皆さんは転職活動の際、履歴書の志望動機にどの程度重きを置いていらっしゃいますか?
転職活動はいくつかの企業を受けるため、考えるのが面倒になり、つい志望動機を使い回しにしてしまう、なんて経験があるのではないでしょうか。
マイナビ転職が採用担当者を対象に「中途採用の応募書類で重視する点のうち、最も重視する点を1つお選びください。」とアンケートを取ったところ、下記のような結果になりました。
職務経歴書(業務経験)34.3%
志望動機・志望理由19.0%
職務経歴(実績・成績)11.7%
転職理由・退職理由8.7%
自己PR8.3%
資格・免許6.0%
職務経歴(マネジメント/リーダー経験)
職務経歴(キャリアの一貫性)
その他5.0%
引用元:https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/shibodoki
なんと採用担当者は、「職務経歴(業務経験)」に次いで「志望動機・志望理由」を重要視していることが分かりました。
そこで今回は、履歴書の志望動機をテーマにお伝えさせていただきます。
採用担当者が志望理由に求めているもの
採用担当者は志望理由から、主に下記を見ています。
・なぜ、数ある会社の中から当社を選んだか
・自社の独自性や強みを理解しているかどうか
この2点を見るのは、「いざ入社したらイメージと違った」というミスマッチを防ぐ目的があります。
志望動機の書き方
では、前項の2点を網羅する志望動機にするためには、どのような書き方にするのが好ましいのでしょうか。
理想は、前項の2点にプラスアルファしたものを書くことです。具体的に以下の4点にまとめましたので、読んでいきましょう。
①転職を決めた理由を書く
採用担当者にとっては、やはり応募者が転職を決めた理由が気になります。そのため、応募企業と関連づけた転職理由を書くのがよいでしょう。例えば「住宅販売の営業でトップセールスを達成したので、今度は違う業界で新しい挑戦をしたい」等です。
決して、前職の上司・同僚に対する批判等、ネガティブな内容は記入しないようにしてください。そのような内容は、「社内の情報を社外に漏らす信用できない人」というマイナスな印象に繋がりかねません。
②その企業を志望した理由を明記する
前出のとおり、採用担当者は、数ある企業の中で、なぜ自社を志望するのかを見ています。
ですので、志望企業とその同業他社との違いを研究しましょう。そして、研究で分かった志望企業の得意分野を、現職の業務内容に関連づけて説明するのがベターです。
また、応募企業のサービスを利用したり、商品を購入したりした経験があれば、それらについても書くと、なお説得力は増します。
③入社後のビジョンを伝える
入社後のキャリアビジョンを伝えることも大切です。これは、採用担当者があなたを採用した際のイメージが湧きやすくなるためです。
漠然でも構いませんので、入社後にどんな仕事に携わり、将来どのような働き方をしたいのか等を盛り込むのが望ましいです。
④過去のエピソードを盛り込む
志望動機は、過去のエピソードを交えて作成すると、納得させる力が増します。例えば、過去の経歴で得た経験やスキルを述べることが挙げられます。
それらを明確化するためにスキルの棚卸しをすることをオススメします。
スキルの棚卸しをすることによって、応募職種に活かせる過去からの経験やスキルを関連づけるエピソードを作り上げることが期待出来ます。
志望動機の文字数
志望動機は、書き方の他に文字数も重要です。
文字数が少なすぎると余白が増え熱意が伝わらない可能性があります。一方、欄をはみ出すほど多く書き込むと、かえって読みにくく、簡潔にまとめる能力に欠ける印象を与えてしまいかねません。
それらを考慮すると、200~300文字程度の文字数に収めるのが、いい湯加減と言えるでしょう。
そうすることでスペースの約8割を埋められます。もし、300文字程度になる場合は、小さめの文字で書き込む等して、調整を加えましょう。
【状況別】志望動機の例文
では、志望動機の例文を見ていきましょう。ここでは、「未経験の場合」「第二新卒の場合」等、自身の状況別で志望動機の例文を列挙させていただきました。
未経験の職種を志望する場合
【例文】
学生の頃から現在まで、趣味でスマートフォン向けのゲームづくりをしてきました。 VR作品を3作リリースされている御社で、新しい技術を用いて、かつてないゲームを開発したいと思い、御社を志望いたしました。 |
【書き方のポイント】
