弁護士や司法書士等、士業と呼ばれる専門性の高い国家資格の中で、人気の高い行政書士。
今回は「行政書士になるには」どのような方法があるのかをご説明させていただきます。
行政書士とは
行政書士とは、個人や法人等の顧客からの依頼を受けて、官公署(各省庁・都道府県・市区役所・町村役場・警察署等)に提出する書類の作成・申請の代行業務をメインの仕事にする方をいいます。
例えば、田畑を駐車場にしたい場合、農業委員会等の行政に届出書類を提出し、許可をもらわなければなりません。その際、一般的には行政書士が書類作成と提出を代行をします。
また、新たにお店を開く際には、「飲食店営業許可申請」が必要です。この許可を取るための申請書類・提出は煩雑を極めます。それを代行するのも行政書士の仕事なのです。
このように様々な書類代行を請け負う性質上、行政書士は「代書屋」と呼ばれることもあります。
行政書士になるには
行政書士になるには、上図のような方法を辿らなければなりません。大きく分けると「行政書士試験に合格する」と「試験免除制度を活用する」の2通りあります。
行政書士試験に合格する
まず挙げられるのが「行政書士試験に合格する」ことです。
行政書士試験には受験資格に制限がなく、誰でも受けることが出来ます。たとえ、中卒や高卒の方でも、学歴問わず行政書士に就けるのです。
行政書士試験に合格した後は、日本行政書士会連合会が備える行政書士名簿に登録をすることで行政書士になれます。
試験免除制度を活用する
下記に列記した資格を保有する方は、試験免除制度を活用して行政書士試験を受けずして、行政書士になれます。
・弁護士
・弁理士
・公認会計士
・税理士
上記の資格保有者は、試験通過者と同様、日本行政書士会連合会の行政書士名簿への登録を完了すると、行政書士業務に取り組むことが可能です
また、国や地方の公務員として行政事務に17年以上従事した方は、行政書士名簿への登録をせずに、行政書士の資格取得が可能です。
【関連記事】公務員は行政書士試験が免除される!その理由とメリットとは?
行政書士になるまでにかかる費用
では、行政書士になるためには、どの程度の費用がかかるのでしょうか。主に「勉強費」「試験費」「登録費」がかかるでしょう。
勉強費
行政書士試験の勉強方法は大きく分けて3つあります。それぞれ見ていきましょう。
①独学
独学では、数多くの基礎教本と過去問題集が販売されています。それらの中から、自身に合ったものを購入し、勉強に取り組めます。
費用も1万円程度と安価に済むため、予算の厳しい方には独学がオススメです。
②通信講座
自宅にいながら授業を受けられる通信講座は、5~8万円の費用がかかります。
インターネットを通して質問が出来る等のシステムが取られていることが多く、独学では理解が難しい箇所のサポート等が充実しています。
③資格スクール
資格スクールでは、入学金3万円、授業料16万円、その他テキスト代等諸費用をプラスすると、20万円程度の費用で受けることが出来ます。
独学や通信講座と比較すると費用は非常に高くなりますが、長年のノウハウを詰め込んだ人気講師による授業や、試験合格者からのアドバイスを受けられたり等、効率的な試験対策が望めます。
試験費
行政書士試験を受ける際も費用はかかります。7,000円を支払うと受験が出来ます。
登録費
行政書士になるためには、事務所が所在する都道府県の「行政書士会」という団体に入会申請をしる必要があります。その際にかかる登録費が、都道府県によって異なりますが、15~30万円です。
また、入会後は毎年、年会費を5~10万円支払わなければなりません。
行政書士試験の合格者に多い年齢層
行政書士になる方の多くは行政書士試験を受けています。受検資格が不問ではあるとはいえ、試験合格者の年齢層には偏りがあることを以下のデータから見ることが出来ます。
【行政書士試験合格者の割合】
20代…1,516人
30代…2,008人
40代…1,226人
10代…601人
60代以降…216年
50代…30人
引用元:http://xn--cck4d8b3a5a7696cgbs2ed19g563g3p4a.com/%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%9B%B8%E5%A3%AB%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AB%E3%80%8C%E9%81%A9%E9%BD%A2%E6%9C%9F%E3%80%8D%E3%81%AF%EF%BC%9F%E3%80%80%EF%BC%8F%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E3%81%AE%E9%96%A2.html
上記データを見る限り、30代の合格者が一番多いです。また、20~40代が全体の9割を占めています。
つまり、社会人が働きながら勉強・合格をしているケースが多いと考えられます。
行政書士の年収
行政書士の年収は、「開業5年の先輩行政書士からアドバイス」というサイトによると、行政書士の平均年収は『611万円』(『http://www.falken2.jp/nensyu.html』)です。
高収入とは言えませんが、行政書士は兼業等で生計を立てている方が多いです。
実は主婦が多い行政書士
行政書士というと、男性のイメージが強いですが、実は女性で活躍している方も少なくありません。その中でも特に主婦の方が、家事や育児の合間を縫って活躍をしています。
ママ友のネットワークを活かして、主婦ならではの人脈で仕事を受けているのです。そして、夫婦間の問題や離婚に関すること等は、女性の行政書士の方が相談しやすいといった面もあり、主婦の行政書士が活躍していると言えるでしょう。
国際行政書士になるには
幅広く仕事をこなせる行政書士ですが、あえて得意の専門分野に絞って勝負する行政書士もいます。その中でも、外国人を日本に呼び寄せたい場合の配属者ビザや就労ビザに関する在留資格認定証明書に交付申請手続き等、国際関係の業務を専門的に扱う「国際行政書士」が増えています。
国際行政書士になるには、資格や手続は必要ありません。但し、国際関係に強い行政書士の育成や支援に力を入れている国際行政書士機構に登録することで、国際業務についての情報を多く入手することが出来ます。
終わりに
行政書士は、学歴が不問であることから誰もが取得可能です。働きながら資格を取得している社会人が多い様子から、しっかりと準備を重ねれば十分に合格のチャンスは巡ってくるでしょう。
行政書士への道を検討している方は、本記事を1つの情報として捉えていただけたら幸いです。