企業において、金銭との関わりは切っても切れないものです。そんな金銭と深く関わるのが会計業務です。
 会計関連の資格は、いつの時代も需要が高いです。資格を取得する目的は人それぞれで、会計職に就いている方はステップアップのため、会計職への就職・転職を検討している方は知識を身につけるため等、様々でしょう。

 そこで今回は、会計関連の資格を目的別にご紹介させていただきます。

 

 会計とは

 会計とは、会社のお金の出入りを計算し、記録や管理を行う業務全般のことをいいます。
 日常生活に例えると、レストランで食事をした後「お会計」をし、それを「家計簿につける」とします。すると「お会計」と「家計簿につける」という行為が会計に当たります。

 また上図の通り、経理も会計業務の1つに当たります。
 ですので、同じ業務内容を会計職として募集をしている企業もあれば、経理職として募集しているケースもあるのです。

会計についてさらに詳しく知りたい方はこちらで詳しく説明をしています。会計と経理、財務の違いについても触れています。

 

オススメの資格一覧

 会計関連の資格を目的別に見ると以下4種類に分けられます。

・スキルアップ資格
・国際会計基準・国際関連資格
・キャリアステップ資格
・業種特化資格

 それでは、1つずつご紹介させていただきます。

スキルアップ資格

 スキルアップ資格では、会計業務に従事するうえで必要な、知識や技能を学ぶことが出来ます。

 日商簿記検定

 日商簿記検定は、日本商工会議所・各地商工会議所が主催する公的資格です。試験では簿記(企業の活動を帳簿に記録し分かりやすく残しておく技術)に関する技能を問われます。簿記は会計業務を行ううえで必要なスキルです。

 多くの企業が人材を採用する際、この簿記技能検定資格を持っているかどうかを重視しているため、取得しておくと、転職に有利に働くでしょう。
 日商簿記検定は1級、2級、3級、初級があり、企業の現場で使えるレベルの簿記が身につくのは2級以上です。

受験料

1級:7,710円

2級:4,630円

3級:2,800円

初級:2,160円

試験頻度 年3回
合格率

1級:5.9%(2017年11月)

2級:21.2%(2017年11月)

3級:40.3%(2017年11月)

初級:25.6%(2017年2月)

引用元:https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data

難易度 ★★★★☆(5段階中4)
主な勉強法 テキストや過去問題集を使った自主勉強

 →日商簿記検定の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

FASS検定

 FASSとは「Find Accounting Skill Standard」の略です。FASS検定は、経済産業省が経理・財務部門の人材育成を目的に実施されている民間資格です。
 出題される内容は、毎月の業績管理をはじめ、業務の進め方や各種税金の申告方法等です。そのため会計から、密接に関係している財務の知識まで広く学べます。

 新入社員が OJTの総まとめに受験したり、キャリアを重ねた社員が更なるステップアップを目的に受験したりするのにオススメです。

・OJTとは

 「On the Job Training」の略です。職場の上司が部下に仕事を与え、その仕事を通じて知識や技術を習得させるトレーニング1つです。

 

受験料 10,000円
試験頻度 年2回
合格率

合否判定ではなく5段階によるレベル評価

過去累計(2017年7月)

レベルA:18.9%

レベルB:18.1%

レベルC:28.4%

レベルD:25.3%

レベルE:9.3%

引用元:http://www.cfo.jp/fass/fass_exam/analysis.html

難易度 ★★★☆☆(5段階中3)
主な勉強法 テキストを使った独学

 →FASS検定の日程確認や試験の申し込み等、詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

 ビジネス会計検定

 大阪商工会議所が主催するビジネス会計検定は、財務諸表(決算書)から企業の経営状況を読み解くための経営分析スキルを習得出来る公的資格です。
 財務諸表を理解するための、会計の用語、財務諸表(決算書)の構造・読み方・分析等、基礎的な力が身につく3級を受けることをおすすめすします。

受験料

1級:10,800円

2級:6,480円

3級:4,320円

試験頻度 年2回 ※1級のみ年1回
合格率

【第21回】2017年3月

1級:16.1%

2級:49.9%

3級:65.3%

引用元:https://www.b-accounting.jp/data/

難易度 ★★★☆☆(5段階中3)
主な勉強法 テキストや過去問を用いた自主勉強

 →ビジネス会計検定の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

法人税法能力検定

 法人税法能力検定は、公益社団法人全国経理学校協会が主催する民間資格です。試験では法人税の税務処理に関する知識や技能を問われます。
 近年、法人税率の引き下げ等、税制改正が頻繁に施行されていることから、企業で法人税に詳しい人材のニーズが高まっています。

