個人や法人を法的観点から手助けをする司法書士。法律関係の仕事をしていることから、「限られた人しか司法書士になれない」とイメージする方も少なくないのではないでしょうか。
しかし実は、学歴や年齢に関係なくなれるのが司法書士なのです。
本記事では、「司法書士になるには」をテーマにお届けいたします。
司法書士とは?
司法書士とは、司法書士法に基づいて認められた国家資格のことをいいます。
この資格を有する方は、個人や法人から依頼される法律に関する書類の作成を行ったり、法律上の手続を代行したりします。
中でも、登記関係の仕事の割合が最も高く、起業時の会社の登記、土地購入の際の登記等、日常生活と密接に関わる役割を担っています。
なお、現在では資格そのものではなく、司法書士資格を有する方自身を「司法書士」と称することもあります。
司法書士になるには?
上記の画像のように、司法書士になるには「司法書士試験合格」「法務大臣の認可を受ける」の2通りが挙げられます。それぞれご説明させていただきます。
司法書士試験合格
司法書士試験は、年に1回行われる国家試験です。合格率は3%で推移しており非常に狭き門であるため、難関試験と言われています。
しかしながら、受験資格が不問のため年齢や学歴に関係なく受験が可能です。
合格後は研修を受ける
司法書士試験に合格したのみでは、司法書士として働くことは出来ません。日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録し、研修を受ける必要があります。
研修では、司法書士事務所で1~3ヶ月程度の実務を行います。その研修を経て、ようやく司法書士としてのスタートを切れます。
法務大臣の認可を受ける
法務大臣の認可を受けた司法書士は、認定司法書士と呼ばれています。
認定司法書士は、通常の司法書士業務に加え、簡易裁判所で行われる価格が140万円を超えない民事訴訟手続等の代理業務も行えます。
認定司法書士になるためには、裁判所事務官や検察事務官としての実務を10年以上、または簡易裁判所判事副検事としての実務を5年以上従事しなければなりません。その上で、法務大臣から認定を得ると、晴れて認定司法書士の称号を与えられます。
司法書士試験合格者の年齢層は?
司法書士になる方法は2通りあるものの、多くの方は司法書士試験合格を目指します。
平成29年度の司法書士試験の合格者の平均年齢は『37.6歳』(『https://manabiz.jp/shoshi/about-more/age.html』)です。合格者の最少年齢は20歳、最高年齢は73歳と、実に幅広い層の人が司法書士試験を受けています。
合格者を年代別に分布表にすると、以下のようになります。
引用元:https://manabiz.jp/shoshi/about-more/age.html
最も多いのが30代で43.2%、次いで40代が29.1%と続きます。このデータを見ると分かる通り、40代からでもなれるのが司法書士と言えるでしょう。
勉強方法・合格への道は?
ここからは司法書士試験合格への道をお伝えします。難関試験を独学で対策をするのは難しく、多くの方は学校に通ったり通信教育等で勉強をしたりします。
大学・短大の法学系学部へ進学
まず挙げられるのが、大学の法学系学部への進学です。
法学系学部の中には法学科や法律学科、公共政策学科等があり、基本的な法律知識を学ぶことが出来ます。
司法書士試験の合格者数は出身大学別には公開されていません。ですが、合格者は偏差値が高い学部に多い傾向にあります。
以下が偏差値の高い大学の学部です。
大学・学部名 | 偏差値 |
慶応義塾大学法学部 | 70 |
一橋大学法学部 | 67.5 |
早稲田大学法学部 | 67.5 |
京都大学法学部 | 67.5 |
上智大学法学部 | 65 |
中央大学法学部 | 65 |
大阪大学法学部 | 65 |
法政大学法学部 | 62.5 |
明治大学法学部 | 62.5 |
立教大学法学部 | 62.5 |
名古屋大学法学部 | 62.5 |
神戸大学法学部 | 62.5 |
東北大学法学部 | 60 |
青山大学法学部 | 60 |
同志社大学法学部 | 60 |
大阪市立大学法学部 | 60 |
九州大学法学部 | 60 |
引用元:https://www.studyplus.jp/713#%E5%8F%B8%E6%B3%95%E6%9B%B8%E5%A3%AB%E3%81%A8%E3%81%AF
資格スクールと通信講座
仕事をしながら、試験合格を目指す社会人も多くいます。そのような方は、資格スクールへの通学や通信講座を受講しています。
資格スクール
資格スクールとは、受験対策に重点を置いた学習が出来る学校をいいます。
「初心者向け」や「中上級者向け」等、様々なコースが用意されています。テキストや講師陣も充実しており、資格取得に向けた勉強を無駄なく進めることが出来るでしょう。
資格スクールの1番の利点は、疑問点があればすぐ講師に質問が出来るということです。そして、合格を志す”よきライバル”との出会いもあるため、勉強意欲が湧くというのが何よりのメリットではないでしょうか。
通信講座
通学する時間が決められている資格スクールに対して、通信講座は、通勤中に講義のリスニングを出来る等、隙間時間を活用した勉強が出来ます。忙しい社会人にとっては有効な勉強方法と言えるでしょう。
独学での合格は厳しい
司法書士試験の勉強を独学ですることはオススメしません。
確かに独学は自身のペースで勉強を進められます。しかし、その勉強方法が正しいのかどうかの把握が難しいというデメリットがあります。非効率な勉強方法をチョイスしている可能性も考えられます。
学校への通学や通信講座であれば、毎年同じ試験に向けての対策を行っているため、合格するために必要な知識の取得や効率のよい勉強の進め方等を熟知しています。
そういった点を踏まえても、独学ではなく学校等に通って資格の勉強をすることをオススメします。
司法書士の主な就職先とは?
司法書士になった方の多くは司法書士事務所や法律事務所に就職します。そこで、補助者(司法書士のサポート)として実務を学ぶところから司法書士としてのキャリアをスタートさせます。
中には、一般企業の法務部等で、司法書士の知識を活用している方も少なくありません。
司法書士の年収は?
そんな司法書士の年収は「勤務司法書士」と「独立開業をした司法書士」で異なります。
「勤務司法書士」とは、司法書士事務所等に雇われている司法書士を指し、年収は240~360万円程度です。
対して、独立開業をした司法書士は年収1,000万円を超えるケースが少なくありません。
試験勉強をしながら実務経験が積める求人
司法書士事務所によっては、資格不要の補助・事務スタッフを募集しているケースがあります。そのような事務所では、試験勉強に理解を示す傾向があります。
ですので、実務経験を積みながら司法書士試験の合格を目指したい方は、下記から求人を見てみてください。
まとめ
司法書士は、高卒でもなれて年齢に関係なくなれることが本記事を通してお分かりいただけたでしょうか。
とはいえ、多くの方は合格率3%の難関試験を突破しなければ司法書士になることは出来ません。そこで登場するのが大学の法学部や資格スクールです。それらを有効活用することで合格も可能となるでしょう。
「司法書士になりたい」という夢をお持ちの方は、ぜひ自身のライフスタイルにマッチした勉強方法を選んで司法書士への道を切り開いてください。
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