職歴は人によって様々です。転職回数が少ない方もいれば多い方もいるでしょう。
中でも転職が多い方は「転職に不利になりそう」「よい印象を持たれない」等、ことさら不安になるのではないでしょうか。
但し、職務経歴書の書き方を工夫することにより、その心配を回避することは可能です。そこで本記事では転職が多い場合の職務経歴書の書き方についてお伝えいたします。
人事担当者は抱く転職が多い志望者への印象
そもそも、人事担当者は転職回数の多い志望者をどのように見ているのでしょうか。具体的に以下のように見ています。
【印象①】自分の強みを理解していない
採用担当者はキャリアに一貫性がある志望者を好む傾向にあります。キャリアが一貫している志望者は、何が強みであるかが明確です。そのため、採用担当者は安心して採用出来ます。
一方、キャリアが一貫していない志望者は強みが分かりづらく掴みどころがない人に見えがちです。それにより判断材料が欠け、採用を見送りにする傾向にあります。
【印象②】長続きしなさそう
転職回数が多い志望者は「就職しても長続きしなそう」という印象があります。転職が多いというイメージがつく回数は、20代の転職志望者は2回、30、40代は3回が目安と考えられています。
印象①~②の他に次のような印象を持たれる可能性があります。
・コミュニケーションに問題がある
・集団適応力に欠けている
・忍耐力に乏しい
総じて言えば、”印象がよくない”ということです。
留意すべきポイント
転職回数が多い方が転職に成功するためには、”よくない印象”を払拭する必要があるのです。
では、マイナスイメージを払拭するためにはどのようなポイントに留意して職務経歴書を作成すればよいのでしょうか。具体的に次の5つが考えられます。
【ポイント①】職歴に共通点を見つける
キャリアが一貫していない方は職歴に共通点を見つけましょう。
例えば、営業マンと塾講師、アパレルのショップスタッフをやっていた経歴のあるAさんがいるとします。Aさんは様々な業種・職種を経験していますが、それぞれの仕事内容を紐解いていくとある共通点に辿りつくのです。
営業マンとアパレルのショップスタッフは売上を上げるために業務を遂行します。塾講師は生徒の成績を上げるのが役目です。両者はどちらも数字を達成するために努力をするという共通点があります。
このように職歴はバラバラでも、共通点を見つけることでキャリアに一貫性を持たせることが出来るのです。
【ポイント②】ステップアップしたことをアピール
転職するにしたがってステップアップしている場合は、その部分をアピールしましょう。例えば、転職をするなかで役職に就いた場合は、その部分をアピールしましょう。
【ポイント③】仕事に対しての姿勢をアピール
また、仕事に対しての姿勢もアピールポイントになります。例えば、「顧客へのよりよい提案」という姿勢を常に大切にしていたのであれば以下のようにアピールするのがよいでしょう。
・商品・顧客が違うことで、〇〇〇といった提案スキルが身に付いた
・前職で学んだことをベースに、転職先では○〇〇に挑戦した
以上のようなアピールによって、マイナスに捉えられがちな転職回数の多さをプラスのイメージにさせる効果を期待出来ます。
【ポイント③】数字で表せる実績を書く
数字で表せる実績がある場合はアピールしましょう。
営業・販売職なら売上実績、事務職なら1日に遂行した書類の件数等が仕事の実績としてアピール出来ます。転職してきた会社でひた向きに仕事に取り組んでことが伝わる効果を期待出来ます。
【ポイント④】在籍した会社で身につけたことを記載
ポイント①~③が該当しない場合は、これまで在籍した会社で何を学び、どんなスキルを身につけたのかを職務経歴書に書きましょう。提案スキルやタスク管理能力、企画書作成、PCスキル等、どのようなことでも構いません。その細かく記載された職務経歴書からは、それぞれの職場で仕事と向き合ってきた真摯な姿勢を伝えられる可能性があるでしょう。
【ポイント⑤】自分が企業に貢献出来ることを明記する
採用担当者は、志望者が入社することでどのようなメリットが生まれるかを考えます。ですので、職務経歴書内で自身のスキルや経験を応募企業でどのように活かしていきたいかを明記しましょう。
転職が多い場合の職務経歴書の書き方
それでは、本題である「転職が多い場合の職務経歴書の書き方」の説明をさせていただきます。転職が多い方が職務経歴書を書く場合、「どのような経験をし、何のスキルを持っているのか」を分かりやすく伝える必要があります。
具体的には以下に挙げる書き方で職務経歴書を作成すると明確に伝えられることが期待出来ます。
【書き方①】年代順ではなく業務内容別に書く
転職回数が多い方は時系列で職歴を書くと、職を転々としているマイナスイメージが先行しがちです。マイナスイメージにならないようにはするためには、職歴を業務内容ごとに分けて書く「キャリア式」にすることをオススメします。「キャリア式」の職務経歴書にすることで、転職の多さが目立たなくなります。
【書き方②】応募職種に合わせた職歴を書く
応募職種に合わせた職歴を書きましょう。例えば、営業職に応募しているようであれば、これまでの営業経験を長めに伝え、他の経験は短めにする等、メリハリをつけたキャリア式にすると、採用担当者に「営業経験の多い志望者」と捉えられ印象がアップするでしょう。
