転職活動において、職務経歴書はあなたの経験とスキルを伝える重要なツールです。採用担当者にとって分かりにくい職務経歴書は、書類選考で落ちる原因になります。
そこで本記事では、書類選考を通過するための「職務経歴書の書き方」についてご説明させていただきます。
履歴書と職務経歴書の違い
まず、はじめに職務経歴書と履歴書の違いについて押さえておきましょう。これを押さえておけば職務経歴書で何を書くべきかが見えてくるのです。
多くの企業は募集の際、最初の提出書類として履歴書と職務経歴書の両方を指定しています。なぜ企業はこの2つの書類を指定するのでしょうか。それは、履歴書と職務経歴書がそれぞれ見るポイントが異なるためです。
履歴書には職歴の他に学歴や志望理由、さらには生年月日や住所等の個人情報が手書きで書かれています。採用担当者が見るポイントは以下です。
・通勤圏内かどうか
・「学歴・職歴」と「応募職種」の関係性
・応募企業への思いの強さ
・丁寧な字で書いているか
一方、職務経歴書では過去にどのような仕事を経験してきたかが詳しく書かれており、採用担当者は以下のポイントを見ます。
・求めている実務能力を満たしているか
・発揮出来る能力が自覚しているか
・転職目的が納得出来るか
どちらも採用担当者の手に渡るものですが、書類選考時においては、能力について詳しく書かれている職務経歴書が合否を決める大きな基準となっています。そのため、書類選考を突破するためには、いい職務経歴書にする必要があるのです。
職務経歴書のルール
では、いい書類にするために職務経歴書のルールから見ていきましょう。ルールが守られていない職務経歴書は採用担当者に悪い印象を与えかねないためです。
ルール➀手書きでなくパソコンで作成
職務経歴書は書く内容が多いです。それをまとめるための手直しが必要となるため、パソコンで作成をしましょう。
また、履歴書に関しては手書きがよいとされていますが、職務経歴書は能力やスキルについて詳しく書かれている性質上、基本操作が出来るというアピールも兼ねてパソコンで作るのが一般的なのです。
ルール②用紙のサイズはA4
用紙のサイズはA4を選びましょう。例えば、A4より小さいB5サイズにしてしまうとフォントを小さくしなければいけなくなったり、文字数を制限せざるを得なくなったり等、調整する必要が出てしまいます。また、その調整は採用担当者にとって「見づらい」「伝わりにくい」職務経歴書になりかねません。
そのため、用紙のサイズはやはりA4が適しています。B5サイズの履歴書を使用する場合でも、職務経歴書はA4サイズのもので作成しましょう。
ルール③2~3枚で作成
職務経歴書は2~3枚で作るのが基本です。職歴が多い方は3枚になっても構いませんが、それ以外の方は2枚でまとめるのがベターでしょう。これは、採用担当者が日常的に職務経歴書を読んでいる職柄上、あまりに長い文章は最後まで読まない可能性があるためです。
そのため、アピールしたい内容が多いとしても2~3枚で収めましょう。
ルール④左上をクリップで留める
提出する際は、左上をクリップで留めて職務経歴書を1つにまとめましょう。企業側でコピーをとる際のことを考えて、ホチキスではなくクリップを用いるのです。
ルール⑤アルバイト経験のみの場合は作成しなくてもよい
過去の経歴がアルバイトのみという方は、職務経歴書を書く必要はありません。応募職種に関連性の高いアルバイト経験がある方は、履歴書の「学歴・職歴」欄、もしくは「志望動機」欄を活用してアピールしましょう。
但し、「週5で半年以上勤続し責任ある仕事も任された」等のように、社員と大きく相違がないアルバイト経験がある場合は、職務経歴書でアピールしましょう。
その際は、余白がありすぎると印象が悪くなる可能性があるため、少なくとも用紙の3分の2以上は埋めるように意識してください。
ルール⑥派遣会社で働いていた場合
派遣社員として働いていた期間がある場合は、登録していた派遣会社(派遣元)、派遣先(実際に働いた会社)、働いた期間と仕事内容を書いてください。
どの派遣先も仕事内容が共通している場合は、下記画像のように、先に働いた期間・会社名を書きましょう。そして、その下に具体的な職務内容を一つにまとめて書くとスッキリして見やすくなります。
よい職務経歴書を書くための三ヶ条
職務経歴書は、あなたが御社にぴったりの人材であることをアピールする「プレゼン資料」です。これを意識するだけで書類選考しやすくなるのです。それを実現させるためのよい職務経歴書を書くための三ヶ条についてお伝えさせていただきます。
三ヶ条➀求人内容に沿った内容にする
職務経歴書は、「自分のこれまでの経験やスキルが、応募先でも十分に活かすことが出来る」ということが分かりやすく記載されていることが重要です。
