転職活動において、最も緊張するのが「面接」と答える方は多いのではないでしょうか。面接は採用担当者に自分をアピールする機会です。少しでもいい部分を見せたいと思うあまり、緊張して自分を上手にアピール出来ない、なんて経験がある方もいるのではないでしょうか。

 そういった方は、どのようにしたら自分のいい部分を面接で出せるようになるのでしょうか。これは、面接においてのマナーを学ぶことで、よりよい自分を見せることが期待出来ます。

 ここで紹介する面接のマナーを理解して、上手に自己アピールを出来るようになりましょう。

 

マナーで9割決まる

 まず、面接のマナーを学ぶうえで、知っておきたい人間心理が2つあります。

 1つ目は「メラビアンの法則」です。これは、相手に与える第一印象が「見た目等の視覚情報」が55%、「口調や話す速度等の聴覚情報」が38%、話の内容等の言語情報が7%という法則のことです。第一印象は約9割は視覚・聴覚情報で決まると言われています。

 2つ目は「初頭効果」です。「初頭効果」とは相手が後々、あなたのことを知っていったとしても、一番初めの印象を人はなかなか変えることが出来ないという法則です。これは、第一印象であなたの評価が決まるとも言えるでしょう。

 つまり「メラビアンの法則」と「初頭効果」によると、視覚・聴覚情報であなたの評価は9割決まるということになります。

 自分をうまくアピール出来ないと、よい視覚・聴覚情報を面接官に与えることは難しいかもしれません。そこで、よい情報を与えるためにはマナーを学ぶことが大切なのです。マナーを習得することでよりよい自己アピールを実現することが可能となるでしょう。

 実際に、某企業の採用担当者はこのように語っています。

「マナーがしっかりしている応募者は、それだけで好印象です。」

 この言葉からも、マナーがいかに第一印象を決めるかがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

中途採用者にビジネスマナーは用意されていない

 マナーを習得することが大事な理由は、他にもあります。面接官は「応募者にビジネスマナーがあるかどうか」という部分を見ているのです。

 新卒採用であれば、応募者は社会人になる前のため、面接官はマナーが足りてないとしても、大目に見る傾向にあります。というのも新卒採用であれば、入社後に研修等でマナーを教える機会を設けていることが多いためです。

 しかし、中途採用ではそうはいきません。応募者は社会人です。「ビジネスパーソンとして働いた経験があるのだから、マビジネスマナーを身に付けていて当然」と面接官は期待しています。それにも関わらずマナーが出来ていない社会人が面接に現れたら、印象はよくないでしょう。

 面接官にマイナスな印象を与えないためにも、マナーを習得することは大切なのです。

 

面接マナー

 それでは、面接においてのマナーを見ていきましょう。

 

マナー➀服装

 「メラビアンの法則」で「見た目等の視覚情報」が55%を占めていることからも分かる通り、服装は人の印象を大きく左右します。面接官は応募者の身だしなみから、「どのようなタイプの人間なのか」や「普段の仕事ぶり」等を推測します。

 面接官は、応募者が思っている以上に外見を見ているのです。

 そのため、面接の前に鏡の前で「清潔感はあるか」「その業界のビジネスシーンに合っているか」等を中心にチェックをしましょう。

 

マナー②到着時

 面接会場に到着する際は、以下のマナーを意識しましょう。

到着時⑴面接時間の15分前に到着

 当然のことですが面接に遅刻は厳禁です。面接会場への道のりの途中で迷ったり、電車が遅延したりすることを考えて余裕を持った行動を心掛けましょう。

 推奨するのは、面接時間の15分前に会場に到着することです。「少し早いのでは?」と感じる方もいるかもしれません。これには理由があります。15分前に会場に到着することで、身だしなみのチェックをしたり、面接で話す内容を再確認したりする余裕が生まれるためです。

到着時⑵受付は面接時間の5分前

 受付は面接の5分前にしましょう。それよりも早く受付をしてしまうと、企業側の準備が整っていない可能性があります。そのため、 “早すぎず遅すぎず” の5分前に受付をするのが丁度よいのです。

到着時⑶携帯電話は電源OFF

 必ず面接前には携帯電話の電源をオフ、もしくはサイレントモードにしておきましょう。マナーモードでは、バイブ音が聞こえてしまい、面接官によい印象を与えない可能性が考えられます。

到着時⑷冬場は面接会場に入る前にコートを脱ぐ

 冬場は、面接会場に入る前にコートを脱ぐのがビジネスマナーです。面接前から見られていることを意識して、コートは必ず会場の外で脱いでおきましょう。

 

マナー③受付時

 受付では、何の要件で誰に会いに来たかを簡潔に伝えましょう。企業によっては、受付に備え付けの電話が設置されていることがあります。その場合は、以下のように話をするとよいでしょう。

「いつもお世話になっております。本日、〇時から面接のお時間を頂いております、〇〇と申します。採用担当者の〇〇様にお取り次ぎを頂けますでしょうか。」

 以上のように話し、電話口の方に誠実さが伝わるようにしましょう。というのも、受付での対応は面接官に伝わっているケースがあるためです。「受付から面接は始まっている」という意識で臨んでください。

