社会保険労務士とは、企業を構成する経営資源である「人・物・金」のうち、「人」に関する部分を担当するスペシャリストのことを指します。

 そんな社労士を目指している方に向けて、「社労士になるには」をテーマにお伝えしたいと思います。

 

社労士になるには3つの関門がある

 社労士になるには、上記の画像のように3つの関門を潜らなければなりません。ひとつずつご説明させていただきます。

 

【第1関門】社労士試験の受験資格を満たす

 社労士になるためには、まず社労士試験の受験資格を満たしていなければなりません。
 受験資格は、「学歴」「実務経験」「国家試験合格」の3種類から幅広く用意されています。いずれか1つの所定条件を満たせば、受験資格を満たすことが出来ます。それぞれ見ていきましょう。

(受験資格①)学歴

 学歴による受験資格は、大学・短大・高等専門学校卒業等が挙げられます。そのため、高卒の方には受験資格がありません。しかし、高卒の方でもチャンスはあります。次に挙げる「実務経験」「国家試験合格」で条件を満たせば、社労士試験を受験することが可能です。

(受験資格②)実務経験

 実務経験による受験資格は「公務員として3年以上従事」「社労士や弁護士の補助に3年以上従事」「事業を営む個人として労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事」等が挙げられます。
 どこからが、それらの実務経験に該当するのか、自身で判断出来ない方も少なくないでしょう。その場合は、全国社会保険労務士連合会試験センターに「実務経験証明書」をファックスすると、受験資格の有無を回答してくれます。

(受験資格③)国家試験合格

 厚生労働大臣が認めた国家試験の合格者には、社労士試験の受験資格が与えられます。子厚生労働省が認めた国家試験には、弁理士試験や公認会計士試験、不動産鑑定士試験等が挙げられます。

 以上、受験資格①~③のように、幅広い条件が設けられているため、あらゆる人に社労士試験への受験のチャンスがあるのです。
 社労士試験の受験資格の詳細については、こちらの記事「社会保険労務士試験の受験資格をわかりやすく解説」で説明しています。併せてご覧ください。

【第2関門】社労士試験合格

 社労士試験は、例年8月に行われます。試験はマークシート方式で選択式と五肢択一式(5つの選択肢の中から1つの回答を選ぶ方式)があります。
 出題分野ごとに足切り点が設定されているため、万遍なく学習することが求められます。

 なお、社労士試験の合格率は、例年10%を切る低水準です。

【第3関門】社労士名簿に登録

 社労士試験に合格しても、社労士にはなれません。全国社会保険労務士連合会に備えられている社労士名簿に登録することで、ようやく社労士を名乗れます。
 とはいえ、社労士名簿に登録をするためにも条件が設けられています。それが以下です。

①2年以上の労働社会保険諸法令関係事務の実務経験
②全国社会保険労務士会連合会が実施する労働社会保険諸法令関係事務指定講習の修了

 上記①②のいずれかを満たすことで、名簿の登録することが可能になります。なお、②の講習課程は、4ヶ月の通信指導と4日の面接指導です。

 

社労士試験は独学で合格可能?

 社労士試験は独学で合格することは可能なのでしょうか。
 ある受験指導校の某講師は、5ヶ月間の独学で社労士試験に合格しているそうです。その某講師は次のような独学の進め方をしたようなので、参考にしてみてください。

●教材は「基本書(テキスト)」と「過去問集(択一)」に絞る

●テキスト読む→過去問解く→テキスト見返す、の繰り返し

●「基本を固める」。細かいことは気にしない。

●勉強時間は1日2時間確保。毎日続けることが大事。

●「隙間時間勉強」「ながら勉強」で勉強時間の確保

●スケジュールは1ヶ月に2科目ペース。直前期は苦手項目をひたすら反復

引用元:https://sharosi.j-tatsujin.com/archives/1301

 

試験勉強をしながら実務経験が積める求人

 社労士事務所によっては、資格不要で事務スタッフを募集しているケースがあります。そのような事務所では、試験勉強に理解を示す傾向があります。
 ですので、実務経験を積みながら社労士試験の合格を目指したい方は、下記から求人を見てみてください。

社労士試験の勉強をしながら実務経験が積める求人

 

最後に

 社労士になろうと思っている方々の中には、「実務未経験者では厳しいのではないか」「年齢が若い(上すぎる)と活躍出来ないのではないか」等と懸念する方も少なくありません。
 しかし現状は、性別や年齢、実務経験の有無を問わず、実に様々な人が社労士として活躍しています。

 社労士業界は比較的、年齢層が高いので、若ければそれだけで差別化を図れます。一方で年齢を重ねている方であれば、依頼者に安心感を与えやすいというメリットが生まれます。
 ですので、社労士として活躍するのに「〇〇だとダメ」というのはないのです。

 社労士になろうと考えている方は、臆せずに、まずは、第一関門である「社労士試験の受験資格取得」に向けて準備を進めていくことが、何よりも大切なのではないでしょうか。