そこで、職務経歴書を書く時は「応募先企業が求めている経験・スキル」と「あなたの経験・スキル」の共通する部分を積極的にアピールして作成することがポイントになります。
それが、たとえ未経験の職種への転職であってもアピールすることが肝心です。例えば、営業職から未経験の事務職に転職を希望するとします。この場合、営業で経験をした事務作業について多く盛り込ことを意識しましょう。すると、採用担当者はあなたと一緒に働くイメージを持ちやすくなり、職務経歴書から感じる印象もよくなるのです。
但し、自分を大きく見せるための主張のし過ぎは「うちの仕事内容では満足しないかもしれない」と敬遠されてしまう可能性があるので注意を払いましょう。
三ヶ条②読みやすい見た目に整える
応募者にとっては、出来るだけ多くの実績や自己PRを職務経歴書に詰め込みたくなるのが心情です。しかし、採用担当者は日常的に職務経歴書に目を通しているため、書かれている内容を全て読むとは限りません。
人の「第一印象」は3~5秒で決まると、”メラビアンの法則”で言われていますが、これは書類も例外ではありません。採用担当者は、文章を読み始めて3~5秒でその職務経歴書の「第一印象」を決めます。
そのため、どんなに素晴らしい経歴が書いてあっても、採用担当者に「読みたい」と思わせることが出来ない書き方であってはもったいないのです。
ただアピールしたい内容を羅列するのではなく、「どの項目で何の内容が書かれているか」が一目で分かるように読みやすい見た目に整えることが大切です。例えば、簡潔に見えるよう、罫線や改行、箇条書きを利用して整える等の工夫を心がけましょう。
三ヶ条③“キラーワード”を盛り込む
職務経歴書には、採用担当者の目に留まりやすい“キラーワード”があります。例えば、資格名がそれに当たります。経理職であれば経理に関連のある資格名を記入するとよいでしょう。
また、数字もキラーワードです。例えば、実積をアピールする場合は、「売上〇%アップ」等の数値を入れるとよいでしょう。
基本のフォーマット
では、ここからは一項目ごとの書き方を見ていきましょう。職務経歴書には上記画像のような、ざっくりとしたフォーマットがあります。
フォーマット➀記入年月日と名前
まず職務経歴書を作成した日付を右寄せで書き込んでください。但し、郵送の場合は発送日、手渡しの場合は持参日を記入しましょう。
そして、日付の下には氏名をフルネームで記入をします。
フォーマット②職務要約
冒頭には、採用担当者が詳しく読みたくなるよう、「どのような経歴を持ち、何が出来るか」を端的に書き込みましょう。文字数はサクッと読める3~5行程度がよいです。
フォーマット③職務経歴
職務経歴書に明記する職歴は、履歴書とは異なり詳細に明記します。
たとえば、異業種からの転職の場合、採用担当者にとって企業規模や会社概要が分からないことが考えられます。そのため、簡単に業種や事業内容、売上高や従業員数等、キラーワードである数字も交えて明記し、どのような企業に勤めていたのかが伝わりやすいように記入しましょう。
経歴の書き方は、はじめに在籍年月日と勤務先名を記入します。会社名は「(株)」と省略せずに「株式会社」と記入しましょう。在籍年月に関しては細かく日付まで書く必要はありません。
また、職務経歴の書き方については形式が3つあります。これについては後述していますので、そちらから自分に合った形式をお選びください。
職務経歴⑴職務内容
所属部署や役職、具体的な仕事内容は箇条書きで端的に書くと分かりやすくてよいです。
また、小さなものであっても、マネジメント経験を記載しておくとよいでしょう。例えば「プロジェクトリーダー(4名チーム)として、スケジュール、予算管理、客先折衝」等です。また、部下がいた場合も、「〇〇〇課課長(課長以下7名)」等と人数も書いてアピールしておきましょう。
役職に就いていなかったり、小さな会社で所属部署がなかったりする場合は、書かなくて構いません。
職務経歴⑵実績
自分の強みの核となる実績を、出来るだけ具体的な数値を入れて説明しましょう。例えば、生産管理・技術なら「〇〇%のコストカット」「返品率〇割」、営業職なら「年間〇〇社開拓」「売上〇%アップ」等がアピール出来る実績数値になります。
また、実績を数値として出しにくい職種の場合は、「年間で〇円規模のプロジェクト」といったように金額を入れて関わっていたプロジェクトの大きさを示す等の工夫をしてみましょう。
フォーマット④スキル、保有資格、語学力
Word、Excel、PowerPointといったパソコンソフトの操作スキルや、保有している資格、語学力等を記載します。ここでも「PowerPoint:客先でのプレゼンテーションに使用」「英語:TOIEC680点。電話応対やビジネスメール、海外からの来客アテンドが可能」というように具体的な例を加えて記入すると伝わりやすいです。
