転職活動で提出を求められるケースが多い職務経歴書。
 ハローワークで「職務経歴書は市販のものを使用しない方がいい」と言われた経験がある方は多いのではないでしょうか。とはいえ、パソコンがない方などは、市販の職務経歴書に頼らざるを得ません。

 本記事では、まことしやかに囁かれている「市販の職務経歴書はダメ」と言われる理由と、市販の職務経歴書の適切な利用方法についてお伝えいたします。

 

市販の職務経歴書がダメな理由

 そもそもなぜ「市販の職務経歴書はダメ」と言われているのでしょうか。それは、市販の職務経歴書には以下のような欠点があるためです。

【ダメ①】相性が悪い企業がある

 市販の職務経歴書は手書きで作成しなければならないため、アナログな印象を受けます。パソコンが必須の企業や職種を希望する場合、採用担当者から、パソコンに関する知見が乏しい人と思われる可能性が考えられます。
 このように、市販の職務経歴書には相性が悪い企業があるのです。

【ダメ②】文字の良し悪しが印象を左右する

 手書きで作成する職務経歴書は、文字の良し悪しが印象を左右します。
 字を書くのが得意な人にとっては絶好のアピールになりますが、苦手な方はマイナスな印象になる可能性があるのです。

【ダメ③】ミスをしたら書き直し

 手書きの職務経歴書は、基本的に修正液の使用がNGです。そのため、ほんの些細なミスでも書き直しをしなければなりません。

 それを避けるためにも、職務経歴書は市販ではなくパソコンで作成することを勧められています。

 

こんな方に市販の職務経歴書がオススメ

 ただ、市販の職務経歴書はデメリットだけではありません。以下のようなメリットもあります。

【メリット①】個性や人柄を伝えやすい

 手書きの場合、角ばりがある文字や丸みを帯びた文字等、人それぞれの個性が表れます。そのため、個性や人柄を伝えることが出来ます。
 応募する企業が、個性や人柄を重視するようであれば、市販の職務経歴書の利用は適しているかもしれません。

【メリット②】入社意欲を伝えやすい

 人の手で書かれた文字には書き手の思いが表れます。ですので、入社意欲を伝えやすい面があります。特に、手書きが一般的だった頃から採用を行っている担当者の中には、人の手で書かれた書類に意欲を見出す傾向にあります。
 「是が非でも入社したい」と考えている企業を受けている場合は、手書きで職務経歴書を作成して溢れる入社意欲を伝えるのも一手です。

【メリット③】文字の美しさをアピール出来る

 応募する職種が、秘書や講師等、文字と密に関わりがある場合、市販の職務経歴書の使用は、字の美さをアピールする絶好の機会になります。
 また、美しい字からは、丁寧な仕事をするイメージを与えます。
 字の美しさに自負がある方は、手書きで職務経歴書を書くこともありでしょう。

【メリット④】パソコンがない方

 パソコンがなく、そもそも職務経歴書を作成出来ないという方にとっては、市販の職務経歴書は重宝されます。パソコンがない方は、市販の職務経歴書の使用はオススメです。

 

市販の職務経歴書の選び方

 以上のメリットをお読みになり、市販の職務経歴書を応募先に提出しようと考えた方もいるのでないでしょうか。一口に市販の職務経歴書と言っても、様々な種類が販売されています。以下の点に注意しながら選ぶようにしましょう。

【選び方①】用途

 市販の職務経歴書は単体で販売されている商品は珍しく、多くは履歴書とセットで販売されています。「一般用」「転職用」「パート・アルバイト用」といったように、用途別に販売されています。いずれも用途に沿ったフォーマットでつくられています。

 あなたの用途に沿った職経歴書を選びましょう。

【選び方②】フォーマット

 市販の職務経歴書は種類が少なく、主に2つのフォーマットに分かれます。
 1つ目は、職歴欄が大半を占めるタイプです。自己PRや志望動機を書く欄が小さく、自身をアピールしづらい場合があります。
 2つ目は、1つ目よりは職歴を書き込むスペースが若干少ないですが、その分自己PR等の欄が設けられているフォーマットです。

 一般的には、自己PR欄等が設けられている後者の方がオススメです。

【選び方③】用紙の種類

 企業に提出する書類のため、上質紙と言われる厚さ約2ミリの紙が適しています。薄い用紙の場合、安っぽく見え、折れやすく汚れもつきやすいので選ばないようにしましょう。
 また、古紙で再生紙等、純白でない用紙つくられた職務経歴書も選ばないようにしましょう。

