わかりにくいと言われる社会保険労務士試験の受験資格。本記事では出来るだけわかりやすく、社会保険労務士試験の受験資格について、わかりやすくご説明させていただきます。

 

受験資格は3パターンに分けられる

 社会保険労務士の受験資格は、「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の3つに分けられます。それらのいずれか1つを満たすことで受験資格を得られます。
 受験資格を取得した証明になるものも併せて、1つずつ見ていきましょう。

【受験資格①】学歴

 社会保険労務士試験は歴史の長い試験です。学校教育法の変化等にも対応出来るよう、学歴に関しては、様々な受験資格が設けられています。

多くの人が該当する受験資格

 受験を希望する方の多くは次の学歴に該当するでしょう。

受験資格 証明するもの
昭和22年以降に、大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学、5年制の高等専門学校を卒業した方

下記のいずれか

・卒業証明書、またはその写し

・卒業証書の写し

・学位記の写し

専門職大学の前期課程を修了した方(専攻の学部学科は問わない)
大学、専門職大学において62単位以上を習得した者(教育課程、図書館司書、学芸員に関する単位は含まない) 成績証明書、またはその写し
修業期間が2年以上、かつ課程の修了に必要な総授業時間数が1,700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程を修了した方

下記のいずれか

・「専門士」もしくは「高度専門誌」の称号が付与されていることを証明する書面、またはその写し

・専修学校の専門課程の修業期間が2年以上、かつ課程の修了に要する総労働時間が1,700時間(62単位)以上であることを証明する書面、またはその写し

※専修学校修了者の受験資格証明書はこちらからダウンロード出来ます

 

以前の制度に該当する学歴の受験資格

お年を召している方等は、以前の制度に該当する可能性があるので、次の学歴の受験資格に該当するかもしれません。

受験資格 受験資格証明書
大学・専門職大学・専門職短期大学・5年制の高等専門学校において、卒業するために必要な一般教養科目の単位を取得した人 成績証明書、またはその写し

・大正7年以前に高等学校高等科を卒業した方

・大正7年以前に大学予科を卒業した方

・明治36年以前以前に専門学校を卒業した方

下記のいずれか

・卒業証明書、またはその写し

・終了証明書、またはその写し

・卒業証書の写し

 

例外的に該当する学歴の受験資格

 例外的に以下の学校・施設を卒業・過程修了した方も、社会保険労務士試験を受検出来ます。

受験資格 受験資格証明書

以下の学校を卒業、もしくは施設で所定の課程を修了した方

・保険師学校または保険師養成所

・助産師学校または助産師養成所

・看護師学校または看護師養成所

・保育士養成校または栄養士養成施設

・理学療法士学校または理学療法士養成施設

・作業療法士学校または作業療法士養成施設

・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師に関連する学校や養成施設

・柔道整復師学校または柔道整復師養成施設

・言語聴覚士学校または言語聴覚士養成所

・診療放射線技師学校または診療放射線技師養成所

・旧診療エックス線技師学校または旧診療エックス線技師養成所

・臨床工学技士学校または臨床工学技士養成所

・臨床検査技師学校または臨床検査技師養成所

・旧衛生検査技師学校または旧衛生検査技師養成所

・視能訓練士学校または視能訓練士養成所

・義肢装具士学校または義肢装具士養成所

・歯科技工士学校または歯科技工士養成所

・歯科衛生士学校または歯科衛生士養成所

・救急救命士学校または救急救命士養成所

・美容師養成施設

・理容師養成施設

・社会福祉主事の養成機関(修業期間2年以上)

・職業能力開発総合大学校の特定専門課程や長期課程

・職業能力開発短期大学校や職業能力開発大学校の専門課程

・大学の別科(修業期間2年以上)

・高校や特別支援学校の専攻科(2年制の短期大学と同程度と見なされ、かつ就業期間が2年以上に限る)

・修業年限が2年以上かつ課程の修了に必要な総授業時間数 1,700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程

・外国の大学等の卒業者((通算修業年数が14年以上の場合に限る)

・旧朝鮮教育令・旧台湾教育令・旧関東州令・在満帝国臣民教育令・旧外地教育令による大学・大学予科・ 高等学校高等科・専門学校・師範学校・中等教員養成所

・旧図書館職員養成所

・養護教諭養成機関

・幼稚園教諭養成機関

・小学校教員養成機関

・中学校教員養成機関

・盲学校教員養成機関

・旧国立工業教員養成所

・旧国立養護教諭養成所

・旧東京美術学校師範科または本科

・旧東京音楽学校の本科または甲種師範科

・旧高等師範学校または女子高等師範学校

・旧東京農業教育専門学校

・旧師範学校または青年師範学校

・旧高等女学校の高等科または専攻科

・旧東京盲学校師範部甲種

・旧東京ろう学校師範部の普通科甲または技芸科

・旧臨時教員養成所

・旧青年学校教員養成所

・旧実業補習学校教員養成所

・旧実業学校教員養成所

・都道府県農業講習所(高校新卒を入学資格とし、修業期間が2年以上の場合に限る)

