「高卒でも弁護士になれる?」
「高卒で弁護士になっても働く場所ってある?」
このように高卒から弁護士になることを目指している方にとっては多くの疑問があるようです。今回はそれらの疑問に応えていきたいと思います。
高卒でも弁護士になれる
そもそも弁護士になるためには、司法試験に合格する必要があります。ただ、司法試験には受験資格があります。それは次の2通りです。
①法科大学院(ロースクール)を修了した者
②司法試験予備試験に合格した者
高卒でも上記の①か②の条件をクリアすれば、弁護士になるチャンスは得られるのです。
高卒で弁護士になる方法
では、①②の条件について深掘りをしていきましょう。
①法科大学院(ロースクール)を修了する
司法試験の受験資格を取得するための最もポピュラーな方法が「法科大学院(ロースクール)を修了」です。
法科大学院とは、法曹と呼ばれる弁護士・検察官・裁判官の養成に特化した教育を行う学校のことをいいます。別称、ロースクールと呼ばれています。
法科大学院は大学院に当たるため原則、大学卒業資格が必須です。高卒の方が法科大学院に通うためには、まず大学に進学しなければなりません。
但し、例外で大学に通わなくても法科大学院に進学出来るケースがあります。それは、事前の審査で大卒者と同等の能力があると評価されることです。
同審査は法科大学院によって内容は異なるものの、いずれもハードルは高いです。TOEICでのスコアが一定数以上であるかどうかや、後述する司法試験予備試験の短答式試験(マークシート方式の試験)に合格しているかどうか等、あらゆる要素を総合的に見て判断されます。
②司法試験予備試験に合格
もう1つの方法が、司法試験予備試験に合格することです。
司法試験予備試験は、法科大学院を修了した者と同等の能力があることを証明する試験として、2011年に新設されました。
司法試験予備試験には受験資格がないため年齢や学歴を問いません。高卒の方が弁護士を目指すにはこのルートが一般的と言えるでしょう。
高卒が弁護士になるには最短何年?
では、高卒の方が「②司法試験予備試験に合格」から弁護士になるのは最短何年かかるのでしょうか。それには以下の4つの関門を通らなければなりません。
【第1関門】司法試験予備試験に合格
司法試験予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験を順に受けていきます。短答式試験に合格した方のみが論文式試験に進み、それの合格した方のみが口述式試験を受けることが出来ます。そして、後述式試験を突破すると晴れて司法試験予備試験に合格したことになります。
それぞれの試験は以下のスケジュールで行われます。
・短答式試験…例年5月中旬頃
・論文式試験…例年7月中旬頃
・口述試験…例年10月下旬頃
いずれも年1回実施されます。
【第2関門】司法試験に合格
司法試験は例年5月頃に実施されます。ですので、司法試験予備試験に合格したから司法試験に受験するまで約7ヶ月、間隔が空きます。
【第3関門】司法修習所で研修
司法試験に合格後は、約1年間にも及ぶ司法修習所での研修が待ち受けています。例年12月頃から実施されるため、司法試験に合格した年に同研修を受けられます。
弁護士の実習生として、現場で実務等の経験を積みます。
【最終関門】司法修習生考試験(二回試験)合格
司法修習所での研修を終えると、ついに最終関門です。最後は、司法修習生考試です。通称・二回試験とも呼ばれる司法修正生考試は、例年11月に行われます。
最短で2年7ヶ月かかる
では、第1関門から最終関門まで最短何年かかるのでしょうか。
2019年の司法試験予備試験を受検するAさんを例にして見ていきましょう。
上記の図で分かるように司法試験予備試験コースで弁護士になろうとすると最短で2年7ヶ月かかるのです。
高卒の弁護士の就職先
司法修習生考試験に合格すれば、経歴は関係ありません。高卒も4大卒(4年制の大学を卒業)も横一線です。弁護士の主な就職先は、次の4ヶ所に分かれます。
弁護士事務所
弁護士資格を取得すれば、自身で法律事務所を構えることが可能です。とはいえ、いきなり事務所を開業してもノウハウが不足しています。そこで多くの方は弁護士事務所に就職します。
弁護士事務所では、それぞれの事務所が独自のカラーを持っているため扱う案件が異なります。
ひまわり公設事務所・法テラス
現在、弁護士数は大都市圏に多く、地方は少ない傾向にあります。それを懸念する日本弁護士連合会が、弁護士過疎地を解消ために立ち上げたのがひまわり公設事務所です。
また、国の出資により法的トラブルの解決のため設置されたのが法テラスです。
扱う内容は一般の事務所と同様ですが、勤務地域や設立主体に特色がある職場です。
大学
大学教授として働くことも出来ます。大学の法学部や法科大学院で学生に法律について教える仕事をします。勤務形態は下記のように様々です。
●専任の大学教授
●弁護士業務も兼務する大学教授
●限定したコマ分を教える非常勤講師
●チューター(学生に勉強の助言をしたり教授の補佐をしたりする人)
塾
司法試験予備校に就職する弁護士もいます。資格取得に至るまでに蓄積してきた知識やスキルを活かして、塾の講師として活躍する弁護士も少なくありません。
一般企業
法律に関する知識を活かし、一般企業のバックオフィスで法務に従事する弁護士もいます。そのような弁護士のことをインハウスローヤー(企業内弁護士)といいます。
インハウスローヤーの数は年々増加傾向にあります。詳しくは「<a href="https://seek-job.jp/article/41786274" target="_blank">インハウスローヤー(企業内弁護士)のワークライフバランスと年収</a>」で説明しているので併せてご覧ください。
検察事務官から弁護士になれる
実例が少ないため触れませんでしたが、高卒から弁護士になるにはもう1つの方法があります。それは、検察事務官から弁護士になる方法です。
検察事務官とは、検察官をサポートし検察業務を行う国家公務員のことを指します。 検察事務官になるためには、公務員試験に合格後、法務省刑事局か検察庁の採用面接に合格しなければなりません。
検察事務官になった後、所定の試験に合格すると「副検事」になります。「副検事」として3年勤め、所定の試験に合格すると「特任検事」になります。
「特任検事」は、司法試験に合格した者と同等の扱いになるため、ここから弁護士への道が開かれます。
以上のように道のりが長いため、検察事務官から弁護士になる方は少ないです。
高卒から弁護士になった人
ネット上では、実際に高卒から弁護士になった人の記事があります。下記から参考にしてみてください。