採用面接の際、面接官が応募者にする質問には必ず意味があります。その意味を理解して回答することで、採用合格に近づくことも出来ます。
今回は転職活動の面接で、面接官がよくする質問について深掘りをしていきたいと思います。
面接官が質問で探っていること
面接官は応募者への質問を通して、主に「自社との共通点」「実績や経験、スキル」を探っています。
自社との共通点
面接官は、応募者が自社と価値観が同じかどうか等の共通点を探っています。例えば、志望動機を聞く際は、次のような意図が含まれています。
質問:「なぜ、うちの会社を受けたのですか?」
↓
質問の意図:「あなたは転職で何を重視しており、将来どのようになっていきたいと考えていますか?」
志望動機には応募者の価値観が含まれているため、自社との共通点を探れる質問なのです。
志望動機をはじめ、質問に対しては応募する企業との共通点を伝えられるよう、事前にリサーチしておくことが重要と言えるでしょう。
実績や経験・スキル
企業側は、新卒とは異なり転職者に対しては即戦力を期待しています。そのため、転職希望者には、実績や経験、スキルが重視されます。
質問に答える際は、具体的な数字や仕事例を交えて、実績をアピールするような伝え方が大切です。
よく聞かれる質問例一覧
それでは、転職活動の面接でよく聞かれる質問を、「①仕事に関する質問」「②応募者に関する質問」「企業に対する理解度をみる質問」「その他の質問(キャリアチェンジ・女性に関するもの等)」に分けて以下に記します。それぞれの答え方のコツも併せてみていきましょう。
仕事に関する質問例
<仕事に関する質問例一覧> |
「仕事に関する質問」に答える際のコツは、具体的な仕事を例に挙げて話すことです。
達成した実績や、行ってきた工夫や努力等を交えて伝えましょう。
<回答例>
Q
これまでしてきた仕事について簡単に教えてください。
A
私は1社目で営業、2社目で新サービス企画、営業戦略策定、営業までの一連の流れを担ってりました。1社目では100人いる新卒の中でトップ新人賞を受賞し、2社目では経営目標の125%達成をすることができました
引用元:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/mensetsu/qa01
応募者に関する質問例
<応募者に関する質問例一覧> |
「応募者に関する質問」の答え方のコツは、前向きな姿勢を伝えることです。
例えば、話の終わりを「〇〇を活かして御社に貢献したい」「〇〇だったが、御社では〇〇の仕事がしたい」等で締めると、意欲が高く前向きな姿勢であることを示せます。
<回答例>
Q
長所と短所を教えてください。
A
私の長所は粘り強く最後まであきらめないことです。前職では、営業としてなかなか受注出来ない案件がありましたが、30回程お客様を訪問し、最終的に大口の契約を取ることが出来ました、短所は、仕事を背負いすぎてしまう部分があることです。つい自分でやろうとしてしまうのですが、今後は仲間と協力しながら、より速く正確に仕事を行っていきたいと思っております。
引用元:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/mensetsu/qa10
企業に対する理解度をみる質問例
<企業に対する理解度をみる質問例一覧> |
「企業に対する理解度をみる質問」に対しては、企業で働くイメージが出来ていることを伝えるのがコツです。面接前に企業のホームページ等に目を通し、事業内容や業務内容について理解を深めておくとよいでしょう。併せて、競合他社についてもリサーチをしておくと、なおよいです。
<回答例>
Q
当社の企業ビジョンに共感できますか?
A
はい、強く共感しております。
御社HPに掲げられている「お客様の声を聞き、形にする」という経営理念については、会社に深く浸透されているのだと感じました。〇〇社長のブログで、御社の②年目の営業が300社のクライアントにお電話し、現状感じている課題点をヒアリングしたところ、不満から新たなニーズが見つかり、新サービスリリースにつながったというエピソードを拝見しました。
私自身、前職では社員の声を集めて社内活性イベントを企画し、成功したという経験がございましたので、とても共感でき、御社のような企業で力を発揮していきたいと感じました。
引用元:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/mensetsu/qa05
その他の質問例
<その他の質問例一覧> |
「その他の質問」には、長く働き続けたいという意思を伝えましょう。「△△がしたいと考え、〇〇が魅力の御社で活躍出来るよう頑張ります」「長く働くための協力体制や家族の理解を得ています」等のように述べましょう。
<回答例>
Q
なぜ、経験のある塾講師を続けようと思わなかったのですか?
