、大変な思いをする場面があります。

■板挟みになる
 広報は社内と社外、両方と関わる機会が多いです。そのことから、ときに社内と外部メディアの間で異なる意見をぶつけられ、板挟みになり大変な思いをする場合があります。

■トラブル時の対応
 広報は不祥事や事故等、会社の問題が起きたときには、窓口として直ちに対応しなくてはなりません。そこで、直接お客様から厳しい意見やクレームを受けます
 たとえ自身が原因でなかったとしても会社の代表として謝罪をしなければならなく、広報の仕事の辛い一面と言えるでしょう。

■プレスリリースの作成
 広報の重要な仕事の1つに、プレスリリースの作成が挙げられます。プレスリリースは、マスコミに自社の製品・サービスをアピールするうえで必須です。

 マスコミ関係者には毎日、多くの企業からプレスリリースが送られてきます。そのため、魅力的な文章を作ることが出来なければ自社のプレスリリースを扱ってもらえません。

 情報を広めることを命題とされている広報にとって、プレスリリースの作成はプレッシャーが伸し掛かる仕事なのです。

 

広報の仕事のやりがい

 広報の仕事は数々の大変な思いをする一方で、大きなやりがいも実感出来ます。

◇“会社の顔”として活躍出来る
 広報は、“会社の顔”として、企業イメージをコントロールする重要な役目を担っています。
 消費者が抱く企業イメージがよくなったり、自社商品の認知度が上がったり等を実感すると、大きなやりがいを感じられます。

◇様々は人と関わり人脈を広げていける
 広報は日々、社外の様々な人と接するため人脈が広がりやすいです。その作り上げた人脈で会社に貢献出来たとき、大きな達成感を味わえます。

◇世間の評判が耳に入ってくる
 外部と関わる機会の多い広報は、周囲が発信した自社に対する評判や意見を直接耳にする場面が多いです。「いい会社ですね」「このサービスとてもよかった」等の好評をいただくと、この上ない喜びとやりがいを感じます。

 

 広報に向いている人

 では、広報はどのような人が向いているのでしょうか。 
 以下の3つを備え持つ方が広報に向いていると言えるでしょう。

〇伝える力がある人
 広報は、企業が持つビジョンや商品・サービスのコンセプト等を伝えなければなりません。そのため、それらの情報をしっかり理解し、自分の意見として分かりやすく伝える力がある人が向いていいます。

〇情報収集力
 広報は、正確に情報を外部に伝える能力が求められます。よって、必要な情報を得られる情報収集力のある人が適任と言えるでしょう。

〇メディアリテラシーがある人
 近年は、情報を広めるためにFacebookやTwitter等のSNSを有効活用している企業が多いです。そのため、それぞれのSNSの特性を理解し適切に情報を発信出来るような、メディアリテラシーがある人も向いているでしょう。

 

広報の年収

 広報の年収は、求人サイト「スタンバイ」が以下のように算出をしています。

200万円台1.6%

300万円台13.9%

400万円台20.6%

500万円台20.5%

600万円台16.6%

700万円台11.1%

800万円台7.5%

900万円台3.3%

1,000万円台2.5

1,1000万円台0.9%

1,200万円台0.8%

1,300万円台0.6%

1,400万円台0.4%

1,500万円以上0.3%

引用元:https://jp.stanby.com/contents/detail/koho/salary

 このデータは、2017年9月時点での求人案件から分析したものです。
 一番多いのが400万円台で20.6%、次いで500万円台が20.5%です。2017年の国内の平均年収が、求人情報・転職サイト「DODA」で『418万円』(『https://doda.jp/guide/heikin/』)と発表されていることから、広報の年収は平均よりやや高めと言えるでしょう。

 また、年収800万円以上が16%いることから、スキルを磨くことで高額年収も期待出来ることがデータからうかがえます。

 

広報と「IR・宣伝・販促」の違い

 さて、広報と似た言葉にIRや宣伝・販促があります。これらと、どのような違いがあるのでしょうか。

広報とIRの違い

 IRは「Investor Relations(投資家との関係性)」の略称です。広報(PR)が消費者等に向けた情報発信を指すのに対し、IRは投資家向けに自社の経営情報を発信することをいいます。
 IRは、自社のブランド価値を株式市場で高めていくのが目的があります。

広報と「宣伝・販促」の違い

 広報と「宣伝・販促」は、どちらも企業の製品・サービスを消費者に認知させていく仕事のため一見同じように見えます。しかし、広報と「宣伝・販促」には大きな違いがありま。    
 それは、「有料で情報発信をするかどうか」という点です。

 広報は、広報担当者がマスコミ等の報道してもらえるようプレスリリースを作成し、新聞や雑誌の記事として取り上げられることによって、無償で自社の情報が世の中に伝わります。
 一方、「宣伝・販促」は企業が予算を組み、あらゆる方法で情報発信をしていきます。

 ただ、情報発信の方法によって宣伝と販促に分かれます。

宣伝とは

 宣伝とは、広告代理店等の情報を広めることをメインにしている会社と連係をして、テレビCMや新聞広告、チラシ等の広告を用いた情報発信のことをいいます。

販促とは

 対して、販促はチラシ、パンフレット等のSP(Sales Promotion)媒体、電車の中吊り広告を利用した交通広告、WEB広告等が該当します。
 また店舗展開をしている企業では、お店に配置するPOPや、店内の装飾、クーポンの配付等も販促に含まれます。

 

終わりに

 以上のように、広報とは自社の製品・サービス等を消費者に知ってもらえるようにする活動であることが分かりました。
 また、情報発信をする方法や相手によって、呼び方がIRや宣伝、販促と変わるのも特徴です。
 広報へのジョブチェンジを検討している方は、呼び方の違いに留意しながら転職活動をしましょう。