公認会計士の資格は、医師、弁護士に続く難易度の高い国家資格と言われています。
金融庁が発表した、2016年の公認会計士試験の合格率は『10.8%』(『http://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakai/pamphlet/shiken-pamph.pdf』)と低めです。
このことから、公認会計士になることは難易度が高いと言われています。
また、公認会計士試験に受かったとしても、実務経験を2年以上積んで、修了考査(筆記試験)に合格しなければ公認会計士になることは出来ません。
このよう経緯をたどって就く公認会計士の年収は、一体どの程度なのでしょうか。
今回は、公認会計士の年収の実態についてお伝えします。
公認会計士の仕事
公認会計士の代表的な仕事は「監査」です。
日本の数ある会社の中で、上場企業や資本金が5億円以上ある大企業は、法律に沿って経営をしているかどうかのチェックを受けなければなりません。そして、このチェックのことを監査と呼んでいます。
第三者である公認会計士が、企業の収入や支出、記録した財務書類を調べ上げ、その内容に間違いがないかどうかを洗いざらいチェックします。これにより、企業が決算書にウソの数字を書く「粉飾決算」を防ぐことが出来ます。
実務経験の年収
はじめに、公認会計士試験の合格後に積む実務経験時の年収について触れていきます。
この実務経験では、財務に関する監査や分析の業務補助を行います。公認会計士試験に合格した多くの人が監査法人に就職するのは、公認会計士になるための要件「2年以上の実務経験」を満たすことが目的です。
監査法人では、「スタッフ」という肩書で働きます。年収は500万円以上です。中堅の監査法人では、年収500万円前後です。
公認会計士の平均年収
公認会計士になると、一般企業に勤めるビジネスマンより収入は高い傾向にあります。これは、公認会計士の仕事の性質上、専門性が高いためとされています。
様々な職業の年収を紹介している「平均年収.JP」によると、2015年の公認会計士の平均年収は『926万円』(『http://heikinnenshu.jp/shi/kaikeishi.html』)です。
一方、民間企業の年収を紹介している「給料.com」によれば、2015年の大手企業224社の平均年収は『780万円』(『https://kyuuryou.com/w227-2015.html』)というデータを発表しています。
これらのデータからも分かるように、公認会計士は年収が高い傾向にあると言えるでしょう。
監査法人と一般企業
公認会計士としての就職先は、監査法人あるいは一般企業が挙げられます。
監査法人での年収
監査法人の年収は、大手監査法人と中堅の監査法人では異なります。
参照元:https://blog.cpa-net.jp/salary-cpa.html#1
会計・財務の情報を掲載している「CPA会計ブログ」によると大手監査法人の年収は上記の画像のようになっています。
大手監査法人では、年齢に関係なく年収500万円以上の「スタッフ」からスタートします。
そして、「スタッフ」から「シニア」→「マネージャー」→「シニアマネージャー」→「パートナー」という順に昇進していきます。早い人は就職して4年後にシニア、8年後にマネージャー、15年後にはパートナーに昇進します。
パートナーになると、年収が3000万円前後になることも珍しくありません。
一方、中堅の監査法人は、大手監査法人に比べ200万円程度年収が低い傾向にあると言われています。
ちなみに、大手監査法人では、育児や介護による休業制度を設けている等、福利厚生が充実している場合が多く、女性が働きやすい環境とも言えるでしょう。
一般企業での年収
以前は、一般企業で公認会計士を採用することは珍しいことでした。しかし、多くの監査法人が不景気による大規模リストラを行ったことがきっかけとなり、一般企業で働く公認会計士が増えてきました。
結果、一般企業で実績を残す公認会計士が次々に現れました。このことにより、近年、一般企業による公認会計士の採用ニーズは高まっているのです。
2015年の企業規模別の平均年収は下記の通りです。
大企業…1,074.2万円 中企業…889.0万円 小企業…805.6万円 参照元:http://heikinnenshu.jp/shi/kaikeishi.html |
大きい企業ほど年収は高い傾向にあります。
