公的な資格がないため誰もがなれるパラリーガル。しかし、パラリーガルの仕事内容は専門的知識が必要とされます。その相反する実態に、パラリーガルになるにはどのような準備をすればいいのか分からない方は少なくありません。

 そこで、パラリーガルになるためにはどのような方法があるのかを本記事を通してお伝えいたします。

 

パラリーガルとは

 パラリーガルとは、主に法律事務所等で弁護士のサポートをする事務員のことを指します。弁護士秘書や一般企業の法務部で働く社員等のこともパラリーガルと呼ぶケースもあります。

 仕事内容は、弁護士のスケジュール管理や来客対応等の秘書業務から、訴訟や契約書の下書き作成等の法務まで幅広いです。

 

パラリーガルになるには

 パラリーガルは知識と経験が重視される専門性の高い職業です。にも関わらず、公的な資格がありません。また、弁護士のように特定の教育課程と通らなければならないという指定もありません。
 ですので、法律についての知識がなくてもパラリーガルになることが可能です。

無知識・未経験からパラリーガルになる方法

 パラリーガルの求人を見ると、「未経験OK」だったり、学生のバイトを募集していたり等のケースは少なくありません。特に個人経営の法律事務所に「未経験OK」のパラリーガル募集をしているところが多いです。

 無知識・未経験からパラリーガルを目指している方は、まずはそのような法律事務所に入所するのがベターでしょう。はじめは秘書業務や一般事務を担当して、慣れてきたら法律の知識を身につけていきながらパラリーガルとしての経験を積んでいきます。

法律の知識を身につけてからパラリーガルになる方法

 とはいえ、無知識・未経験より、法律についての知識を持っている人の方がパラリーガルになりやすいというのは言うまでもありません。求人を見ると知識やスキルを持っている方を歓迎する文言がしばしば見受けられます。
 では、法律の知識を身につけるためにはどのような方法があるのでしょうか。主に次の4つが考えられます。

【法律①】「パラリーガル認定資格」を取得

 パラリーガルには公的な資格はありませんが、JLAA(日本リーガルアシスタント協会)が主催する「パラリーガル認定資格」という民間資格があります。法律についての知識はもちろん、パラリーガルに必要な素養も身につけられます。

 同資格を取得するためには、パラリーガル認定資格講座を受講しなければなりません。全ての講座を受講したのち、パラリーガルの知識を身につけた証明として認定資格が付与されます。

→「パラリーガル認定資格」に興味がある方はこちらをご覧ください。

【法律②】「ビジネス実務法務検定」を取得する

 また、法務の知識を持っている証明になる「ビジネス実務法務検定」を取得しても、就職・転職に有利に働きます。
 同検定は東京商工会議所が運営しており、営業や販売、総務、人事等あらゆる職種で必要とされる法律知識を得られます。

→「ビジネス実務法務検定」に興味がある方はこちらをご覧ください。

【法律③】「ビジネスコンプライアンス検定」を取得する

 企業のコンプライアンス(法令や規則をよく守ること)が叫ばれる現代、企業法務が増加傾向にあります。そのため、コンプライアンスについての知識を持っていることを立証出来る「ビジネスコンプライアンス検定」を取得しておくと、採用に有利に働く可能性があるでしょう。この検定は株式会社サ―ティファイが実施しています。

→「ビジネスコンプライアンス検定」に興味がある方はこちらをご覧ください。

【法律④】「個人情報保護士」の資格を取得する

 「個人情報保護士」とは、個人情報の的確な取り扱いや安全管理等のスキルを証明する資格です。実施しているのは一般財団法人全日本情報学習振興協会です。
 この資格を取得しておくと、他のパラリーガル志望者とは違うプラスアルファの業務がこなせる持ち主と判断され、採用の決め手になる可能性を秘めています。

→「個人情報保護士」に興味がある方はこちらをご覧ください。

事務・秘書業務の知識を身につけてからパラリーガルになる方法

 また、パラリーガルは事務や秘書業務も任されるため、次に挙げる資格を取得しておくと採用に有利に働くでしょう。

【事務・秘書業務①】「MOS」を取得する

 「MOS」とは、マイクロソフト・オフィス・スペシャリストの略です。オデッセイコミュニケーションが実施している同資格を保有していると、ワードとエクセル等のパソコンソフトの利用スキルを持っていることを証明出来ます。

 パラリーガルの業務には、金額計算や図表、書類作成等があるためパソコンスキルが必須になります。そこでMOSを保有していると、基本的な事務処理能力も持っているアピールに繋がります。

→「MOS」に興味がある方はこちらをご覧ください。

【事務・秘書業務②】「秘書技能検定」を取得する

 とりわけ小さな法律事務所では、パラリーガルに来客対応等の秘書業務を任されます。その際の活かせるのが「秘書技能検定」です。同検定は公益財団法人実務技能検定協会が実施しており、様々な日常業務をはじめビジネスマナーも身につけることが出来るため、秘書業務の大いに活かせる資格なのです。

 ビジネスマナーが備わっている志望者と見なされ、就職・転職の際の大きなアピールポイントになるでしょう。

→「秘書技能検定」に興味がある方はこちらをご覧ください。

法律学部に通う

 資格以外には、大学の法学部で法律について学ぶという方法もあります。
 下記で偏差値が高い法学部を紹介するので、大学進学を検討している方は1つの参考にしてみてください。

大学名・学部 偏差値
慶応義塾大学・法学部(学部以下同) 70
一橋大学 67.5
早稲田大 67.5
京都大学 67.5
上智大学 65
中央大学 65
大阪大学 65
法政大学 62.5
明治大学 62.5
立教大学 62.5
名古屋大学 62.5
神戸大学 62.5
東北大学 60
青山学院大学 60
同志社大学 60
大阪市立大学 60
九州大学 60

引用元:https://www.studyplus.jp/713#%E5%8F%B8%E6%B3%95%

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外資系の企業法務を担当する事務所のパラリーガルになるには

 また、最近では外資系の企業法務を担当する法律事務所もあります。そのような事務所のパラリーガルになるためには、これまでに説明させていただいた知識の他に英語力が不可欠です。
 まずは、TOEICで800点以上を取れるようなビジネスレベルの英会話を身につけましょう。

 

パラリーガルから拓ける道

 パラリーガルとして業務を積むと、より広い業務を弁護士から任されるようになったり、法務をよりスムーズに進められるようになったりします。そして、延いては弁護士や司法書士としての道が拓ける可能性もあります。

 

パラリーガルから弁護士へ

 弁護士になるためには難関の司法試験を突破しなければなりません。ですが、パラリーガルの経験を通して身につけた知識やスキルは、試験を合格に導く礎(いしずえ)になるのです。

パラリーガルから司法書士へ

 また、個人や法人から依頼される法律に関する書類作成や、法律上の手続を代行することを生業にする司法書士になれる可能性もあります。弁護士と同様、法務関連を生業にしているため、パラリーガルでの経験は、司法書士になるのに役立つのです。

 

SEEKにパラリーガルの求人情報が掲載されている

 当SEEKではパラリーガルの求人情報を掲載しています。就職・転職を検討している方はぜひご覧ください。

 

まとめ

 パラリーガルは公的な資格がないため、無知識・未経験からなれる職種です。ただ、法律の知識等が学べる資格を学ぶことで、パラリーガルへの道がグッと近づくでしょう。
 そして、パラリーガルでの経験は、弁護士や司法書士等、法務を生業にする職業になれる可能性さえ秘めています。

 パラリーガルになりたい方はもちろん、弁護士や司法書士になりたい方も、まずはパラリーガルから始めてみてはいかがでしょうか。

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