未経験職種への転職を希望する際、「なぜ未経験職種にチャレンジしようと考えたのか」を明確にしましょう。「具体的にどのような努力をしているか」「異職種で得た経験や知識を応募する職種でどのように活かせるか」等をアピールするのが、一案に挙げられます。
異業種の経験職種を志望する場合
【例文】
引用元:https://ten-navi.com/hacks/resume-2-2734 |
【書き方のポイント】
異業種の経験職種に転職を希望する際は、まず⑴のように、経験してきたものについて言及をしましょう。
そして、⑶のように「貴社でなければならない理由」についても併せて述べましょう。
異業種の同職種を志望する場合
【例文】
現在はIT系のハードウェアベンダーで、サーバー製品の営業を行っております。 |
【書き方のポイント】
異業種で現職と同じ職種へ転職する場合は、「今の会社では、自身の抱える問題は解決出来なかった」ことに対して、上記例文の二重線箇所のように、「御社であったら解決出来る」という内容を提示するようにしてください。
また、応募先企業のことを研究し、これまでの職務経験や、そこで得た知識をどのように活かせるかも併せて記しましょう。
第二新卒の場合
【例文】
新卒で入社した会社で1年半、研究開発をしております。 |
【書き方のポイント】
学校を卒業後、3年以内に転職する方を指す第二新卒者が応募する場合、企業は「うちに転職してもすぐに辞めてしまうのではないか」と懸念を抱く傾向にあります。
ですので、短い期間だとしても、目標や責任感を持って仕事に取り組んできた経験を、具体的なエピソードを交えて伝えましょう。
【職業別】志望動機の例文集
続いて、職業別の志望動機の例文をご紹介いたします。
事務職
【例文】
貴社の営業事務職を志望する理由は、部署に在籍されている10名もの営業職の方々と協力し合って仕事を進めていける環境に魅力を感じるためです。 また、パソコンに触れる機会が少なかったですが、現在は書籍を購入し、ワードやエクセル等を勉強中です。 |
【書き方のポイント】
・今までの経験をどのように事務職に活かせるかを明記する
・パソコンのスキルを持っていることを記述する
・事務未経験の場合は、自主的にパソコンスキルを身につける姿勢があることを伝える
→事務職の志望動機の例文についてはこちらで多数ご紹介させていただいているので、併せてご覧ください。
一般事務
【例文】
在職中の会社では、各種データの集計や資料作成等を中心に担当しています。 |
【書き方のポイント】
・パソコンスキルがあることを示す
・パソコンスキルを持っていない場合は、技能向上に向けた努力をしていることをアピールする
SE(システムエンジニア)
【例文】
貴社がIT戦略の立案・実施に関わる情報システム部門が増員されると知り、志望させていただきました。 |
【書き方のポイント】
・企業規模や事業フェーズによって、SEの仕事内容は異なるため、在職中の会社の規模や業態、担当業務等を明記する
・志望企業でどのように貢献出来るかを主張する
WEBデザイナー
【例文】
現在、主に大手自動車メーカーのブランドサイト等を手掛けていますが、会社規模が小さいこともあり、レスポンシブデザインをはじめ、CSSやJavaScriptを使用したフロントエンドの開発業務等、幅広く業務を担当してきました。 |
【書き方のポイント】
・WEBデザイナーの応募はポートフォリオ(自身の作品集や実績例)が重視されるため、提出したポートフォリオについて触れる
・自身のポートフォリオと矛盾が生じないように志望動機をまとめる
ホテル
【例文】
現職では、店舗におけるツアー販売や航空券等を中心としたカウンターセールス業務を約3年経験してきました。仕事をする中で、私自身を指名してくださるお客様の数も増えており、仕事にはやりがいを感じています。 |
【書き方のポイント】
・現在の会社で担当している業務内容や、仕事に対するスタンスを伝える
・志望するホテルのサービスについて、共感する部分を記載する
製造技術/設備技術
【例文】
大学卒業後に入社した食品メーカーで5年程、工場設備の導入や管理を担当しています。 |
【書き方のポイント】
・現在働いている会社の仕事内容等について記載
・新しい設備の企画、検討・導入に関わった経験、管理・メンテナンス手法を改善した経験をアピールする
トラックドライバー(配送業)
【例文】
引用元:https://type.jp/s/aspiration/example/driver.html |
【書き方のポイント】
・現職での経験を志望企業でどのように活かせるのかを伝える
・トラックドライバーは免許の保有が必須なため、「普通自動車運転免許」以外の免許を持っている方は明記する
