令和元年度の行政書士試験の合格者の割合は、『10代が45人、20代が862人、30代が1,215人、40代が1,229人、50代が846人、60歳以上が374人』(『https://www.agaroot.jp/gyosei/column/pass-rate/』)です。2番目に多いのが30代なのです。そのため、行政書士試験に合格し、資格取得後に就職する30代が多くいます。

 しかし、ネット上の情報に目を向けてみると「30代未経験だと行政書士事務所に就職できない」「30代未経験向けの求人はない」等、マイナスな意見が散見されます。ですので、30代で行政書士試験に合格し、就職をしようとしている人は不安に駆られている方は多いのではないでしょうか。

 しかし、就職は出来るので安心してください。就職市場を見てみると、未経験を募集している求人はあります。

 

行政書士は就職できないと言われる理由

 では、なぜ行政書士は就職できないと言われるのでしょうか。
 行政書士事務所の多くは、個人事務所です。そのため、人を雇う行政事務所の方が少ないのです。

 そのような事情があるため、当然、行政書士を募集する求人数も少なくなります。それが、「行政書士は就職できない」と言われている理由なのです。

 

行政書士法人・行政書士事務所では未経験者を募集している

 行政書士法人や行政書士事務所の求人情報を見ると、「有資格者で実務未経験者の方も積極的に募集しています。」と記載されていることがあります。つまり、未経験から応募してもOKの行政書士事務所はあるのです。

 ただ、経験者の方が優遇されることは否定出来ません。

 

未経験で行政書士法人・行政書士事務所に就職するには

 では、未経験から行政書士法人・行政書士事務所への就職はハードルが高いのでしょうか。

 実は、他の応募者と差別化が図れれば、行政書士法人・行政書士事務所に就職できるチャンスは十分にあります。
 特に、集客に役立つスキルを持っている人は歓迎されます。というのも、行政書士法人や行政書士事務所は、集客が欠かせないためです。

 集客に役立つのは、営業スキル、マーケティング力です。また、法人・事務所を周知されるきっかけになるホームページの制作を行える人等も就職できる可能性は高まります。

 現状は、以上のようなスキルを持っていない人が担当している傾向にあります。それだけに、一定のスキルさえ持ってさえいれば歓迎される傾向にあります。

 

行政書士資格を活かした就職先

 では、他の応募者と差別化するようなスキルがない方は、就職は出来ないのでしょうか。

 多くの方は、資格を取得したら行政書士法人・行政書士事務所に行政書士として就職と考えているようですが、実は、他にも就職する方法があります。それは行政書士資格を活かした仕事が可能な就職先です。

 例えば資格を活かして、以下のような転職先が挙げられます。

【就職先①】一般企業の法務部や総務部

 一般企業では、自社の商品の開発や販売等の過程で、官公庁への許可申請に手続が欠かせません。その際に、法務書類の作成が必要になります。
 一般企業の法務部や総務部には、行政手続に強い行政書士が活躍出来る場があるのです。

 また昨今、一般企業ではコンプライアンスの重要性が叫ばれています。そのため、法律に知見のある人材のニーズが高まっています。 そこで、一般企業の法務部や総務部に就職し、行政書士としての知識を活かすという方法もあるのです。

【就職先②】弁護士事務所の法律事務

 また、弁護士事務所の法律事務にも行政書士が必要とされています。 一般的に、弁護士事務所の法律事務は、パラリーガルが務めるケースが多いです。しかし、パラリーガルは資格を必要としないため、知識が豊富でない場合があります。そこで、知識を持っていることが客観的に証明されている行政書士の有資格者の方が、実は重宝されているのです。

 その他、行政書士資格を活かした就職方法は下記の記事から見ることが出来ますので併せてご覧ください。

 

就職活動で注意する点

 ここからは、行政書士資格を取得した方が、就職活動をする際に注意する点についてお伝えします。

【注意①】履歴書

 応募の際の履歴書には、誤字脱字等のミスがないよう細心の注意を払ってください。というのも、行政書士のメイン業務は書類作成です。にも関わらず、履歴書でミスすると、行政書士としての資質を疑われるおそれがあるためです。
 必ずミスなしで履歴書を作成してください。

 また、会社のビジョンに合わせた志望動機や自己PRを書くようにしましょう。

面接

 行政書士は、様々や相談・打ち合わせ、官公庁とのやり取り等、多くの人と関わりながら業務を遂行します。
 そのため、面接では、最低限のマナーがあるかどうかを見られます。

 面接の際のマナーについては、こちらの記事「面接の合否はマナーで9割決まる」で詳しく説明をしています。面接の前にビジネスマナーをチェックしてから面接に望みましょう。

 

まとめ

 ネット上には、「行政書士は30代未経験では就職できない」等の内容が散見されます。しかし、他と差別化が出来れば30代未経験でも行政書士事務所への就職は十分可能です。
 ですので、ネットの情報に惑われないようにしてください。

 また、行政書士資格を持っていれば、一般企業や、法律事務所等の他士業事務所への就職も可能です。他の志望者と差別化を図れるようなスキルがない方は、そのようなところに就職するのも一案です。

 本記事が、30代で行政書士試験に合格した人にとっての助力になっていただけたら幸いです。