特許等の知的財産等を権利化するサポートを生業にしている弁理士。今回はそんな弁理士の年収について深掘りしていきたいと思います。

 

弁理士の平均年収

 様々な職業の年収を紹介している「給料BANK」によると、弁理士の平均年収は、『約640万円』(『https://kyuryobank.com/samurairanking』)です。平均年収が『430万円』(『https://kyuryobank.com/samurairanking』)である一般企業に勤めるビジネスマンよりは年収が高いと言えるでしょう。
 但し、弁理士の年収は勤続年数や就職先によって変わります。

 

勤続年収による年収の違い

 弁理士の年齢別の年収データを見ると、勤続年数によって年収が変わることがうかがい知れます。
 様々な職業の年収データを算出している「平均年収.jp」によると、以下のような年齢別の年収になっています。

年齢 平均年収
20~24歳 433.2万円
25~29歳 539.6万円
30~34歳 592.8万円
35~39歳 676.4万円
40~44歳 760.0万円
45~49歳 851.2万円
50~54歳 912.0万円
55~59歳 904.4万円
60~65歳 615.6万円

引用元:https://heikinnenshu.jp/shi/benrishi.html#chapter2

 年齢が上がっていくにつれ年収が上がっていき、50~54歳でピークをむかえます。このことから、<span class="fw-bold">勤続年収が長くなると年収が高くなる傾向にある</span>、と言えるでしょう。

 

就職先による年収の違い

 次は就職先による年収の違いをお伝えします。弁理士の就職先は、特許事務所や一般企業がメインです。

<就職先①>特許事務所

 特許事務所では、以下のように立場によって年収が大きく変わります。

立場 年収
所長

大手特許事務所…数千万~数億円

中規模特許事務所…数千万~1億円

小規模特許事務所…数百万~数千万円

パートナー 数百万~数千万
勤務弁理士

特許弁理士…500~1,500万円

商標弁理士…500~1,500万円

意匠弁理士…500~1,500万円

国際弁理士…500~1,000万円

事務弁理士…400~1,000万円

参照元:https://sactjp.com/magazine/bennrishi-salary/

 それぞれの立場について触れていきます。

【立場①】所長

 所長とは、独立して特許事務所を経営している方を指します。所長の年収は事務所の規模によって変わります。

■大手事務所
 大手事務所の所長の年収は、数千万~数億円が一般的です。別会社も経営している所長もいます。その場合は数億円の年収を得ていることが予想されます。

■中規模事務所
 中規模事務所の所長の場合は、経営が軌道に乗っているケースが多いため、年収は数千万~1億円になります。

■小規模事務所
 経営が軌道に乗る前の小規模事務所の場合、所長の年収は数百万~数千万円と決して高いとは言えません。

【立場②】パートナー

 パートナーとは、会社に例えると取締役の地位に当たります。
 パートナーの年収は数百万~数千万円です。ただ、所長の立場に近い代表パートナーの場合は1,000万円を超えるケースが多いです。

【立場③】勤務弁理士

 特許事務所で働く勤務弁理士は、業務内容によって若干年収が変化することがあります。

■特許弁理士
 特許弁理士とは、発明者との面談や特許明細書の作成等、特許に付随する業務をメインの行う弁理士のことを指します。
 勤務弁理士の中で多くを占めている特許弁理士の年収は、500~1,500万円です。業務数や実績によっては、1,000万円を超えるケースもあります。

・特許とは

 新しい発明をした者や、発明に対する権利を一定期間保護することをいいます。

■商標弁理士
 商標登録の手続等の業務をメインに行う商標弁理士の年収は、500~1,500万円です。

・商標とは

 取り扱う商品やサービスを、独自の標識やトレードマーク等で示したものを指します。

■意匠弁理士
 意匠権の登録手続等を行う意匠弁理士の年収は、商標弁理士と同様500~1,500万円です。

・意匠権とは

 物品の斬新なデザイン等に対して与えられる権利を指します。

■国際弁理士
 国際弁理士とは、2ヶ国以上の弁理士資格を保有している弁理士のことを指します。
 例えば日本とアメリカの弁理士資格を保有している国際弁理士は、両国の案件を扱うことが出来ます。
 年収は、500~1,000万円です。

■事務弁理士
 事務弁理士とは、特許事務所で事務員として働いていた方が、資格試験に合格し弁理士として引き続き事務をメインに行っている方を指します。弁理士数が多い大手の事務所で、事務弁理士が活躍している傾向にあります。
 年収は400~1,000万円です。

<就職先②>一般企業

 続いて一般企業で働く弁理士の年収について見ていきましょう。
 一般企業の場合、弁理士としての勤務ではありませんが、資格手当として5~10万円ほどつくケースがあります。年収は一般労働者とさほど変わりありません。
 ただ、以下のように企業規模によって年収が変わります。

企業規模 平均年収
大企業 881.6万円
中企業 729.6万円
小企業 661.2万円

引用元:https://heikinnenshu.jp/shi/benrishi.html#chapter2

 このデータを見る限り、企業規模が小さくなるにつれ年収が低くなると言えるでしょう。

 

弁理士の年収分布

 勤続年数や就職先によって異なるものの、弁理士の年収にはある程度傾向があります。
 求人サイト「スタンバイ」では、求人の給与情報から以下のように弁理士の年収分布を算出しています。

引用元:https://jp.stanby.com/contents/detail/benrishi/salary

 500~700万円台が過半数を占めています。このことから、勤務弁理士の多くが500~700万円台であることがうかがい知れます。

 

士業年収ランキング

 では、弁理士の平均年収は他の士業と比較してどの程度なのか見ていきましょう。

【士業の年収ランキング】

順位 士業名 年収
1位 弁護士 1,168万円
2位 公認会計士 880万円
2位 税理士 880万円
4位 司法書士 864万円
5位 不動産鑑定士 752万円
6位 一級建築士 672万円
7位 弁理士 640万円
7位 社会保険労務士 640万円
9位 土地家屋調査士 574万円
10位 行政書士 531万円

引用元:https://kyuryobank.com/samurairanking

 このランキングから言えることは、数ある士業の中で7番目であることから比較的高いと言えるでしょう。

 

弁理士の将来性

 最後に、弁理士の将来性について触れさせていただきます。

 弁理士の業務である特許手続数は、現在減少の一途を辿っています。『2007年に396,291件あった特許出願件数は、毎年減少し続け2016年には318,381件』(『http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170330002/20170330002.html』)にまで下降しています。対して、弁理士の数は、2002年は5,192人だったのが2013年には10,171人に達し、約2倍に増えているのです。

 ですので、今後は国内の特許手続関連の業務をメインにしていくことは難しいと考えられています。

 そこで、活躍出来る業務として期待されているのが、国際特許の手続業務です。世界的に見た特許出願数は、2006年の1,791,000件から年々増加し、2015年には2,889,000件にまで増えています。

 そのため、今後は国際弁理士が有利になることが予想されます。

 

まとめ

 弁理士の年収は、勤続年収や就職先によって異なりますが、長く働き続けたりや特許事務所でパートナーになったりすることで年収の増加が期待出来ます。
 ただ、特許出願件数の減少等によって弁理士の業務も縮小傾向にあります。
 ですので、これから弁理士を目指す方は、将来を見据えて国際特許に携われる国際弁理士になることも視野に入れた方がよいかもしれません。