フォーマット⑤志望動機
志望動機は、履歴書に書かれているのであれば職務経歴書に改めて記入する必要はありません。
履歴書に志望動機を書いていない場合のみ記入をしましょう。
フォーマット⑥自己PR
自身の強みや、これまでの仕事で得た経験とスキルがどのように貢献出来るのかを記載します。経験が浅く、アピールする経歴が少ない場合は意欲や姿勢を伝えるようにしましょう。経験が浅い場合は重要視したい項目です。
フォーマット⑦ページ番号
一番下には職務経歴書の何枚目なのかが分かるように「1/2」「1/3」等と通し番号を振りましょう。Wordの場合は「挿入→フッター」から設定可能です。
「職務経歴欄」の3形式
前項でも少し触れましたが、「職務経歴欄」には3形式の書き方あります。
形式は「編年体式」「逆編年体式」「キャリア式」の3つです。あなたの経歴とスキルに合わせた形式をチョイスするとよいでしょう。
編年体式
2011年5月 株式会社〇〇食品入社 業務内容:スイーツを中心とした食品の生産・販売 資本金:3,500万円 年商:150億円 新人研修では1ヶ月間自社工場で製品知識について学ぶ。 2011年6月 本社・商品管理部に配属 受注管理業務(注文確認・振込確認・自社工場へ生産手配・商品発送手配)を担当。 2015年10月 北関東営業所に異動 北関東営業所管轄の受注管理業務全般を担当。 営業のサポートとして、資料作成・販促ツールの作成・情報収集等を行う。 |
編年体式は、業務経歴を時系列に記します。同一業務での習熟度を伝えるのに向いている形式です。また、最初に勤めていた会社から順番に並べていくため、これまで積んできた経験をストーリー的に伝えることが出来ます。
しかし、時系列であることから、最後まで目を通さないと最新の経歴が分からなかったり、応募する職種についてブランクがある場合は一目瞭然だったりといったデメリットがあります。
逆編年体式
【2017年6月~】 現在、転職活動中
【2016年12月~2017年5月】 株式会社〇〇(パート社員) ×××センターで営業マネージャーとして営業管理業務全般を指揮 1月より毎月、獲得回数契約で対前月比を更新。4月実積(対比1月実積174%アップ) 次期営業マネージャーに業務引継ぎ。6月からの大幅業責アップに道筋をつける。契約期間修了。
【2016年11月~12月】株式会社△△(コンサルティング営業社員) スカウトを経て生命保険の営業研修を受ける。 ●●一般過程合格。個人売上高:1万〇〇契約。査定基準達成。 (退職理由)営業マネジメント志望のため、転職を決意 |
逆編年体式は、時系列を逆にして最新の経歴から伝えます。前職(現職)での経験を目立たせることが出来るため、直近の経歴が応募職種にマッチしている方に向いている形式です。そのため、即戦力を求めている企業にとってはこの逆編年体式は有効です。
但し、採用担当者によっては「時系列じゃないと読みづらい」と感じ、悪い印象を与える可能性も考えられます。そのため、そのリスクを踏まえても最新の経歴をアピールしたいという場合に限り、逆編年体式を活用しましょう。
キャリア式
接客に関する経歴 2012年3月~2013年7月 飲食店「〇〇ダイニング」有楽省店(〇〇株式会社入社) <職務>接客、簡単な調理、レジ、注文取り、清掃(ホールスタッフ) 2013年8月~2014年4月 飲食店「〇〇ダイニング」新宿店(新オープン、副店長) <職務>接客、在庫管理、発注業務、アルバイトのシフト作成
営業に関わる経歴 2010年3月~2011年1月 株式会社××× 靴の専門商社での法人営業 2014年5月~2017年2月 □□株式会社 ウェブ企画会社での法人営業<職務>110人以下の中小企業を対象に、新規開拓営業をしていた。 【実積】靴の専門商社では、受注件数年間140件を達成 |
キャリア式は、経歴を時間軸で書き連ねるのではなく、職務内容ごとにまとめた形式です。複数の分野で経験を積んできた方に向いています。
例えば、1社目と3社目で経理、2社目と4社目で営業を経験した人が経理職に応募するとします。この場合、1社目と3社目での経理経験を中心に書き、その他は軽く触れる程度に留めておきましょう。
そのため、過去の経歴で強調したい経歴がある人にはこのキャリア式は向いています。
まとめ
ここまでご説明させていただいた内容は、あくまでも基本的な内容です。「どの形式を使い」「どの項目をどれくらい膨らませる」かは、あなた次第です。
但し、職務経歴書は企業が求める人材に沿うように自分の経歴をアピールすることが大切です。
ここで学んだ書き方を利用して、まずは書類選考を突破して、理想の転職を叶えていきましょう。