・都道府県林業講習所(高校新卒を入学資格とし、修業期間が2年以上の場合に限る)

・都道府県蚕業講習所(高校新卒を入学資格とし、修業期間が2年以上の場合に限る)

・農林水産省のの果樹・野菜・茶業試験場の農業技術研修課程

・鯉淵学園本科

・旧高等農亊講習所本科

・水産大学校

・旧水産講習所遠洋漁業科の専攻科・本科

・旧函館水産専門学校の遠洋漁業科・専攻科、旧鉄道教習所専門部

・旧日本国有鉄道中央鉄道学園の大学課程

・海上保安大学校本科

・海上保安学校灯台科または本科

・海技大学校本科

・旧高等商船学校本科または専科

・旧商船学校

・旧商船高等学校

・航空大学校

・航空保安大学校本科

・旧航空保安職員研修所本科

・気象大学校大学部

・旧中央気象台技術官養成所本科

・旧高等逓信講習所本科または旧無線電信講習所

・旧電信協会管理無線電信講習所本科

・旧無線電信講習所の高等科第3部や普通科第1部・本科

・旧逓信官吏練習所の技術科・行政科・無線通信科

・旧日本電信電話公社中央電気通信学園高等部

・旧建設省地理調査所技術員養成所普通科

・防衛大学校

・旧陸軍士官学校

・旧陸軍経理学校

・旧陸軍造兵廠

・旧陸軍航空廠

・旧陸軍航空工廠

・旧陸軍燃料廠の技能者養成所技術員科

・旧海軍兵学校

・旧海軍機関学校

・旧海軍経理学校

・旧海軍工作所工員養成所の補習科・専習科・高等科

・旧海軍技手養成所

・旧満州開拓義勇隊国立開拓指導員訓練所

下記のいずれか

・卒業証明書、またはその写し

・終了証明書、またはその写し

・卒業証書の写し

【受験資格②】実務経験

 次いで、実務経験を見ていきましょう。
 以下のように、一定の実務経験を積むことで社会保険労務士試験の受験資格を取得出来ます。

受験資格 受験資格証明書
労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員(非常勤の方を除く)または従業員として、労働社会保険諸法令の実施事務に従事した期間が通算3年以上の方

該当する勤務先等の代表者、またはそれに代わるべき者によって、通算3年以上従事したことが証明された書面

※証明する書面「実務経験証明書」はこちらからダウンロード可能です。

・労働組合の役員として、労働組合業務に専従した期間が通算3年以上の方

・企業や社団法人、財団法人の役員として労務を担当した期間が通算3年以上の方

・労働組合の職員として、労働社会保険諸法令に関する事務(特別な判断を要さない単純な事務を除く)に従事した期間が通算3年以上の方

・法人の従業員として、労働社会保険諸法令に関する事務(特別な判断を要さない単純な事務を除く)に従事した期間が通算3年以上の方

・事業を営む個人事業主として、労働社会保険諸法令に関する事務(特別な判断を要さない単純な事務を除く)に従事した期間が通算3年以上の方

・国家公務員あるいは地方公務員として、行政事務に従事した期間が3年以上の方

・特定独立行政法人や特定地方独立行政法人、郵政公社で行政事務に該当する事務に従事した期間が通算3年以上の方

・全国健康保険協会や日本年金機構で、社会保険諸法令の実施事務に従事した期間が通算3年以上になる方(社会保険庁の職員として行政事務に従事した期間を含む)

通算3年以上従事していた事実を証明する書面

※証明する書面「実務経験証明書」はこちらからダウンロード可能です。

社会保険労務士もしくは弁護士の補助業務に従事した期間が通算3年以上の方

社会保険労務士もしくは弁護士の補助業務に従事した期間が通算3年以上である事実を証明する書面

※証明する書面「実務経験証明書」はこちらからダウンロード可能です。

厚生労働大臣が認めた国家試験合格

 厚生労働大臣が認めた以下の国家試験の合格者も、社会保険労務士試験の受験資格を取得出来ます。

受験資格 受験資格証明書

下記に挙げる資格試験合格者

・国家公務員採用総合職試験

・一般職大卒程度試験

・一般職高卒者試験(事務に限る)

・一般職社会人試験(事務に限る)

・旧国家公務員採用試験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種(行政事務・税務に限る)

・旧国家公務員採用試験上級(甲・乙種)