非常勤の場合
また、監査法人や一般企業では、非常勤で勤務する公認会計士もいます。というのも、公認会計士は、決算の度に忙しくなる「季節労働者」の色合いが強いためです。
非常勤の公認会計士は一日単位で雇います。この単価の相場は、1~3万円といわれています。
独立開業の場合
では、独立開業をして自営で会計事務所を経営した場合の年収はどの程度なのでしょうか。
独立開業は年収1000万円以上で、営業努力によっては年収2000~3000万円も可能な範囲といわれています。
年齢による推移
それでは、年齢ごとの年収を見ていきましょう。「平均年収.JP」によると下記のように推移します。
20~24歳 527.8万円 25~29歳 657.5万円 30~34歳 722.3万円 35~39歳 824.1万円 40~44歳 926.0万円 45~49歳 1,037.1万円 50~54歳 1,111.2万円 55~59歳 1,101.9万円 60~65歳 750.1万円 参照元:http://heikinnenshu.jp/shi/kaikeishi.html |
年齢が上がるにつれ年収が上がり、50~54歳でピークを迎えることが分かります。
学歴と年収
公認会計士試験は、受験資格に年齢・学歴・経歴等の制限がなく、どなたでも受けることが可能です。
とはいえ、学歴によって収入に差があることが、2015年に厚生労働省が発表した「公認会計士の学歴別の初任給」から見て取れます。
学歴 | 初任給 | |
男女計 | 大学院修士課程修了 | 22.8万円 |
大学卒 | 20.2万円 | |
高専・短大卒 | 17.5万円 | |
高校卒 | 16.0万円 | |
男性 | 大学院修士課程修了 | 22.8万円 |
大学卒 | 20.4万円 | |
高専・短大卒 | 17.7万円 | |
高校卒 | 16.3万円 | |
女性 | 大学院修士課程修了 | 22.8万円 |
大学卒 | 19.8万円 | |
高専・短大卒 | 17.4万円 | |
高校卒 | 15.6万円 |
参照元:http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/15/01.html
このデータは初任給ですが、高校卒より高専・短大卒の方が高収入といったように、学歴のよって年収に差があると言えるでしょう。
他の士業との年収比較
ここで他の士業と比較してみましょう。平均年収926万円の公認会計士に対し、税理士と弁護士、司法書士はどの程度の年収なのでしょうか。
税理士の平均年収
税理士は、個人や企業の税金に関するサポート事務が主な仕事です。
「平均年収.JP」によると、税理士の平均年収は『717万円』(『http://heikinnenshu.jp/shi/zeirishi.html』)です。
このデータによると、税理士より公認会計士の方が平均年収は高いと言えるでしょう。
→税理士の年収についてはこちらの記事で詳しく説明をしています。
弁護士の年収
弁護士は、法律の専門家です。
様々なトラブルに対しての予防方法やアドバイス、法的手続きを行い問題解決に向けたサポート等を行います。
「平均年年収.JP」によると、弁護士の平均年収は『1,106万円』(『http://heikinnenshu.jp/shi/bengoshi.html』)です。
公認会計士は、弁護士より年収が低いということが、このデータから言えるでしょう。
司法書士
司法書士の主な仕事は、登記に関わる書類作成をメインの仕事にしています。
「平均年年収.JP」によると、司法書士の平均年収は『630万円』(『http://heikinnenshu.jp/shi/shihou.html』)です。
このデータから言えることは、司法書士より公認会計士の方が年収は高いということです。
→司法書士の年収についてはこちらの記事で詳しく説明をしています。
まとめ
公認会計士と一口にいっても就職先や学歴によって差が生じるということが、本記事を通してお分かりいただけたでしょうか。
公認会計士を目指している方の中には、学歴に自信がないという方等もいるかもしれません。しかし、独立して会計事務所を開業したり、大手監査法人で昇進してパートナーになったり等すると、年収が飛躍的に上がることも期待出来ます。長いスパンで考えることも大切かもしれません。
公認会計士への道を検討している方にとって、本記事が参考になっていただけたら幸です。