税理士試験は科目合格制度が採用されています。科目合格をすると、就職・転職に役立つケースがあります。
本記事では、税理士試験科目合格者の履歴書の書き方についてお伝えします。
税理士試験科目合格者の就職・転職の市場価値
本題に入るまえに、科目合格者の就職・転職の市場価値についてお伝えします。
科目合格者は一見すると税理士試験に合格していない半端者のように見えます。しかし、就職・転職市場では価値が高いと見なされています。
というのも、科目合格者は、会計事務や税務に必要な知識が身についていると評価されているためです。
合格している科目によって評価は分かれるものの、1~2科目に合格をしていると必要な知識が身についていると見なされるケースが多いです。
税理士法人や税理士事務所等の会計業界では、会計事務や税務に関する知識を持つ即戦力が求められます。しかし、経験者でない限り、そのような知識を持つ者は稀です。会計業界は、慢性的な人手不足に陥っています。それだけに、1科目でも合格している科目合格者の就職・転職市場の価値は高いのです。
現在、科目合格者は売り手市場なのです。
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履歴書を作成する際のポイント
お待たせしました。税理士科目合格者が履歴書を作成する際のポイントをお伝えします。
■用紙サイズ
履歴書は、B5あるいはA4用紙に1枚にまとめるのが基本です。
■基本はパソコンで作成
手書きの指定がない限り、履歴書はワードやエクセルで作成しましょう。パソコンで作成する場合は、フォントサイズを統一してください。見やすいように、10ポイント以上にすることをオススメします。
■誤字脱字のチェック
履歴書を書き終えたら、必ず誤字脱字をチェックしましょう。手書きの履歴書で修正箇所を発見した場合は、修正液を使用するのではなく、新しい用紙に一から書き直してください。
履歴書に求められるのは見やすさと読みやすさです。必要最低限の内容で簡潔にまとめることを心がけましょう。
■余白を残す
適度に余白を残すことも見やすくなるポイントです。
■極力空欄を避ける
空欄が目立つと、意欲がない応募者と疑われる可能性があります。ですので、出来る限り空欄は避けましょう。
■履歴書と職務経歴書を使い分ける
履歴書の他に、職務経歴書の提出を求められるケースがあります。履歴書と職務経歴書には、職務経歴欄や志望動機欄等、内容が被る箇所があります。全く同じ文章にならないよう、履歴書と職務経歴書を使い分けるようにするのもポイントです。
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履歴書の書き方
履歴書の具体的な書き方についてお伝えします。項目ごとに説明させていただきます。
【書き方①】作成日
作成日には、履歴書の作成を終えた日を記入しましょう。
ワードやエクセルで履歴書を作成すると、ファイル作成の日付になっている可能性があります。ですので、応募提出日に更新するようにしてください。
また、西暦と和暦どちらか一方を使用しなければならない、というルールはありません。西暦と和暦どちらかで日付を記入してください。
【書き方②】個人情報欄
個人情報欄も、それぞれの項目で書き方にポイントがあります。
氏名
氏名は、名字と名前の間に1文字分のスペースを空けましょう。それは、どこまでが名字で、どこからが名前なのかを、一目で分かるようにするためです。
また、本来は旧漢字ですが、便宜上、常用漢字を使用している人もいるでしょう。そのような方は、戸籍上の表記に準拠して氏名を記入してください。
連絡先
連絡先欄には、近年、固定電話がない人が多いので、携帯電話の番号のみの記入で問題ありません。
ただし、メールアドレス欄には、携帯電話ではなくパソコンのメールアドレスを記入してください。それは、携帯電話のメールアドレスだと、パソコンからのメールを自動ではじく可能性が考えられるためです。
また、履歴書によってはFAXの記入欄があります。近年は、FAXを持っている人は少ないです。FAXを持っていない人は、「なし」と記載しましょう。
さらに、連絡先欄に「現住所以外にも連絡を希望する場合のみ記入」と但し書きがあり、記入する必要がない場合は、空欄で構いません。
住所
住所は都道府県から記入しましょう。
【書き方③】写真
履歴書に貼る写真は、3ヶ月以内に撮影したものを使用しましょう。それより過去の写真を使用すると、面接の際、採用担当者から使いまわしていると疑われる可能性があります。面接官によい印象を与えないため、3~6ヶ月以内に撮影した証明写真を使用するようにしてください。
また、写真を撮る際は、過度にアップになったり引いたりしないようにしましょう。
さらに、写真を撮る際の服装は、女性の場合、落ち着いた色のスーツまたはジャケットを着用するのがベターです。男性の場合は、白地のYシャツに落ち着いた色合いのスーツと、華美でないネクタイを合わせるのがよいでしょう。
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【書き方④】学歴・職歴
