公認会計士の資格は、合格率が10.8%(2016年)というデータからも分かるように、取得が難しいです。
 そのため、努力の末の取得した公認会計士の資格を、最大限に活かしたいと考えている方は多いのではないでしょうか。

 今回は、そんな公認会計士資格を活かした就職先についてご紹介したいと思います。

 

公認会計士資格と独占業務

 公認会計士資格を取得すると、公認会計士の独占業務(特定の資格や免許を保有している方だけが行える業務)である「監査」を行うことが出来ます。
 「監査」とは、企業が作成した財務諸表(決算書)が適正であるかどうかを第三者の立場から評価する業務を指します。

 また、公認会計士は税理士の独占業務である税務に関する下記3つを行うことも出来ます。

・税務代理
・税務書類の作成
・税務相談

→公認会計士と税理士の独占業務については、こちらで詳しく説明をしています。

 

公認会計士を活かした就職先

 公認会計士資格を活かした就職先は、主に会計事務所と監査法人の2つが挙げられます。

会計事務所

 多くの会計事務所は、スタッフの数は20名以下と小規模です。
 業務内容は、企業や個人に代わって、経理処理や決算書の作成等を第三者の目線からアドバイスをしたり、税務署とクライアントの間に立って税務手続の代行を行ったりします。

 そのため、会計事務所では幅広く業務に携わることが出来ます。

監査法人

 一方、公認会計士が5人以上集まる監査法人では、公認会計士の独占業務である監査をメインの仕事にしています。監査を受ける義務があるのは、資本金が5億円以上、もしくは負債の合計金額が200億円以上の株式会社が対象です。そのため、クライアントの多くは大企業等に限られます。

会計事務所と監査法人の両方で働いた経験のあるAさんの話

 ここで、実際に会計事務所と監査法人の両方で働いた経験がある、Aさんの体験談を以下にご紹介させていただきます。

「将来、自分がどうなりたいかに尽きると思います。待遇だけ見ると監査法人のほうがいいかもしれませんが、私自身は監査法人にずっといて数字のチェックをするよりも、税務、会計の実務のほうがやっぱり面白いし、やりがいがありました。公認会計士として独立するには、税務・会計に関する幅広いスキルと経験が求められます。つまり、会計事務所では独立開業のために必要な知識やプロセスを学ぶことができます。“一国一城の主”を志す人には、会計事務所がお勧めですね。」

引用元:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/751/

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増加する企業内会計士

 さて、近年では一般企業内で公認会計士として働く「企業内会計士」も増加傾向にあります。日本公認会計士協会によると、企業内会計士の数は『2012年末が716人だったのが、2016年末には1,708人』(『http://paib.jicpa.or.jp/network/』)と、4年間で2倍以上に増加しているのです。

 これは、経済のグローバル化により、企業の会計処理に高い専門性が必要になってきており、社内に会計に詳しい人材を抱えたいと考える企業が増えていることが理由に挙げられます。

→会計についてはこちらで詳しく説明をしています。

 業務内容は多種多様で、決算・経理業務を担う経理部で働くこともあれば、経理と人事、労務を全般に担う管理部署に所属さることもあります。

 様々な働き方があるため、業務内容が監査と決まっている監査法人等と違い、自身が希望する業務を選択しやすいとも言えるでしょう。

 

 

独立開業と税務

 また、公認会計士として経験を積むと、独立して会計事務所を開業する道も開けます。開業した多くの会計事務所は、税務業務も並行して行います。

 というのも、公認会計士の独占業務である「監査」は法律上、第三者からの監査を義務づけられている上場企業や、大企業に限られます。個人で独立したばかりの事務所が、そのような企業から監査の依頼を受ける機会は少ないのです。

 よって、事務所はクライアントから税務の仕事も請けています。「〇〇税理士・公認会計士事務所」という看板を見かけるのは、そのためです。

 

終わりに

 公認会計士資格の特徴の1つに、税理士業務を行えるという点が挙げられます。これは、公認会計士資格を取得すると、公認会計士と税理士の道が開ける、とも言えるでしょう。
 そして、以前は会計事務所と監査法人に就職することがメインだった公認会計士も、今では一般企業に勤める「企業内会計士」を選択する方も増えています。

 ぜひ本記事を参考に、あなたに合った就職先を選択してみてください。