A
前職の塾講師の仕事を選んだ理由は、学習指導を通じて生徒の成長を見守りたいと思ったからです。大学生の時から塾講師のアルバイトをしており、生徒の変化を起こすような仕掛けを考えるのが好きでした。15人ほどの講師がいましたが、月間人気講師ランキング1位を初年度に3回受賞しました。ただ、正社員として塾講師になってみると、親御さんとの面談、新規営業活動、アルバイト講師のシフト作成等、授業以外の業務が半分以上を占めていました。
今後は、「教える」スキルをより高めたいと思い、講師として専念できる研修会社に転職したいと考えております。対象は学生から社会人に変わり、指導内容も一から勉強することにはなりますが、幅広い内容を吸収・理解しつつ、分かりやすく伝える能力を生かし、御社で活躍できるよう努めます。
引用元:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/mensetsu/qa04
逆質問について
面接ではよく聞かれる質問の他に、「最後に質問はありますか」と逆質問を求められるケースがあります。
「応募者にしっかり自社を理解してもらう」「逆質問を通して応募者の意欲を見る」等の目的で、逆質問の時間を設ける企業は少なくないのです。
逆質問は自分を売り込むチャンスであり、聞きづらい給与や残業等についても聞ける機会です。
そこで、よい逆質問の例を「自分の長所をアピールするための質問集」と「聞きづらい労働条件を上手に聞き出す質問集」に分けて集めたので、見てみましょう。
自分の長所をアピールするための逆質問集
逆質問は、自分の長所をアピールする絶好の機会です。例えば、以下のような逆質問で長所をアピールするとよいでしょう。
・粘り強い性格ですが、どのような資質が必要でしょうか?
・我慢強い性格ですが、仕事の負担はどれくらいのものですか?
・誰とでも親しくなれると思いますが、配属先の雰囲気を教えてください。
・体力には自信がありますが、勤務時間について教えてください。
・前職では営業部署で〇〇の実績を残しましたが、御社では通用しますか?
・〇〇資格を持っているので、御社の事業で活かしたいのですが?
・今までの〇〇のキャリアを積んできました、御社でこのキャリアを活かすためには何が足りませんか?
引用元:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/926/
「粘り強い性格ですが、○〇〇ですか?」といったように、<span class=”fw-bold”>自分の長所を述べたうえで質問をする</span>のが、面接官によいイメージをもってもらえるコツです。
また、具体的な実績や資格を出して、質問をすることも有効でしょう。
聞きづらいことを上手に聞き出す逆質問集
働くうえで、やはり労働条件等は聞きづらいでしょう。とはいえ、採用が決まっていない段階で、例えば「残業はありますか?」とストレートに聞いてしまうと、面接官からの印象が悪くなる可能性が考えられます。
そこで、次に挙げる質問例のようの聞くとよいでしょう。
労働条件についての逆質問
労働条件を聞く際は、例えば残業時間であれば、「前職では週に〇時間ほど残業をこなしていましたが、御社では平均どれくらいですか?」のように、これまでも残業をしてきたことを伝えたうえで質問をすると、面接官にマイナスな印象を抱かれることなく聞くことが出来ます。
また、給与に関する逆質問も、面接官に「仕事内容よりもお金に関心がある」と捉えられないようにしましょう。具体的な金額を確認するのではなく、「御社では私くらいの年齢の場合、平均年収はどれくらいですか?」といった聞き方にして、他の社員のモデルケースや昇格システムについて聞くとよいでしょう。
その他の労働条件を逆質問する際は、以下をご参考ください。
・仕事の繁忙期はいつですか?
・休日は部署ごとに違うのですか?
・年末年始の休み(お盆休み)は、どのような勤務になっていますか?
・本社は〇〇ですが、勤務地は〇〇を希望出来ますか?
・本社は〇〇ですが、転勤はどれくらいのサイクルであるのでしょうか?
引用元:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/926/
・業務に必要な研修や講習を受けたい場合に、平日に開催される時は、有給休暇を取って行かせて頂くことは可能でしょうか?
引用元:http://tensimcua.com/pmotion/horiday.html
産休についての逆質問
女性の中には、産休について聞きたい方もいるのではないでしょうか。「産休はありますか?」とストレートな聞き方をするのではなく、下記のように第三者視点から質問するとよいでしょう。
・現在はまだ結婚の予定はなく、将来結婚した場合でも御社に勤務し貢献していきたいと考えています。御社では、産休や育児休暇を取得された社員の方はいらっしゃるのでしょうか?
引用元:http://tensyoku-mensetu.com/gyakusitumon4.html
このような質問の仕方にすれば、応募者本人が産休や育児休暇を取得したいという意思が含まれないため、悪印象にはならないでしょう。
離職率についての逆質問
離職率を知ることは出来ませんが、下記のように社員の定着具合を確認することで、ある程度の離職率の推測が可能です。
・御社に入社すれば、ぜひ勤務したいと思っております。努力して皆さんに早く追いつきたいと思っていますが、皆さんは入社して何年くらい勤務されていますか?