 

マナー④控え室

 受付後、控え室に案内された際は以下2点のマナーを守りましょう。

控え室⑴下座に座って待つ

 控え室では、必ず下座に座ってください。受付の方に上座を案内されたとしても、断りを入れて下座に座りましょう。

・上座とは

 部屋の入口から最も<span class=”col_red”>遠い</span>位置にある場所や座席のことを指し、立場が<span class=”col_red”>目上</span>の方が座ります。

・下座とは

 部屋の入口から最も<span class=”col_red”>近い</span>位置にある場所や座席のことを指し、立場が<span class=”col_red”>目下</span>の方が座ります。

 あくまでも面接の時間を取って頂いている立場にあるため、応募者は下座に座ることが適しているのです。

控え室⑵社員の方に礼儀正しく振舞う

 控え室で待っている間、社員の方に応募書類の提出等を求められることがあります。その際は、礼儀正しく振舞いましょう。というのも、控え室の対応は面接官が行うケースが少なくないためです。控え室での振る舞いは意外と見られているものです。受付から面接が始まっていることを忘れないように気をつけましょう。

 

マナー⑤入室時

 面接が行われる場所へ入室する際は、以下のポイントをチェックしましょう。

入室時⑴ノックは3回

入室する際は、ドアをゆっくりと3回「コン、コン、コン」とノックをしましょう。

  3回ノックをすることは入室確認の意味があるのです。一方、2回は空室確認をする意味がありトイレノックと言われています。決して、ノックを2回で終わらせないようにしてください。

 また、ノックをしやすくするためにカバンとコートは同じ手に掛け、片手を空けておきましょう。

入室時⑵両手でドアを開ける

 ノック後、室内から「どうぞお入りください」等の反応があったら「失礼いたします」と面接官に聞こえる声で言い、ドアを両手で開けましょう。しっかり面接官とアイコンタクトをとり会釈をしてください。

 入室時点で、多くの面接官は応募者のイメージをある程度掴むため、軽く微笑むことを意識しましょう。

 入室時⑶ドアを閉める時は完全に背中を見せない

 入室をした後は、面接官に完全に背中を見せないよう、ドアに対し斜めに向き直り、静かに両手を使って閉めましょう。向き直ることなく、後ろ手でドアを閉めると雑な印象を与えてしまうためNGです。

 ドアを閉め終えたのち、再び面接官の方に向き直ります。

 ドアの前で面接官に向かい「宜しくお願い致します。」と挨拶をし、お辞儀をしましょう。その際、挨拶とお辞儀を同時にしないようにしてください。挨拶を言い終えてからお辞儀をすることが、最も丁寧な方法です。

入室時⑷椅子の横に立つ

 面接官に挨拶をした後、面接官の前に用意された椅子に向かいます。

 椅子の横に立ち「〇〇〇〇です。宜しくお願い致します」と言い一礼をしましょう。椅子に着席するタイミングは面接官から「おかけください」と促されてからにしてください。

 着席する際は、「はい、失礼致します」と一声言ってから座りましょう。

入室時⑸椅子に座って荷物を床に置く

 椅子の座り方は、背もたれの寄りかからず浅めに腰掛けましょう。女性は脚を閉じ、男性は軽く脚を開いた状態で膝の上に手を置きます。

 鞄は椅子の横に置きましょう。椅子に立て掛けなくても済む、自立するタイプの鞄がオススメです。冬場のコートは、二つ折りに畳んで、カバンの上に乗せておくとよいでしょう。

 

マナー⑥面接時

 次は面接時のマナーついて見ていきましょう。

面接時⑴はじめに御礼を伝える

 まずは、はじめに面接の機会を設けてもらったことに対して「本日はお忙しい中、貴重な面接機会を頂きまして、本当にありがとうございます。」と御礼を伝えましょう。面接官は、忙しい業務の中、時間をつくって応募者に会っています。しっかり感謝の気持ちを述べるだけで、あなたの印象をグッと高めることが出来ます。

面接時⑵面接者の目を見てハキハキ話す

 面接中は、必ず面接者の目を見て話すようにしましょう。面接官が複数人いた場合は、質問をしてくれた面接官の目を見て回答をしてください。その際、伏し目がちとなって話をしてしまうと、自信がないと評価されることがあるため注意が必要です。

 また、ハキハキとした口調で、語尾まではっきりと話すように意識すると自信のある話し方になります。

面接時⑶面接官の話はメモを取る

 面接終盤の逆質問では、メモを取るようにしましょう。聞きたい質問をしているにも関わらず、面接官が答えている間、応募者がただ耳を傾けているだけでは「真剣に聞いていないのではないか?」と感じてしまう採用担当者もいます。マイナスな印象を与えかねないため、メモを取るようにしましょう。

 

