会計事務所で事務として働いている方は、税理士試験合格を目指している方が少なくありません。しかし、税理士試験の難易度が高いため、志半ばで税理士になることを諦める方もいます。
 そんな中で、会計事務所での経験を活かして、一般企業の経理職に転職することを考える方が増えている傾向にあります。

 そんな方に向けて、転職活動の際の履歴書等に記入する志望動機のコツと例文についてお伝えいたします。

 

志望動機を書く前に知っておいて方がよいこと

 まず、志望動機を書くまえに、知っておくべき内容があります。それは以下の2点です。

業務の違い

 会計事務所と経理職では業務内容が異なります。
 会計事務所の業務は、大きく外勤と内勤に業務が分かれます。
 外勤では、クライアントのもとに足を運び資料を受け取ったり、会計帳簿のチェックを行ったりします。内勤では、外勤で持ってきた資料を元にした会計帳簿の作成をはじめ、各種手続や税務申告等を遂行します。

 対して、経理職は、先述の内勤がメインになります。つまり、志望動機を記入する際は内勤の部分をアピールするのがよいのです。

税務経験に対して期待をされる

 会計事務所から経理職に転職する場合、経験者と見なされるケースが多いです。というのも、会計事務所で働いた経験がある人は、確定申告や税務調査等、税務についての知識が豊富なためです。

 一般企業の経理職では、税務業務を行う機会が少ないです。そのため、会計事務所から転職を希望する者に対して、企業は税務の経験を期待するのです。

 志望動機を作成する際は、積極的に税務経験をアピールポイントしましょう。

 以上の2点から、「内勤」「税務」を中心にアピールするのがよいと言えるでしょう。

 

志望動機を作成する際の注意点

 以上を踏まえた上で、志望動機を作成する際の注意点を伝えいたします。それは以下の2点です。

【注意点①】本音を記入する必要はない

 会計事務所で勤務するスタッフは、顧問する企業等を持っていたり、税理士の資格を保有していたりすると、一定以上の給与になります。しかし、そうでない方は、薄給の傾向にあります。
 たとえ、転職の理由が薄給だとしても、志望理由に本音を記入する必要はありません。それは、あなたの評価がプラスに働かない可能性が高いためです。

【注意点②】税務経験を中心に記入する

 前述の通り、志望動機には税務経験を盛り込みましょう。
 経理職では、税務の経験が重宝されます。会計事務所で培った税務のスキルは、あなたの転職活動を成功に導いてくれる大きな武器になり得るでしょう。
 具体的には、税務経験のうち「決算業務」「クライアント」について述べるのがベターです。
「決算業務」では、決算業務の携わった社数や、業務を通して得たエピソードを伝えるのがベターです。

 また、「クライアント」では、どんなクライアントを相手にしてきたかをアピールしましょう。個人事業主のクライアントを相手にしてきた経験より、企業と同規模の法人のクライアントとやり取りをしてきた経験の方が即戦力になるのではないかと思われ、高評価に繋がりやすいです。

 

例文

 それでは、2つの例文を紹介します。ぜひ志望動機を考える際の参考にしてみてください。

前職では、会計事務所の事務として、クラウド会計の導入や業務効率化に携わっており、年間で〇%の予算削減が実現出来ました。今後の取り組みとして、「利益率の向上」を目標に掲げている貴社の成長を、経理面からバックアップしたいと考えております。

 

前職では、会計事務所のスタッフとして決算業務を中心に業務を遂行していました。また、給与関連の実務や年末調整、法人税、消費税の申告等も行っていました。

そんな中、クライアントである企業の経理担当者と関わるうちに、経理が企業経営の重大な役割を担っていることを実感いたしました。やがて、私も企業の中枢を担う経理職で活躍してみたいという思いが募るようになり、転職を決意しました。

会計事務所で得た決算業務の知識を活かして、貴社の成長に貢献していきたいと考えております。

 

中小企業の経理職への転職がオススメ

 会計事務所から企業の経理職の転職する際、取り扱う業務の規模等から、大手企業を選択するかもしれません。
 しかし、会計事務所の顧問先は、中小・零細企業や個人事業主がメインであることが多いです。会計事務所で勤務する多くのスタッフは、小規模な業務の経験しかしていません。
 そのため、大企業でその経験を活かすことは難しい傾向にあります。

 ですので、会計事務所の事務経験者は、その経験を存分に発揮できる中小企業に転職することをオススメします。