<h3>【選び方④】JIS規格

 市販の職務経歴書は、JIS規格(鉱工業品の品質の改善や性能・安全面の向上、生産効率の増進等を目的に、工業標準化法に基づき制定された国家規格)と、JIS規格外の商品があります。
 応募企業から指定がない限りは、JIS規格の職務経歴書を選ぶようにしましょう。

【選び方⑤】ガイド付き

 市販の職務経歴書には、書き方の見本やガイドがついている製品もあります。書き方が分からない場合は、事前に書き方を確認出来る、ガイド付き職務経歴書を選ぶのがベターです。
 ただ、本サイトでも職務経歴書に関する記事を用意しています。以下の記事を参考にしてみてください。

市販の職務経歴書の効果的な書き方

 市販の職務経歴書を利用する場合、手書きで作成することになります。採用担当者に好印象を与えるためには、手書きならではの書き方のポイントを押さえておく必要があります。
 ここでは3つのポイントをお伝えいたします。

【書き方①】丁寧な文字で仕上げる

 手書きで作成する職務経歴書で、特に注力しなければならないのは、丁寧な文字で仕上げるということです。
 手書きの場合、行が曲がったり、文字の大きさが異なったりしがちです。そのようなことが職務経歴書に散見されると、マイナスな印象になる可能性があります。

 ですので、鉛筆やシャープペンシルで直線や枠を引いて、行が曲がったり、文字の大きさが異なったり等がないようにしてください。そして、正書が終わったら、インクが乾いたことを確認したのち、鉛筆の線を消しゴムで消しましょう。

 ちなみに、市販の職務経歴書には、下書き用紙がセットになっている場合もあります。それを利用するのも一手です。

【書き方②】具体的な内容を短文で書く

 手書きの文字は、パソコンの文字より大きくなるため、書ける内容が限られます。ですので、具体的に、かつ短文で書くように工夫をしなければなりません。
 市販の職務経歴書には、記入例や自分の強みを分析して整理するツールが付いています。それらを参考にして、採用担当者が知りたい情報を盛り込むようにしましょう。

【書き方②】アピールポイントを文頭に持ってくる

 採用担当者は多くの応募者の職務経歴書に目を通します。興味を引かれない職務経歴書は読まない可能性があります。
 ですので、採用担当者の興味を引くためにアピールポイントを文頭に持ってくるのがコツです。文頭で関心を持たせることが出来れば、最後まで読んでもらえる可能性が高くなるでしょう。

【書き方③】万年筆を使う

 手書きする際に使用するペンは、ボールペンより万年筆の方が印象がよいです。ボールペンは決してNGではありません。ですが、万年筆の方が格式高い印象になり信頼度も上がります。
 慣れないと書きづらいですが、手書きのよさを活かすためのひと工夫として、万年筆を利用してみてはいいかもしれません。

 

アルバイト・パートの経歴しかない場合

 一般的には、職務経歴書にはアルバイトやパートの経験は記入しません。では、アルバイトやパートの経験しかない方はどうすればよいのでしょうか。
 その場合は、アピールになるアルバイト経験のみを記入しましょう。アピールになる経験は、以下が該当します。

・半年以上の勤務
・専門的なスキルを身につけた
・上司の客観的な評価を受けた
・社員と同等の業務内容を遂行した
・部署やチーム等でリーダーをした

 

市販の職務経歴書はどこで手に入る?

 市販の職務経歴書は、以下の場所で手に入れることが出来ます。

お店

 職務経歴書は、100円ショップやコンビニ、大手文房具店で、履歴書とセットになって売られていることが多いです。また、ホームセンターやドラッグストア等でも販売されている場合があります。

ネット

 職務経歴書をネットでも購入可能です。大手通販サイトや家電量販店のサイト等で販売されています。ネットで購入する場合、商品到着までに日数がかかることがあるため、事前に到着日を確認してから購入するようにしましょう。

 

まとめ

 市販の職務経歴書は、デメリットの部分がヒューチャーされるあまり、「市販の職務経歴書はダメ」という情報が広がってしまいました。ですが、市販の職務経歴書には、手書きにしか出来ない「熱意を伝える」等のメリットもあります。
 本記事をお読みになり、市販の職務経歴書のよさを知った方は、応募企業に合わせて、ぜひ利用してみてください。