 法人税法能力検定の資格を取得しておくと、社内から重宝される人材になれる可能性もあるでしょう。

受験料

1級:2,700円

2級:2,200円

3級:1,800円

試験頻度 年2回
合格率

2018年2月

1級:71.36%

2級:69.03%

3級:90.23%

引用元:http://www.zenkei.or.jp/license/corptax.php

難易度 ★★☆☆☆(5段階中2)
主な勉強法

テキストを使った自主勉強

→法人税法能力検定の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

給与計算実務能力検定

 給与計算も会計業務の1つです。そんな給与計算の技能を実証するのが、給与計算実務能力検定です。内閣府認可の職業技能振興会が主催している公的資格で、企業の採用担当者の間でも会計の基礎能力をはかる1つの指標として定着しています。

 そのため、会計職への転職を考えている方にとっては、給与計算実務能力検定資格の保有はアピールポイントになるでしょう。

受験料

1級:8,000円

2級:10,000円

試験頻度 年2回
合格率

2014年11月

1級:65.52%

2級:70.74%

引用元:https://jitsumu-up.jp/about/

難易度 ★★★☆☆(5段階中3)
主な勉強法 テキストを使った自主勉強

→給与計算実務能力検定の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

国際会計基準・国際関連資格

 

 会計は、企業のグローバル化によって国際会計基準への統合が進められています。
 国際会計基準とは、ロンドンを拠点とする国際会計基準審議会が認定する会計基準を指します。現在では110以上の国と地域で採用されており今後も拡大が予想されます。

 例えば海外で資金調達をする場合、日本の会計基準では国際会計基準との差異を説明しなくてはなりません。一方、国際会計基準だと、その説明の手間が省けるというメリットが生まれます。
 そのため、日本でも国際会計基準を採用する必要性が叫ばれています。

 そこで、ここからは国際会計基準や国際関連の資格について見ていきましょう。

IFRS検定

 IFRSは「international Finansial Reporting Standards/国際財務報告基準」の略称です。ICAEW(イングランド・ウェールズ勅許会計士教会)が主催するIFRS検定は、上述の国際会計基準についての知識を実証することが出来ます。

受験料 46,400円
試験頻度 年3回
合格率

75%(2017年3月)

引用元:https://www.ifrs-kentei.com/exam_result/data.php

難易度 ★★★☆☆(5段階中3)
主な勉強法

・テキストを使った独学

・資格スクールへの通学

→IFRS検定の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

米国公認会計士(USCPA)

 米国公認会計士(USCPA)は、アメリカの各州が認定する公認会計士資格です。この資格を取得すると、アメリカだけでなくカナダ・オーストラリア・香港等、海外でも公認会計士として活躍することが出来ます、もちろん日本国内でも活用することは可能です。

 日本の公認会計士試験は、「取得したら即戦力」になることを想定して、専門的な知識までを網羅した問題に構成されています。対して、米国公認会計士試験は「取得してから実践力を身につける」ことを想定して、基本的知識を問う問題に留まります。

 試験内容は、会計の知識を問う他、法律やIT関係等の問題も出題されるため、幅広い知識が身につくことが期待出来ます。

 また、米国公認会計士試験は全て英語で問題が出題されるため「英語力」も身につきます。そのため、語学力と会計知識が評価され、海外在中への道も拓ける可能性もあります。英語力と会計知識の2つが証明出来る、“一石二鳥”の資格とも言えるでしょう。

受験料 こちらに記載されています
試験頻度 年4回
合格率

2016年

AUD(監査および諸手続き):45.86%

BEC(企業経営環境・経営概念):55.41%

FAR(財務会計):45.55%

REG(諸法規):48.45%

引用元:https://www.aicpa.org/becomeacpa/cpaexam/psychometricsandscoring/passingrates.html

難易度 ★★★★☆(5段階中4)
主な勉強法

・予備校への通学

・テキストや問題集を活用した自主勉強

 →米国公認会計士検定の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

BATIC検定

 BATIC検定は、東京商工会議所が主催している試験です。BATICは「Bookkeeping and Accounting Test for International Communication/国際コミュニケーションのための簿記会計テスト」の略称であり、試験では国際会計基準の簿記についての問題を問われます。

 ビジネスのグローバル化がすすむ昨今、国際会計基準の簿記の知識がある人は、海外進出を戦略に打ち立てている企業にとっての貴重な人材になれるでしょう。
 BATIC検定には合格基準はなく、4段階のスコアで結果が表されます。自身がどの程度、国際会計基準を理解出来ているかを確認するためにもよい資格と言えるでしょう。