・旧国家公務員採用試験初・中級(行政事務・税務に限る)

・旧青少年矯正職員採用試験上級(甲・乙種)

・旧保護観察職員採用試験上級(甲・乙種)
・旧国立学校図書専門採用試験上級(甲・乙種)・中級

・旧外務公務員採用試験Ⅰ種・上級

・労働基準監督官採用試験

・航空管制官採用試験

・外務省専門職員採用試験

・国税専門官採用試験

・国会議員政策担当秘書試験

・衆議院事務局職員採用試験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種

・衆議院法制局職員採用試験Ⅰ種

・参議院事務局職員採用試験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種

・参議院法制局職員採用試験Ⅰ種

・防衛省職員採用試験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種(一般事務に限る)

・自衛官採用試験(2等陸・海・空士)

・一般曹候補生採用試験(旧一般曹候補生採用試験

・旧曹候補士採用試験を含む)

・自衛隊幹部候補生採用試験

・入国警備官採用試験

・皇宮護衛官採用試験

・裁判所事務官採用試験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種

・家庭裁判所調査官補佐採用試験Ⅰ種

・刑務官採用試験

・法務省専門職員採用試験(人間科学)

・財務専門官採用試験

・食品衛生監視員採用試験

・税務職員採用試験

・経験者採用試験(基礎能力試験と人物試験に加え、筆記試験<経験論文を含む>が課された方に限る)

・国立国会図書館職員採用試験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種

・旧司法試験第2次試験

・公認会計士試験(旧公認会計士試験第1・2次試験を含む)

・不動産鑑定士試験(旧不動産鑑定士試験第1・2次試験を含む)

・弁理士試験

・税理士試験

・旧栄養士試験

・旧薬剤師規則による薬剤師試験

・旧電気事業主任技術者資格検定規則による第1・2種資格検定試験

・旧外務書記生試験規則または旧外務省留学生規則による試験

・旧専門学校卒業程度検定規定による検定試験

・旧高等学校高等科学力検定規定による検定試験

・技術士試験第2次試験(旧技術士予備試験を含む)

・1級総合無線通信士試験(旧1級無線通信士試験を含む)

・1級陸上無線技術士試験(旧1級陸上無線技術士試験を含む)

・1級建築士試験、第1・2種電気主任技術者試験

・司法書士試験

・学芸員資格認定試験

・中小企業診断士試験(旧中小企業診断士試験を含む)

・情報処理技術者試験(ITストラテジスト試験、システムアーキテクト試験、プロジェクトマネージャ試験、ITサービスマネージャー試験、システム監査技術者試験、システムアナリスト試験、アプリケーションエンジニア試験、テクニカルエンジニア試験<ネットワーク・データベース・システム管理・エンベデッドシステム・情報セキュリティ>、上級システムアドミニストレータ試験、システム運用管理エンジニア試験、プロダクションエンジニア試験、ネットワークスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験、マイコン応用システムエンジニア試験、情報処理システム監査技術者試験、特種情報処理技術者試験、オンライン情報処理技術者試験に限る)

・ガス主任技術者試験

・高圧ガス製造保安責任者試験(甲種・第1種冷凍機械に限る)

・原子炉主任技術者試験

・核燃料取扱主任者試験

・労働安全コンサルタント試験、労働衛生コンサルタント試験

・特級ボイラー技士試験

・土地改良換地士資格試験

・浄化槽設備試験

・気象予報士試験

・通訳案内士試験(旧通訳案内士試験を含む)

・建築設備士試験

・海事代理士試験

・各級海技士国家試験(航海・機関・通信・電子通信)

・各級内燃料関海技士国家試験

・3級船橋当直海技士国家試験

・3級機関当直海技士国家試験

・各級水洗人試験

・金融窓口サービス技能検定試験1・2級(テラー業務、金融商品コンサルティング業務)

・キャリア・コンサルティング技能検定試験1・2級

・知的財産管理技能検定試験1級

・土地区画整理士技術検定試験

・1級建築機械施工技士検定試験

・1級・2級建築施工管理技士検定試験

・1級・2級電気工事施工管理技士検定試験

・1級・2級土木施工管理技士検定試験

・1級・2級管工事施工管理技士検定試験

・1級・2級造園施工管理技士試験

試験に合格した事実を証明する書面、またはその写し

司法試験等に関する以下の該当者

・司法試験予備試験

・「旧法の規定による司法試験(平成17年より以前に行われた司法試験)」の第一次試験

・「旧司法試験(平成18~23年にかけて、現行の司法試験と並行して行われた従前の司法試験)」の第一次試験

・高等試験予備試験

行政書士となる資格を有する方 行政書士となる資格を有する事実を証明する書面、またはその写し