個人や企業から依頼された官公署(各省庁・都道府県・市区役所・町村役場・警察署等)に提出する書類の作成・申請を代行する仕事を生業にする行政書士。その行政書士になるためには、国家試験である行政書士試験に合格しなければなりません。

 本記事では、行政書士試験の難易度を「偏差値」や「合格率」の観点から紐解いていきたいと思います。

 

過去の合格率から見る行政書士試験の難易度

 はじめは、合格率から見た行政書士試験の難易度を見ていきましょう。直近13年の行政書士試験の合格率を振り返ってみましょう。

年度 出願者数 受験者数 合格者数 合格率
平成29年度 52,214人 40,449人 6,360人 15.7%
平成28年度 53,456人 41,053人 4,084人 9.95%
平成27年度 56,965人 44,366人 5,820人 13.12%
平成26年度 62,172人 48,869人 4,043人 8.27%
平成25年度 70,896人 55,436人 5,597人 10.10%
平成24年度 75,817人 59,948人 5,508人 9.19%
平成23年度 83,543人 66,297人 5,337人 8.05%
平成22年度 88,651人 70,580人 4,662人 6.60%
平成21年度 83,819人 67,348人 6,095人 9.05%
平成20年度 79,590人 63,907人 4,133人 6.47%
平成19年度 81,710人 65,157人 5,631人 8.64%
平成18年度 88,163人 70,713人 3,385人 4.79%
平成17年度 89,276人 74,762人 1,961人 2.62%

引用元:http://www.lec-jp.com/gyousei/about/difficulty.html

 平成17年度の合格率が2.62%に対し、平成29年度は15.7%です。毎年上下しながらも、合格率は上昇傾向にあります。
 年々、受験者数が減少しているのに対し、合格者数が4,000~6,000人の間で一定に推移していることが合格率の上昇の要因と考えられます。

 あくまでも憶測ですが、例年の合格者数を一定数に設定しているのかもしれません。ともなれば、合格率の観点から言えることは、行政書士の難易度は下がっている傾向にあると言えるのではないでしょうか。

 

他資格の合格率と比較した難易度

 続いて、他資格の合格率と比較した行政書士試験の難易度を見ていきましょう。

順位 試験名 合格率
1 司法書士試験

平成28年度:3.95%

平成29年度:4.07%

引用元:https://www.sho4-get.jp/archives/1292

2 社会保険労務士試験

平成28年度:4.4%

平成29年度:6.8%

引用元:http://www.robocup2005.jp/8.html

3 土地家屋調査士試験

平成28年度:8.92%

平成29年度:8.69%

引用元:http://chosa4.com/nanido-goukakuritu/

4 公認会計士試験

平成28年度:10.8%

平成29年度:11.2%

引用元:https://www.studyplus.jp/610公認会計士の難易度・合格率
5 弁理士試験

平成28年度:15.5%

平成29年度:8.9%

出典:特許庁ウェブサイト(http://www.jpo.go.jp/oshirase/benrishi/kako/kekka/index.html)

6 行政書士試験

平成28年度:9.95%

平成29年度:15.72%

引用元:https://www.gyouseishoshi-get.jp/3reason-to-lower-pass-rate-188/

7 税理士

平成28年度:13.2%

平成29年度:17.0%

引用元:http://www.hikarujinzai.com/entry/2017/12/14/143158

8 中小企業診断士(第2次試験)

平成28年度:19.2%

平成29年度:19.4%

引用元:https://www.j-smeca.jp/attach/test/suii_moushikomisha.pdf

9 司法試験

平成28年度:22.9%

平成29年度:25.9%

引用元:https://reatips.info/bar-examination-2017/

 他の国家資格の合格率と比較する限りでは、6番目に難しいのが行政書士試験です。

 

偏差値から見る難易度ランキング

 続いて偏差値から見た難易度を見ていきます。
 有名掲示板サイト「2ちゃんねる」では、「資格難易度・偏差値ランキング」というスレッドが存在しました。
 資格に偏差値はなく根拠は皆無かもしれませんが、少なからず頷ける点もあるため本記事でも以下に紹介させていただきます。

70:裁判官 

68:検察官 

67:弁護士(予備試験) 

66:弁護士(ロー卒) 

65:公認会計士(全科目一括合格) 医師(国公立卒)

  国家1種 

64:弁理士(免除なし)

  アクチュアリー 公認会計士(科目分割合格)

  司法書士 税理士(5科目受験免除なし)

  技術士(総合監理) 

63:医師(私立卒)

  TOEIC990 電験1種(受験取得 認定除外) 