税理士を目指す人の学歴・職歴は、特殊なケースが多いです。それは、税理士試験の科目免除制度を活用したり、試験勉強に専念するために一定の離職期間を設けていたりする方がいるためです。
ですので、ここでは税理士業界における学歴・職歴の書き方についてお伝えします。
学歴
学歴は、高校卒業からの記入で構いません。学校名や各部名等は、正式名称で記載し、省略しないようにしましょう。短期留学の経験がある方は、資格欄に記載しましょう。
また、大学等で、税法あるいは会計学に関する研究を行った場合、科目免除制度の対象になる可能性があります。ですので、その経験がある方は、資格欄に記載しましょう。
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職歴
職歴欄には、一般的に正規雇用で働いた入退社情報をメインに記載します。派遣勤務の経歴がある場合は、派遣先の社名ではなく、登録した派遣会社名を記入しましょう。
税理士業界を志望する場合、税理士試験の勉強に専念した時期があるでしょう。そのため、経歴に1~2年程度の離職期間があっても、その後に科目合格をしていれば、採用担当者も勉強に費やした期間が一定程度あることは理解をしています。
1~2年の離職期間が評価に悪影響を及ぼすことを懸念して、嘘の職歴は書かないようにしましょう。
但し、離職期間が5年以上あり、その間に科目合格をしていない場合は、その理由を書き添えたようがよいでしょう。
また、職歴を書き終えたら、次段に左寄せ「現在に至る」と記入しましょう。そして、次段に右寄せで「以上」と記載してください。
学歴と職歴を記入する際は、年月を和暦か西暦どちらか一方に統一してください。これは統一した方が、時系列が分かりやすくするためです。
さらに、会計業界は他業界に比べ、転職回数が多い傾向にあります。それは、転職でスキルアップを図る考え方が会計業界に浸透しているためです。
ですので、転職回数の多さは、採用に関してマイナスに作用しない傾向にあります。転職が多いとしても、職歴は正直に記入しましょう。
【書き方⑤】免許・資格
科目合格者は、合格している科目を以下の例のように記載してください。
20△△年12月 税理士試験簿記論合格
また、科目合格者でなくても、過去に受験した科目、あるいは現在勉強している科目がある場合は、対象の受験年次と科目名を以下の例のように記載しましょう。それは、科目合格に向けて勉強した過去が評価される可能性があるためです。
20△△年8月 税理士試験簿記論受験
さらに、会計業界ではパソコンスキルも問われます。そのため、エクセルやワード等のパソコンスキルを持っている人も記入すると、評価にプラスになるでしょう。
また、会計と関連性のない、語学の資格や運転免許等も、もれなく記載してください。
【書き方⑥】志望動機
志望動機を記入する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
①求めている人物像を理解する
志望動機を考える際、企業が求めている人物像であるかどうか、という点も重要になります。税理士事務所と一口に言っても、顧客の特性等によって求める人物像は異なります。応募先のホームページ等で「求める人物像」をチェックし、それに沿った志望動機を考えることが肝心なのです。
②その企業を志望した理由を明記する
採用担当者は、数ある事務所の中でなぜ自所を志望するのか、を見ています。
ですので、志望事務所とその同業他所との違いを研究しましょう。その際、「顧客」「事業・業務内容」「資産(アセット・リリース)」「文化・理念」の4つの要素を比較してみてください。
すると、志望先を選んだ理由が自ずと見えてくるでしょう。
また、研究で分かった志望先の得意分野を、これまでの職歴と関連づけて説明するのも一手です。
③入所後のビジョンを伝える
入所後のキャリアビジョンを伝えることも大切です。これは、採用担当者があなたを採用した際のイメージが湧きやすくなるためです。
漠然でも構わないので、入所後にどんな仕事に携わり、将来どのような働き方をしたいのか等を盛り込むのが望ましいです。
④過去のエピソードを盛り込む
志望動機は、過去のエピソードを交えて作成すると、納得させる力が増します。例えば、過去の経歴で得た経験やスキルを述べることが挙げられます。
それらを明確化するためにスキルの棚卸しをすることをオススメします。
スキルの棚卸しとは、自身の過去を振り返り、これまでの経験をリストアップすることをいいます。
スキルの棚卸しをすることによって、応募職種に活かせる過去からの経験やスキルを関連づけるエピソードを作り上げることが期待出来ます。
【書き方⑦】趣味・特技
趣味・特技の欄は、人柄をアピール出来るチャンスです。趣味の話題で盛り上がり、思わぬ副産物に繋がるケースもあるので、何かしら記入しましょう。
但し、競馬やギャンブル等の趣味の記入はNGです。それは、税理士事務所の仕事の性質上、不適切のためです。
【書き方⑧】本人希望欄
本人希望欄には、現職給与や入社可能な時期を記載します。一般的には、「貴所規定に準じます」と記載してください。
家族を養わなければならない等の事情で、給与額に強い希望がある場合は、面接の際に伝えるのがベターです。
また、志望先が複数職種を募集している場合は、希望職種を明記してください。