受験料 10,150円
試験頻度 年2回
合格率 合否判定ではなくスコア表示のため公表なし
難易度 ★★★★☆(5段階中4)
主な勉強法

・テキストや問題集を利用した自主勉強

・資格スクールへの通学

→BATIC検定の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

 キャリアステップ資格

 会計経験を積むと、その先には公認会計士や税理士を目指す等、キャリアアップの道も選択肢に加わるでしょう。

公認会計士

 公認会計士試験は、公認会計士・監査審査会事務局が主催する国家資格です。会計に関する資格の中で最高峰の資格と言われています。
 この資格を取得すると公認会計士の独占業務である監査業務はもちろん、税務やコンサルティング業務等、幅広く仕事に携わることが出来ます。

 公認会計士試験は難易度が高いですが、将来公認会計士になることを目指す方には取得必至な資格です。

受験料 19,500円
試験頻度

短答式:年2回

論文式:年1回

合格率

10.8%(2016年)

引用元:https://www.shikaku-square.com/kaikeishi/contents03

難易度 ★★★★★(5段階中5)
主な勉強法

・テキストと問題集を使った自主勉強

・専門学校や資格スクールへの通学

→公認会計士試験の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

税理士

 税理士試験は日本商工会議所が主催する国家資格です。税理士試験では、会計業務にも含まれる税務についての知識を身につけることが出来ます。
 公認会計士試験と同様、税理士試験も難易度は高いですが、いずれ税理士として働くことを視野に入れている方は、取得を目指して勉強に励むとよいでしょう。

受験料

1科目受験の場合:3,500円

2科目受験の場合:4,500円

3科目受験の場合:5,500円

4科目受験の場合:6,500円

5科目受験の場合:7,500円

試験頻度 年1回
合格率

2016年

・簿記論:12.6%

・財務諸法論:15.3%

・所得税法:13.4%

・法人税法:11.6%

・相続税法:12.5%

・消費税法:13.0%

・酒税法:12.6%

・国税徴収法:11.5%

・住民税:11.7%

・事業税:12.9%

・固定資産税:14.6%

引用元:https://www.nta.go.jp/index.htm

難易度 ★★★★★(5段階中5)
主な勉強法

・テキストと問題集を活用した自主勉強

・専門学校や資格スクールへの通学

→税理士試験の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

 業種特化資格

 会計は、業種によって業務内容が異なる場合があります。その違いに対応出来る2つの資格を見ていきましょう。

社会福祉法人簿記検定

 社会福祉法人簿記検定とは、公益社団法人全国経理教育協会が後援する資格です。社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的とした法人のことを指します。具体的には、障碍者や高齢者等を対象とした各種福祉施設、病院や診療所等の医療機関等が社会福祉事業に該当します。

 社会福祉法人では事業の特性上、一般企業とは異なる会計を求められます。社会福祉法人の会計職への転職を検討している方は、社会福祉法人簿記検定を受けるとよいでしょう。社会福祉法人の会計に特化したものを学ぶことが出来ます。

受験料

初級:6,480円

中級:8,640円

上級:17,280円

合格率

2017年12月

初級:72.2%

中級:28.6%

上級(簿記会計):13.9%

上級(財務管理):18.6%

引用元:http://www.sofukuken.gr.jp/boki/boki3.html

主な勉強法

・テキストや過去問を利用した独学

・講座を受講

 →社会福祉法人簿記検定の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

建設業経理検定

 建設業経理検定は、一般財団法人建設業振興基金が主催する公的資格です。
 建設業は受注産業であることから会計処理に特殊な点が多いです。そのため、会計担当者に高い専門性が求められます。

 建設業経理検定ではそんな特殊な会計をゼロから学び、対応出来る知識の身につけることを可能とします。

受験料

1級:13,860円

2級:6,280円

3級:5,250円

4級:4,220円

試験頻度

1,2級:年2回

3,4級:年1回

合格率

2017年3月

1級(財務諸法):37.1%

1級(財務分析):49.4%

1級(原価計算):25.8%

2級:33.9%

3級:67.2%

4級:77.2%

引用元:https://www.keiri-kentei.jp/exam/past/data.html

難易度 ★★★★☆(5段階中4)
主な勉強法

・テキストと問題集を使った自主勉強

・資格学校に通う

 →建設業経理検定の日程確認や、試験の申し込み等の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

 

まとめ

 一口に会計資格と言っても、スキルアップするための資格から、国際的な会計知識を実証するものまで様々です。

 会計は、ときに税務や国際会計基準も求められます。そのため、様々な知識を持っていると、企業にとっての即戦力にもなれることが期待出来ます。

あなたが目指すキャリアプランの実現に向けて本記事がご参考になっていただけたら幸です。