税理士試験の合格を目指す際、どの科目から勉強を始めればよいか悩む方は多いのではないでしょうか。 簿財から勉強するのがセオリーと聞いたことがあるかもしれません。しかし、勉強する人が何を重視しているかによって、勉強する科目の順番は異なります。

 本記事では、重視するもの別の税理士試験の勉強すべき科目について解説していきたいと思います。

 

効率的な勉強を重視した勉強の順番

 効率的に勉強を重視する場合は、以下の順番がベターです。

①会計科目の財務諸表論
②会計科目の簿記論
③税法科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税)

 税法科目に取り掛かるためには、会計の知識が必要になるケースが多いです。ですので、税法科目に先駆けて会計科目を勉強するのがセオリーです。

 会計科目は、財務諸表論と簿記論の2つです。財務諸表論は簿記論の仕組みを説明したものです。
 ですので、財務諸表論から勉強をスタートさせるのが効率的な勉強の順番になります。

 では、税法科目はどのような順番で勉強をするのがよいのでしょうか。
 法人税法と所得税法、消費税法は特に会計の知識が必要です。ですので、会計の知識が定着しているうちに、法人税法と所得税法、消費税法から優先して勉強するのがベターです。
 対して、相続税法は会計の知識が全く必要ないので、後回しで構いません。

 一方、所得税法と住民税法は、所得ごとの計算方法がよく似ています。セットで勉強する効率的な勉強が期待出来ます。そのため、住民税に合格したい人は以下の順番で勉強をするとよいでしょう。

①財務諸表論
②簿記論
③所得税法
④住民税

 また、法人税法と事業税も似ています。事業税に合格したい人は以下の順番で勉強すると効果的です。

①財務諸表論
②簿記論
③法人税法
④事業税

 

特に実務の役立つ科目選びをする場合

 特に実務で役立つのは、法人税法と所得税法、消費税法、相続税法の4科目です。

 消費税法は、法人と個人事業主の両者に関わりがあるので、実務で最も役立ちます。

 ミニ税法といわれている酒税法と国税徴収法は、局所的な知識になるため、役立つケースが少ないです。ですので、実務に役立つ科目という観点で考える場合、いの一番に除外されるのが酒税法と国税徴収法になります。

 以上を考慮すると、実務に役立つ科目選びをしたい方は、以下の順番で勉強をするとよいでしょう。

①財務諸表論
②簿記論
③法人税法or所得税法
④消費税法or相続税法 ⑤消費税法or相続税法

 前出の通り、法人税法と所得税法は会計の知識が必要になります。ですので、消費税と相続税法よりも優先して勉強しましょう。

 

勉強時間の少なさで科目選びをする場合

 出題範囲が狭く、勉強時間が比較的少なく済むのは相続税法と消費税法です。ですので、勉強時間の少なさで科目選びをするなら、以下の順番で勉強するとよいでしょう。

①財務諸表論
②簿記論
③法人税法or所得税法
④相続税法 or消費税法
⑤相続税法 or消費税法

 ちなみに、法人税法と所得税法が最も勉強時間が必要です。

 

今後のキャリアを意識する場合

 今後のキャリアを意識する場合は、どのような順番で科目の勉強をするのがよいのでしょうか。

 税理士法人への就職を希望している方は、法人税法は就職に有利に働きます。というのも、実際、BIG4と言われる税理士法人の1つが、法人税法の科目合格が必須にしているためです。
 ですので、税理士法人への就職を希望している方は、以下の順番で勉強するのがオススメです。

①財務諸表論
②簿記論
③法人税法

 また、一般的な税理士事務所に就職を希望する場合、法人税法や消費税法を優先して勉強するとよいでしょう。というのも、一般的な税理士事務所は、法人がメイン顧客になるためです。
 以下の順番で、勉強するとよいでしょう。

①財務諸表論
②簿記論
③法人税法
④消費税法

 さらに、相続税や資産税に強い会計事務所で働きたい方は、相続税法や消費税法を優先して勉強するとはよいでしょう。以下の順番で勉強することをオススメします。

①財務諸表論
②簿記論
③法人税法 or 所得税法
④消費税法 or 相続税法
⑤消費税法 or 相続税法

 

簡単な科目を優先して勉強する場合

 難易度が高いのは相続税法です。
 対して、難易度が低いと言われているのが消費税法です。消費税は買い物などで誰もが関わりのある税で、身近で学びやいためです。

 以上を参考に、簡単な科目を優先して勉強する場合は、以下の順番がよいでしょう。

①財務諸表論
②簿記論
③法人税法 or 所得税法
④所得税法
⑤相続税法以外の選択科目