マナー⑦退室時

 次は退室時について、時系列でポイントをおさえていきましょう。

退室時⑴御礼とともに志望意思を伝える

 面接が終了したら、着席したまま「本日は、ありがとうございました。」と感謝の意を述べ一礼をしましょう。

 その際、御礼とともに次の選考に進みたいという志望の意思を伝えましょう。「ぜひとも、次の選考に進みたいと考えております。どうぞ宜しくお願い致します。」等と述べるとよいです。志望意思を伝えると、多くの面接官は好印象を持ちます。面接官からの印象がプラスで終わるようにぜひこれを実践してみてください。

退室時⑵立ち上がって再度一礼

 御礼後は、起立して椅子の横で再度「ありがとうございました」と一礼をします。時間を取っていただいたことに対する感謝の気持ちを込めながらお辞儀をしましょう。

退室時⑶別れ際に再度一礼を

 出口まで行ったら、もう一度面接官の方に向き直り「失礼致します」と挨拶をし、退室をします。

 中には、面接官がエレベーターまで見送ってくれる場合があります。その際は、御礼を伝えた後にエレベーターに乗り込み、ドアが閉まる前に再び一礼をしましょう。

 また、会社の入り口まで見送ってくれる場合は、入り口で御礼を伝えたのち、外に出て向き直り再度一礼をしてください。

以上のように、別れ際はよい印象が残るように心がけましょう。

退室時⑷退室後

 退室をすると気を緩めてしまいがちですが、だらしない態度を取ったり、携帯電話を確認したりすることはNGです。退館するまでが面接だということを心得ましょう。

 また、冬の時期は寒くても面接官が見えなくなるまでコートは着ないのがビジネスマナーです。

 

マナー⑧帰宅後

 帰宅後は、当日中に面接官または採用担当者にメールで御礼を伝えるようにしましょう。「本日はお忙しい中、貴重なお時間を割いて面接いただき、誠にありがとうございました」といった内容のメールを送るだけでも印象はアップします。

 

NGケース

 

  面接でのマナーは出来ていても、それ以外の部分で印象を悪くするというケースがあります。ここでは、マナー以外で不採用になるNGケースをご紹介致します。

 

NG➀スーツを着ない

 面接時は、アパレルや美容業界等、一部の職種を除いては原則スーツです。服装の指定がないとしても、スーツ以外の服装で行くのはNGです。マイナスな印象を与えてしまうおそれがあります。

 

NG②清潔感がない

 髪がボサボサだったり、スーツにシワがあったり等は、見た目に清潔感がありません。清潔感がないことによって、いくらマナーが守れていたとしても、印象は悪くなってしまいます。清潔感がない人とは一緒に働きたくないというのがどの職種にも言えることでしょう。

 面接の日は、家を出る前に髪をしっかりセットしたり、シワのない綺麗なスーツを着たりして、身だしなみの確認を必ずしましょう。

 

 NG③臭いがする

 臭いがするのも清潔感がないのと同様、面接官からの印象はダウンしてしまう可能性があります。代表的な例として、タバコのにおいが挙げられます。実際に、医療関係の場合はタバコのにおいが原因で面接に落ちるというほど、タバコの臭いというものは敬遠されます。そのため、タバコのにおいが苦手という面接官は、敏感に感じ取るかもしれないので注意が必要です。

 タバコの他には、体臭、口臭、過度な香水の匂い等、いずれも面接官にはよい印象は与えません。

 面接前にはうがいや、服に消臭スプレーをかける、タバコを吸わない等を心がけましょう。

 

NG④目を見ない・視線を逸らす

 面接時は、相手の目を見て話すことがマナーです。しかし、目を合わせなかったり、視線を逸らしたりしながら話す方は少なくありません。このような応募者に対し、面接官は「人と接することが苦手」「自信がなさそう」といったネガティブなイメージを抱くことがあります。

 とはいえ、目を見ながら話すことに抵抗がある方もいるでしょう。そういった方は、面接官の鼻や眉間を見ながら話をするとよいでしょう。そうすることで、面接官は目を見て話をしているように見えるのです。

 

NG⑤敬語が使えない

 言うまでもなく敬語が使えないのは論外です。中には、面接で会話が弾み、プライベートな話題にまで話が及ぶと、ついタメ口になってしまう応募者がいます。あくまでも面接は、ビジネスマナーが見られている場でもあります。「敬語が使えない」=「ビジネスマナーが出来ていない」と捉えられてしまい、面接官から不採用の烙印を押されてしまう可能性は否定出来ません。

 たとえ、話が盛り上がったとしても、丁寧な敬語で会話をすることを忘れないようにしましょう。

 

まとめ

 「メラビアンの法則」や「初頭効果」にもあるように、面接の合否は9割第一印象で決まります。面接においてのマナーを守ることで、面接官からの印象はグッと上がるのです。

 ぜひ面接マナーを実践して、転職成功に向けてトライしてみてください。

 また、履歴書・職務経歴書の書き方についての記事もあるので、こちらも併せて転職活動にお役立てください。

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