引用元:http://tensyoku-mensetu.com/gyakusitumon10.html
逆質問をする際のポイント
逆質問をする際は、以下の2点について留意しましょう。
メモを取る
逆質問の本質は、こちらが知りたい内容を聞くことです。つまり、質問に対する回答をメモする姿勢は、熱心さや熱意をアピールすることにつながります。
逆質問は最低3個用意する
1,2個の質問しか用意していないと「他に質問はありませんか?」と促されることがあります。なので、逆質問は最低でも3個は用意しておくとよいでしょう。
職種別の質問の答え方
面接官がする質問は、職種によっても多少異なります。基本的には、これまでにご説明させていただいたことに留意しながら質問に答えていけばOKです。
但し、それぞれの職種に合った答え方をすると、なおよいでしょう。
【職種①】一般事務
一般事務は比較的人気の高い職種です。新卒採用でわずかな人数を採用し、中途採用は欠員補助のみという企業が多く、一般事務への転職希望者に対し、求人数が少ない傾向にあります。
そのため、他の応募者と差別化出来る強みをアピールする必要があります。例えば、「日商PC検定」等の一般事務に関わる資格保有はアピールポイントになります。
一般事務に関連する資格は、こちらの記事で詳しく説明をしています。
資格を保有していない方は、志望動機を聞かれた際に、今までの仕事で工夫してきた経験等を話すとよいでしょう。
一般事務へ転職する際の志望動機の伝え方は、こちらで詳しく説明をしています。
【職種②】医療事務
医療事務の面接では、「医療に関するニュースで気になったものはありますか?」等、医療に関する質問をされます。
ですので、面接を受ける前に医療事務の資格を取得した際に学んだ知識を再確認したり、医療に関連のあるニュースに目を通したり等の準備をしておくとよいでしょう。
【職種③】アパレル
アパレルの面接では、必ず応募先のブランドについての質問をされます。
そのため事前にリサーチをし、ブランドの好きな点や、そのブランドを選んだ理由等を明確に答えられるように準備をしておきましょう。
【職種④】Webデザイナー
Webデザイナー職には美的感覚が必要不可欠です。その美的感覚は、企業側が教育をしようとしても限界があり、個人の資質や努力に大きく依存する部分があります。
よって、「普段どのような場面でセンスを磨いているか」「デザイナーとして向上するためにどのような努力をしているか」等をみるために、以下の質問をされることがあります。
・普段、どんな勉強をしていますか?
・世界的なデザイントレンド等、情報収集はどうしていますか?
これらの質問にも答えられるように、普段からの努力を心がけるようにしましょう。
【職種⑤】エンジニア
エンジニアの転職の場合、企業は即戦力を求めていることが多いです。面接では入社後、いかに早く即戦力として活躍してくれるかをみられます。
そのため、これまでの経験から得た知識や技術、ノウハウ等を簡潔に伝えられるように準備をしておきましょう。
【職種⑥】営業
エンジニア同様、営業職も即戦力を期待されます。
営業職では、「簡潔に話をして相手を納得させること」が必要とされます。
ですので、<span class=”fw-bold”>説得力のある回答が出来るように、事前に話す内容を端的にまとめておきましょう。</span>
【職種⑦】理学療法士
同じく、理学療法士の中途採用でも即戦力が求められます。前職でどのような経験を積み、どのような実績があるのか等をアピール出来るよう準備をしておきましょう。
この質問をされたら合格の可能性あり
さて、面接官が聞いてくる質問からは、応募者を合格か不合格のどちらにするのかを垣間見ることが出来ます。それもそのはず、面接官も人間です。質問の内容からは面接官の真意をうかがえるのです。
では、どのような質問をされたら合格の可能性があるのでしょうか。それは、働くことを前提としている質問です。つまり、下記のような内容を質問された場合は合格の可能性があります。
・最短入社可能日
・職務内容や勤務地等、実際の勤務を見据えた質問
また、下記に列記した内容の場合も、応募者に強い興味を持っているため合格の可能性が考えられます。
・志望動機を深掘りされる等、面接官からの質問が多い
・プライべートな話
・他者の選考状況を聞かれた
質問が少ない場合
他方で、質問が少ない場合もあります。この場合、一見「質問が少ない」=「反応が悪いから不合格」と捉えてしまうかもしれません。
しかし、一概に「質問が少ない」=「不合格」とは言えないのです。というのも、このようなケースも考えられるためです。
・質問をすると、よい回答が返ってくるため突っ込みどころがない
・質問を絞るタイプの面接官
よって、面接官からの質問が少ないからといって、焦らず平常心で面接に臨むようにしましょう。
面接とマナー・服装
本記事では質問をメインでご説明させていただきましたが、面接ではマナーや服装も肝心です。
これらに関しての記事も用意しているので、ぜひ併せて読んでみてください。
面接時のマナーについてはこちらで詳しく説明をしています。
面接に適した服装についてはこちらで詳しく説明をしています。
最後に
採用面接でされる質問に対しては、よい回答をしようと意識するあまり、つい見栄を張ってしまう方もいらっしゃるのでないでしょうか。ですが、大切なのは面接官が主に知りたい情報の「自社との共通点」「実績や経験、スキル」を提供することです。
本記事では様々な質問例と回答例を載せさせていただきました。これらは、きっとあなたの転職活動の助力になってくれるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。