製造業(ライン・工場スタッフ)
【例文】
現職ではここ数年、予算から生産管理業務にも携わってきました。 |
【書き方のポイント】
・志望企業で何をしたいのかを明確に伝える
・現職で得た経験をどのように活かせるのかを明記する
薬剤師
【例文】
私は薬剤師としての仕事が好きです。 |
【書き方のポイント】
・志望する企業の価値観の共感する部分等を書き入れる
・薬剤師を生業にしている理由を書く
保育士
【例文】
私は私立保育園で、主に0歳児から3歳児クラスを5年間担当してきました。 |
【書き方のポイント】
・これまで経験してきたことを盛り込む
・応募する保育園の方針にマッチした志望動機にする
看護師
【例文】
これまで一貫して、精神科で経験を積んでまいりましたが、看護師としてのスキルを向上させるために、総合病院でしっかりと一般医療の経験を積みたいと思い、転職を決意いたしました。 |
【書き方のポイント】
・応募する病院を選んだ理由を記載する
・看護師として経験してきたことについて述べる
介護福祉
【例文】
引用元:https://www.kaigo-kyuujin.com/oyakudachi/oubo/6923/ |
【書き方のポイント】
・志望する企業に共感しているポイントを述べる
・自身の介護福祉に対する思いを伝える
電気工事
【例文】
電気工事士を目指して、転職を決意しました。子供の頃から機会いじりやモノづくりが好きでした。 現在は、電気工事士の本を読む等して勉強中です。 |
【書き方のポイント】
・未経験の場合は電気工事士を目指した経緯に触れる
・経験者の場合、これまでの実務経験を伝える
歯科衛生士
引用元:https://sikaeiseisi.firstnavi.jp/contents/resume/ |
【書き方のポイント】
・今までのエピソードに触れる
・応募医院が力を入れていることに触れた志望理由にする
志望動機に関するよくある疑問
以上、例文を載せさせていただきましたが、ここからは履歴書の志望動機に関する、よくある疑問についてお答えしていきたいと思います。
よくある質問を以下に列記し、それぞれ回答させていただきます。
「結婚を機に転職する場合の退職理由は?」
結婚を機に退職する場合、本来、退職理由は「一身上の都合により退職」で構いません。ですが、採用担当者は退職した理由を知りたがります。それは、長く働いてくれるかどうかを見るためです。
「結婚を機に退職」「結婚による転居で退職」等、退職した経緯を正直に伝えるようにしましょう。その上で、志望企業を選んだ理由を述べてください。
「履歴書と職務経歴書の志望動機は同じでよい?」
履歴書と職務経歴書の志望動機は、全く同一にはしないようにしましょう。これは手抜き感が出てしまうためです。
ですので、「内容は同じだけど書き方を変える」という方法をとるのがベターです。
一般的には、履歴書より職務経歴書の方が、志望動機欄が大きいです。これを活かし、履歴書で書いた志望動機を、さらに深掘りした内容に変化をさせて、職務経歴書の志望動機欄の記入を完成させましょう。
「企業指定の履歴書に志望動機欄がなかったら書かなくていい?」
企業指定の履歴書に志望動機がないケースは少なくありません。その場合は、志望動機はなしでOKです。企業が志望動機以外のことで判断したいという、心算の表れと考えられるためです。
ただ、そういった場合は、職務経歴書やエントリーシート等で、必ず志望動機を書いて熱意をアピールしましょう。
「職務経歴書に志望動機を書いたので、履歴書にも書く必要はないのでは?」
職務経歴書に志望動機を書いたとしても、履歴書にも志望動機は書きましょう。履歴書に空欄箇所があることは印象がよいとは言えません。
既述のように職務経歴書に書いた志望動機の内容を要約したものを履歴書に書きましょう。
「履歴書に書いてある志望動機を面接でも言ってもいい?」
面接で志望動機を聞かれた際、履歴書に書いてある志望動機と同じ内容を話しても問題ありません。但し、書いてある内容通りに話してしまうと、棒読みになりかねません。そのため、丁寧な話し言葉に噛み砕いて伝えるようにしましょう。
終わりに
転職希望者の強みは、新卒者とは異なり、就業して積み重ねた経験を、職歴や実績として志望動機に盛り込めることです。
どんな業務経験もマイナスにはなりません。、あなたが、志望企業が求める人材にマッチしていることが伝わるよう、自身の強みをしっかり分析して、志望動機の作成に臨みましょう。
そうすることで、きっとあなたの転職活動を成功の道へいざなってくれるでしょう。