【書き方③】キャリアアップしたい意欲を伝える
キャリア式は、キャリアごとに職歴を作成し、転職が多い自分の職歴をポジティブに見せることが出来ます。その利点を活用して、自身が目指すキャリアをPRすることが出来ます。ですので、転職を通してキャリアアップを目指しているという意欲を伝えましょう。
【書き方④】転職理由も前向きなものであれば書く
採用担当者は、転職が多い方が今までどのような理由で退職をしたのかを気になるのは言うまでもありません。
退職した理由がポジティブなものであれば退職した理由を記入しましょう。そのようにすることで、採用担当者は「しっかりとした理由があって退職した」と転職回数が多い理由に納得がいくでしょう。
転職回数が多い方が作成する職務経歴書フォーマット
これまで説明させていただいた内容を踏まると次のようなフォーマットにすることが出来ます。転職回数が多い方は以下のフォーマットを参考に職務経歴書を作成しましょう。
職務経歴書 2016年1月11日 XXX XXX ■経験した主な業務 【接客】 ビジネススーツ・雑貨の店頭販売、飲食店のホールスタッフ、 • 「スーツに合うかばんも一緒に購入したい」というお客さまの声に応えようと、 • 飲食店では、アルバイトスタッフの手本となるよう、 〈接客に関する職歴〉 2008年4月~2010年8月 株式会社〇〇カンパニー 新宿店で洋服の店頭販売を担当 2012年8月~2014年10月 △△株式会社の和食店「△△」(席数60,従業員16人)で店長補佐業務に従事 【営業】 生命保険の外交員、英語学習教材の販売、広告代理店の広告営業 • 常に生活者の視点に立った提案を心掛け、顧客との間に信頼関係を築くことを大切にした。 • 広告代理店の営業では、飲食店を中心に、インターネットへの広告営業のメリットを分かりやすく説明。 〈営業に関する職歴〉 2010年9月~2011年6月 〇〇生命保険 外交員 2011年8月~2012年7月 △△株式会社 新宿営業所で英語教材販売に従事 2014年11月~現在 株式会社□□ 営業1課で広告営業に従事 ■自己PR どの業種でも、顧客第一主義を貫いてきました。
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引用元:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/5897/
転職が多い場合の自己PRの書き方
以上のフォーマットに記載されていますが、転職が多い方は自己PRの工夫も欠かせません。では、転職が多い方が職務経歴書に書く自己PRはどのようにすればよいのでしょうか。
例えば、コミュニケーションに自信がある場合は以下のように例文を参考にしてみましょう。
「聞き上手」であるとともに、必要なことははっきりと意見を述べることを心がけてきました。例えば、××家電の接客販売においては、顧客の欲しいと思う商品が適切でない場合もあり、使用目的を詳しく聞いたうえで適切なアドバイスをするよう努めました。
引用元:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/5897/
また、提案力に自信がある場合は以下のように記入するとよいでしょう。
商品の提案資料や、社内での通達書類などを作成する際、常に相手の立ち上に立って考え、工夫したところ、顧客や上司から高い評価を受けました。相手の心に響く提案資料の作成には自信があります。
引用元:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/5897/
以上のように、自信のあるスキルを中心にアピールした自己PR等をして、採用担当者に「この志望者が入社したら会社にこんなメリットが生まれる」とイメージさせられるようにしましょう。
注意するポイント
最後に、転職回数が多い方が行いがちな注意ポイントをまとめました。特に以下に挙げる行動は避けましょう。
【注意①】職務経歴を端折らない
転職回数が多いと不利になるのではないか、と懸念して職務経歴を端折る方は少なくありません。但し、何かがきっかけで経歴を詐称していることが判明するとトラブルが起きる可能性があるため、必ず全ての職歴を記載しましょう。
ちなみに、年金手帳や雇用保険被保険者証を提出してだけでは経歴を詐称したことがバレる可能性は低いです。とうのも、それらの書類だけでは、会社は従業員の過去の職歴を調べることが不可能なためです。また、行政は会社からの要望で従業員の個人情報を開示することはありません。
【注意②】枚数は2枚以内にまとめる
採用担当者は日常業務の隙間時間を使って、志望者の職務経歴書を読みます。あまりに長い職務経歴書は採用担当者の読む気を失せさせてしまう可能性があります。ですので、どんなに書く内容が多くなっても2枚以内にまとめるのがベターです。
終わりに
以前に比べ、転職市場は活発化しており、転職そのものが難しくない時代になってきています。昔とは異なり、転職の多さをプラスのイメージに転換することが可能です。そして、プラスのイメージに転換させた職務経歴書を作成すれば、転職を成功させることが期待出来ます。
ぜひ、本記事を参考に職務経歴書の作成に取り組んでみてください。