62:弁理士(選択免除) 1級建築士

  技術士(上位部門)不動産鑑定士 

61:1総通 税理士(3科目受験2科目免除)

  通訳案内士 

60:社会保険労務士 土地家屋調査士

  技術士(下位部門)

  中小企業診断士  税理士(2科目受験3科目免除)

     ITストラテジスト 

59:国家2種 システム監査技術者 獣医師 行政書士

  国税専門官 1陸技

  環境計量士 TOEIC900 英検1級 

58:歯科医師 米国公認会計士

  電験2種(受験取得 認定除外)

  その他高度情報処理6種類 

57:証券アナリスト 政令指定都市市役所上級

  日商簿記1級 労働安全・衛生コンサルタント

  気象予報士 薬剤師(国公立卒) 

56:測量士(受験取得)マンション管理士 1級

  FP技能士(学科+金財面接実技) 

55:電験3種(受験取得 認定除外)

  応用情報 英検準1級 TOEIC800

  電気通信主任技術者 エネルギー管理士 

54:技術士補 2級建築士 通関士 年金アド2級

  その他市役所上級 火薬類製造保安責任者甲種 

53:2総通 1種冷凍 公害防止管理者 特級ボイラー

  税理士(Wマスター5科目全部免除) 

  1級FP技能士(CFP+協会筆記実技) 

52:CFP 管理栄養士 TOEIC700 社会福祉士

  一般計量士宅建 管理業務主任者 

  海事代理士 基本情報 

51:工事担任者AIDD総合種 薬剤師(私立卒)

  1陸特 ケアマネージャー 

50:TOEIC600 日商簿記2級 危険物甲種 販売士1級 

48:2級FP技能士 AFP 1級ボイラー 2種冷凍 1種電工

  測量士補(試験取得) 

  1アマ無線 1海特 浄化槽設備士 

46:精神保健福祉士 保健師 助産師 看護師

  理学療法士  作業療法士 貸金業務取扱主任者 

44:介護福祉士 2種電工 3種冷凍 保育士

       年金アド3級  浄化槽管理士

       電験3種(無試験認定) 毒物劇物 2アマ無線 

43:ITパス 日商簿記3級 第1種衛生管理者

  エックス線 英検2級 

40:登録販売者 2級ボイラー 第2種衛生管理者

  2陸特 2海特 危険物乙種 

  測量士(無試験認定) 3級FP技能士 潜水士 

39:普通自動車 販売士2級 危険物丙種 

38:原付

引用元:http://career-information.com/1182

 行政書士試験の偏差値は59です。比較的、高偏差値のため、行政書士試験の難易度は高いと言えるのではないでしょうか。
 但し、繰り返しますが資格に偏差値はありません。そのため、上記の偏差値ランキングは指標程度に捉えるようにしてください。

 

行政書士試験が難しい理由

 ではなぜ、行政書士試験が難しいのでしょうか。その1番の理由は、法律に関する資格であることが理由に挙げられます。
 法律関連の資格には、他に弁護士、弁理士、司法書士があります。いずれも難易度が高く、試験勉強に多くの時間を費やさなければなりません。

 行政書士試験は、それらと比較すると出題範囲は限られていますが、日常で触れる機会がないような難しい法律の問題が出題されます。ですので、十分に勉強をしなければ合格するのは難しいのです。

 

行政書士試験に必要な勉強時間

 そんな難易度の高い行政書士試験に合格するためには、どの程度の勉強時間を要するのでしょうか。おおよそ600時間が必要と考えられています。
 ただ、その時間はあくまでも目安です。宅建などの他資格保有者であれば500時間、初学者であれば800時間等、人により必要な勉強時間は異なります。

 では、仮に800時間とした場合、専業受験生と兼業受験生ではどの程度の期間を勉強に費やせばよいのか考えていきましょう。

専業受験生の場合

 専業受験生は、1日8時間の勉強時間を確保したとします。休みなく毎日勉強すると100日で800時間に達します。ですので、3ヶ月強で勉強時間を確保出来るでしょう。

 但し、無休での勉強は現実的ではないでしょう。そこで、週6日勉強するとします。すると、約4ヶ月で合格を目指せることが分かります。

兼業受験生の場合

 仕事等をしながら勉強する兼業受験生の場合、仕事がある日は3時間、休日には11時間の勉強をするとします。すると、5ヶ月半程度で800時間に到達します。

 

まとめ

 合格率や偏差値の観点から行政書士試験の難易度が高いことをご理解いただけたでしょうか。

 法律の関する問題が出題されるため難しい試験ですが、勉強をすれば必ず合格が可能です。行政書士試験の合格を目指している方は、ぜひ難易度を踏まえた試験勉強を志しましょう。