国税庁の公表によると、令和2年度(第70回)税理士試験で、何かの科目している受験者数は『5,402人』(『https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikenkekka/70/kekka.htm』)です。そのうち、648人が税理士試験を通算5科目に合格し、税理士登録を出来るようになりますた。
 5,402人が何かの科目に合格しているにも関わらず、なぜ648人しか税理士登録を出来ないのでしょうか。

 それは、税理士試験では、科目合格制度が採用されているためです。税理士試験は、複数回の受験で通算5科目に合格すれば、税理士登録をすることが出来ます。1回に受験で5科目に合格する必要はないのです。

 本記事では、税理士試験に科目合格制度が採用されている理由と、合格した科目の期限を中心にお伝えいたします。

 

税理士試験と科目合格制度

 税理士試験は11科目あります。必須科目2科目、選択必須科目2科目、選択科目7科目から構成されています。
 必須科目から2科目、選択必須科目から1科目、選択科目から2科目に合格する、税理士登録が可能になります。

・必須科目とは
必ず合格しなければならない科目のことを指します。会計学に属する簿記論と財務諸表論が必須科目に該当します。

・選択必須科目とは
2科目のうち1科目に必ず合格しなければならない科目のことをいいます。法人税法と所得税法が選択必須科目に該当します。

・選択科目とは
7科目のうち2科目に必ず合格しなければならない科目のことを指します。相続税法と消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税法、事業税法、固定資産税が選択必須科目に当たります。選択科目には条件があります。それは、消費税と酒税法は、いずれか1科目しか選択出来ません。同様に、住民税と事業税も、いずれか1科目しか選択出来ません。

 例えば、ある年度の税理士試験で財務諸表論に合格したとします。その場合、翌年度の税理士試験では財務諸表論を受験する必要はありません。それは、科目合格制度のよって財務諸表論が科目免除されているためです。

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科目合格制度が採用されている理由

 では、なぜ税理士試験は科目合格制度が採用されているのでしょうか。

 それは、税理士の質を下げないためと考えられます。税理士の質を担保するためには、税理士試験で難易度の高い問題を出す必要があるでしょう。そこで、各々の科目の難易度が高くなっても税理士登録を目指せるよう、科目合格制度を採用したと考えられます。

 もし、科目合格制度を採用しない場合、一定以上の合格者を輩出するために、出題内容の難易度を低くしなければなません。すると、税理士の質の低下に繋がる可能性が否定出来ません。

 そのような背景から、税理士試験は複数回の受験で5科目合格を目指すものと考えらえています。それは、難易度が高いだけに、受験者は一度に多くの科目の勉強を進めることが出来ない、とされているためです。

 

合格した科目の期限

 合格した科目は、生涯有効です。そう、期限はないのです。
 そのため、10年以上前に簿記論に合格し、最後の5科目で相続税法に合格しても税理士登録は可能なのです。