行政書士とは、行政書士法(昭和26年2月22日法律第4号)に基づく国家資格者のことを指します。
行政書士は、仕事が幅広く、10,000種類を超えると言われています。そのため、行政書士の仕事内容が具体的に掴めないと感じている方は少なくないのではないでしょうか。
本記事では行政書士の仕事内容についてわかりやすく解説させていただきます。
行政書士の仕事内容
行政書士の主な仕事内容は、以下の3つです。
■許認可申請書類の代理作成・申請
■相談業務
1つずつ見ていきましょう。
【仕事内容①】許認可申請書類の代理作成・申請
行政書士は、個人や法人等の顧客からの依頼を受けて、官公署(各省庁・都道府県・市区役所・町村役場・警察署等)に提出する許認可申請書類の代理作成を行います。
例えば、以下の書類の代理作成を行うことが出来ます。
■官公署に申請する許認可申請書類…建設業許可、会社設立、帰化申請、風俗営業許可等
■事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)…内容証明郵便、財務諸表、会計帳簿、風俗営業許可申請時に添付する店の配置図等
■権利義務に関する書類…遺言書、遺産分割協議書、示談書、会社定款等
以上の書類作成は、煩雑なため自力で手続きするにはハードルが高く時間がかかります。それを手助けするのが、行政書士の役割なのです。
また、上記の書類を依頼主の代理で、官公署に申請手続きすることが出来ます。
【仕事内容②】相談業務
行政書士は、依頼主から依頼された書類作成について、相談に応じることが業務として認められています。
その業務内容は、相続の手続きのような個人的な相談から、企業の経営に関する相談等のコンサルティングまで様々です。
以前の行政書士は、「①許認可申請書類の代理作成・申請」を生業にしていました。しかし、近年は「②相談業務」をメインに業務を遂行している行政書士が増えています。
行政書士のある1日の仕事スケジュール
では、行政書士のある1日の仕事スケジュールを見ていきましょう。
時間 | 仕事内容 |
10:00~ | メール・郵便物チェック |
10:30~ |
・メール連絡 ・書類作成 |
13:00~ | 昼休憩 |
14:00~ | 営業許可申請の代理手続きを行うため保健所へ |
14:30~ | 深夜営業申請の代理手続きを行うため警察署へ |
15:30~ |
・メールチェック ・書類作成 ・打合せ資料の作成 |
17:00~ | 飲食店開業予定のクライアントとお店で打ち合わせ |
18:00~ | メール・郵便物チェック |
19:00 | 終業 |
以上を見てお分かりの通り、行政書士は申請や打ち合わせで外出する機会が多いのです。
行政書士と司法書士の仕事の違い
行政書士と同様に、書類作成業務をメインにしている士業があります。それは、司法書士です。
行政書士と司法書士は、仕事内容がどのように異なるのでしょうか。
行政書士は、「行政書士法に基づく国家資格」であり、「許認可申請書類の代理作成・申請」の作成・提出などを行う専門職です。
一方、司法書士は、「司法書士法に基づく国家資格」であり、「専門的な法律の知識に基づき登記並びに供託の代理、裁判所や検察庁、法務局等に提出する書類」の作成・提出などを行う専門職です。
不動産の相続に関して一例を挙げると、遺産分割協議書の作成は行政書士、不動産登記に作成は司法書士が行います。
時代の変化に合わせて行政書士の仕事も変わる
行政書士は時代とともに進化しています。行政書士の将来性は高いと言えるでしょう。
それは、行政書士には、新たな書類作成・申請の仕事が増えているためです。例えば、民泊とドローンが挙げられます。
【民泊】
2020年開催予定だった東京オリンピックに向けて、民泊は増加していました。
民泊を運営するためには、図面等の書類を官公署に提出しなければなりません。その際の書類の作成・申請について、行政書士への依頼が増えているのです。
【ドローン】
ドローンを使用するためには許可申請を行わなければなりません。申請をするためには、専門知識が必要なため、行政書士への書類代理作成・申請の依頼が増えているのです。
行政書士の就職先
多くの方は、資格を取得したら行政書士として、行政書士法人や行政書士事務所に就職と考えるでしょう。但し、行政書士事務所の求人は多くありません。
そこで、ここでは他の就職先を紹介します。行政書士資格を活かすと、以下のような職場先が選択出来ます。
【就職先①】一般企業の法務部や総務部
まず、一般企業の法務部や総務部への就職が挙げられます。
一般企業では、自社の商品の開発や販売等の過程で、官公庁への許可申請の手続が欠かせません。その際に、法務書類の作成が必要になります。そのため、一般企業の法務部や総務部には、行政手続に強い行政書士が活躍出来る場があるのです。
また昨今、一般企業ではコンプライアンスの重要性が叫ばれています。そのため、法律に知見のある行政書士のニーズが高まっています。
【就職先②】弁護士事務所の法律事務
弁護士事務所の法律事務にも行政書士が必要とされています。 一般的に、弁護士事務所の法律事務は、パラリーガルが務めるケースが多いです。しかし、パラリーガルは資格を必要としないため、知識が豊富でない場合があります。そこで、知識を持っていることが客観的に証明されている行政書士の有資格者の方が、重宝されているのです。
【関連記事】行政書士の求人は意外とある!資格を活かした様々な働き方
行政書士の年収
「開業5年の先輩行政書士からアドバイス」というサイトによると、行政書士の平均年収は『611万円』(『http://www.falken2.jp/nensyu.html』)です。
行政書士同様、書類作成業務をメインにしている司法書士の年収は『630万円』(『http://heikinnenshu.jp/shi/shihou.html』)のため、比較するとやや低めです。
但し、行政書士によって年収は大きく異なります。行政書士の平均年収は参考程度に留めておいた方がよいでしょう。
【関連記事】行政書士の平均年収から見える現実:年収に大差がある理由とは?
行政書士試験
行政書士になるには、行政書士試験に合格しなければなりません。行政書士試験には受験資格は設けられていないため、誰もが受けることが可能です。
行政書士試験の合格率は、10~15%で推移しています。合格するのに必要な平均勉強時間は、『600~800時間』(『https://lmoblog.com/what-is-administrative-scrivener』)です。独学で行政書士試験に合格することも可能です。
【関連記事】「年度別」「推移」等から見る行政書士試験の合格率
【関連記事】行政書士試験が独学で合格できる?独学の場合の勉強法を解説